デジタルエンタテイメント断片情報誌

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『マイト・アンド・マジック クラウズオブジーン』のちょっと攻略法

ちょっと、です。大々的にマップやらアイテムの場所を載せているわけではありません。でも多分、遊ぶときは役に立つと思います。このゲームを遊ぼうという御仁が辿り着いたときのために。ささやかに。

今回は海外RPG『マイト・アンド・マジック』シリーズから、『クラウズオブジーン』(DOS/V他PC-98、TOWNS)の話です。今は『4』のナンバリングでも呼ばれていますね。以前紹介した『マイト・アンド・マジック3』の続編です。

と言っても、システムは大方同じであるものの、お話的に大きく続いていません。だからいきなりこの作品から遊んでも大丈夫。私がそうだったから。

遊びやすい『クラウズオブジーン』

『3』、本作、そして『ダークサイドオブジーン』(『5』)の中で、本作が一番難易度が低いと思います。敵の強さはソコソコ、序盤に配されたレベル上げ・能力アップポイントの多さ、一気にフレンドリーな作品です。そして何かとお金が大事な本シリーズで、比較的お金のかかり方が穏やかです。これなら『ウルティマ』とも『ウィザードリィ』とも違う、ちょっとサイケで独特な作品世界を楽しく堪能できます。

※こういう能力アップポイントが結構多くて便利なのだ。

※配色も独特だが、台詞を喋ったり、グラフィックがアニメーションしたりする。

パーティー編成も簡単。デフォルトのパーティー(「戦士・騎士・レンジャー・盗賊・僧侶・魔法使い」)でも十分遊べます。

※デフォルトパーティー。これでも十分。逆に言えば、各職業の特色が薄れたんですね。

私のおすすめも「戦士・戦士・レンジャー・盗賊・僧侶・魔法使い」というごく普通なもの。デフォルトの騎士を戦士に入れ替えれば、エディットは最低1人で完成です。戦士は僧侶の魔法が使え、レンジャーは魔法使い・僧侶の簡単な魔法が使えるので、魔法で困りません。騎士は魔法が使えないんですね。あと盗賊は忍者でもいいですが、序盤から使いやすく、防御重視なら盗賊で。職業選択や編成でやり込みたければやりようはあるでしょうが、これでクリアもできるし。


ちょっと攻略テクニック2つ

どうも本作の話題で、これから紹介する技の話題があまり出てこないのが寂しい。だったら紹介しちゃえ、というわけです。まあ「遊んでいたら当然」なのかもしれないが、これを知っているのと知らないのではぜんぜん違うんだなあ。え、「野暮」だって? いやいや、こんなことでつまらなくなるような作品じゃあないですよ。ちなみにPCゲーム雑誌『ログイン』にも載ってた技です。


・その1 対岸や川の中から攻撃する

本作と『ダークサイドオブジーン』で可能になった技。『3』ではできませんでした。本作は(半リアルタイム)のターン制なので、離れた場所にいる敵に弓矢や魔法で攻撃できます。それならばアクションRPGと同じで、川や水の中を渡れない敵にはガンガン攻撃しちゃいましょう。敵も飛び道具を持っていると攻撃されますが、なあに、完全戦闘モードで戦うよりは楽。

※やーい渡れないでやんの。弓矢や魔法の餌食だ。


・その2 鍵のかかっていた扉を開閉して攻撃

これも同様。本作で鍵のかかっていた開閉扉を閉めると、敵は追ってくることができないし、攻撃もしてこない(貫通しない)。その性質を活かして、こちらが攻撃したら扉を閉め、また開けて攻撃・すぐ締め⋯これを繰り返します。強い敵を見つけたら、扉の前まで誘導しても良い。戦闘モードになっても、楽に倒せるでしょう。

※こちらから解錠(盗賊や忍者の出番)しても、敵は開けることができない。ちょっとマヌケ。

※敵がいたらすぐ攻撃! 慣れないうちはキーボードとマウスを上手く使おう。

※攻撃したらすぐ閉める! 閉めないと敵が踏み込んできちゃいます。

※これを繰り返すと、ほ~ら敵を全部倒せます。終盤まで使えるテクニックですよ。


そうそう、最後にミニ情報。序盤でドワーフの鉱山にある、シータの鉱山(Deep Mine Theta)は1箇所しか金脈がありませんが、5000ゴールドは採掘できるので採掘しときましょう。9821版の話ですがね。

※たまに起きる落盤はダメージ大ですが、そのリスクを犯す価値アリです。


こんなテクニックを踏まえて、知名度は『3』よりもさらに落ちるであろう本作(と『5』)ですが、今遊べる英語版もさほど英語が難しくなく(むしろ日本語版の翻訳のまずさに気がつくことがある)、人気の『6』を含むパックがGOGで売られているので、気になったら是非是非。

www.gog.com


※続編『ダークサイドオブジーン』の話題はこちら:

ゴジラの日にゴジラを倒す

今日(11/3)は映画『ゴジラ』(1954)の封切り日です。65周年ですね。いつもダラダラ思いつき更新ばかりですが、今回は珍しくタイムリーに、私の好きなゴジラゲームの話でひっそりとお祝いしたいと思います。

紹介するのは『大戦略』で有名なシステムソフト(現システムソフト・アルファー、後ベータ)のSLG、『ゴジラ』(1993 PC-98・HD専用)です。このゲームがやりたいがために当時ハードディスク購入を決意し、そして今だPC-98の実機とソフトを所持し続ける理由になった作品です。ついでにディスプレイも変換アダプタを用意した上、PC-98の640*400ライン対応のもの(まだ売ってるんですよ)を使ってます。


『ゴジラ』ってどんなゲーム?

ズバリ防衛隊(自衛隊)となって、ゴジラを始めとした怪獣たちを倒すSLGです。ゴジラ(怪獣)を操作して街を破壊したり、他の怪獣と戦うゲームは近年でも発売されているのですが、案外こういうコンセプトの作品は少ない。『ウルトラマン』シリーズでもそうなのですが、私は”防衛チーム”といった守る側に感情移入しがちなのです。実は怪獣やヒーローよりもそっちの方が好きかも。

本作はそんな長年悶々としていた思いを戦略SLGの老舗、システムソフトが自社のノウハウを活かしてついにやってくれた、そんな喜びもひとしおの作品でした。PC版、というのも嬉しかった。

システムは『大戦略3』がベースでしょうか。リアルタイム制採用。登場する兵器は『ゴジラ』シリーズを始めとした東宝特撮作品から、実在・架空兵器を忠実に再現。でも地対地や地対空といったことは考えなくてOK。映画そのままに、どんな兵器でも怪獣を攻撃できます

※例えばオネストジョン(実在兵器)で円盤を攻撃するの図。オネストジョンは日本に配備されてない? まあこのシナリオで戦ってるのは”地球防衛軍”なので。『ラドン』でも登場しますけどね。


各映画をベースとしたシナリオでは、映画本編のイベントも再現。新たに怪獣が現れたり、倒したと思ったら復活したり⋯ちょっと気が抜けません。怪獣を倒すだけでなく、誘導・侵入阻止が中心のシナリオもあります。総合的に後年の『ゴジラ 列島震撼』(セガサターン)よりマニアックで、ファンが小躍りしそうな作りだと思います。

そうそう、音楽も伊福部昭の楽曲がメインだし、鳴き声や効果音も映画の音源をサンプリングして使用していてニンマリ。

ゴジラを倒せるの? 攻略法は?

実は登場する怪獣はとても強いです。1回の攻撃で大ダメージを受けることはほとんどないです。対してプレイヤー側の兵器は弱い。ゴジラならば熱線や蹂躙一発で1ユニットが軽く吹っ飛びます。特に航空兵器は何の役にも立たないことがあるので、趣味以外で配置しない方が良いでしょう。

でも、そんなゴジラ(怪獣)を倒せる戦法はあるんだなこれが。それはズバリ「包囲・アウトレンジ攻撃」です。当時のPCゲーム雑誌『ログイン』にも載ってました。戦車のような比較的耐久力のあるユニットで怪獣を包囲し、動けなくなったら怪獣の攻撃範囲外から集中砲火。この戦法がこのゲームの基本です。

例えば上の画像はシナリオ「ゴジラ1984」の画面ですが、戦車で囲んだらハイパワーレーザービーム車や83式600mmミサイル車といった攻撃力のある架空兵器でガンガン攻撃しましょう。特にミサイル車は強力です。

※劇中だとあんまり効果なさそうでしたが、ゲームだと便利この上ないハイパワーレーザービーム車。

※さらに与えるダメージも大きくて使えるミサイル車。ゴジラ(1984)がスーパーXを待たずしてヘロヘロです。

オススメのシナリオは?

このゲーム、『ゴジラ』シリーズ以外の、空想・特撮作品の再現も素晴らしい。人類が倒せる(倒した)相手なので、戦いやすいのもおすすめポイント。

まず「L作戦準備せよ」。映画『サンダ対ガイラ』より、凶暴なフランケンシュタインの怪獣・ガイラをメーサー、レーザー部隊を中心とした「L作戦」でやっつけるシナリオ。もう気分は橋本陸将補(劇中の指揮官)です。

※L作戦展開中の画面。L字型に部隊を展開して、そこに封じ込めたガイラに劇中よろしくメーサー車で攻撃。BGMは当然L作戦マーチが流れています。

※このゲーム、戦闘終了後にマップの損害度等で得点・ランクが出るのですが、見事「橋本陸将補」!


そして映画『地球防衛軍』から、「第2β号発進せよ」。ミステリアンの円盤をやっつけながら、本体であるドームを超兵器で大攻勢する痛快なシナリオです。マーカライトファープの頼もしさ。

※マーカライトジャイロでドーム(画像上部のパンナコッタみたいなユニット)に迫って、変形して攻撃します。

変形前に攻撃を喰らうとダメージを引き継ぐので注意。

※「防衛軍隊員」は山にも移動できる上、武器の「火炎放射」がソコソコ強い。他ユニットを守るにもうってつけ。


当時のPC-98で動くスペックの作品ということもあり、美麗なグラフィック、派手な映像演出というわけではありません。ですがファン向け・キャラクターゲームとして考えたときに思わず唸ってしまう、凝った要素が溢れる忘れがたい作品です。

リメイクか、新たにこういうゲームを作る会社が出てこないか待っていたのですが⋯出ないもんですねぇ。せめて本作の配信だけでも何とか。


『マイト・アンド・マジック3』が教えてくれるもの

世界3大RPGって何かご存知ですか。『ウルティマ』、『ウィザードリィ』、そして『マイト・アンド・マジック』だそうです。詳しい出典は知りませんが。

RPGの開祖として後々も進化し続ける『ウルティマ』、ストイックな『ウィザードリィ』、そこへ行くとちょっと人気・知名度で劣る気がする『マイト・アンド・マジック』(M&M)。ひょっとしたら派生の『ヒーローズ オブ~』の方が有名かもしれません。RPGの方はよく知らないよ、と。

だけどこれがやってみると味わい深い作品なのです。今回は家庭用ゲーム機(PCエンジン、メガCD)にも移植された『マイト・アンド・マジック3』(PC-98、FM TOWNS他)の話です。

本当は『4』(クラウズオブジーン)や『5』(ダークサイドオブジーン)がもっと好きなんですが⋯それは追々。

言うほど取っつきにくくはない『マイト・アンド・マジック3』だが⋯

3作目の本作は凄く進化します。敵は配置式の(半リアルタイム)ターン制。屋外を含むフィールドと美麗なグラフィック。PC版は特にクッキリです。『ウルティマ』や『ウィザードリィ』の同ナンバリング作品と比べてみると、頭一つ抜けた印象がありました。ちなみに画面・基本システムは『4』や『5』でも変わりません。

オートマッピングも便利なんだなあ。方眼紙を用意しなくて済みます。

「保険標識」は超・使える魔法。『4』『5』でも同様。この魔法で”標識”をセットしておくと、後で呪文を唱えればセットした場所に戻れるのだ。これを唱えられるメンバーが2人いると冒険がとても楽。1人は町や回復ポイントに予めセットしておき、途中で戻りたくなったらもう1人が新たに現在地で仕掛けておく、みたいな使い方ね。

川や水辺に入れない敵を川から攻撃してもヒットしません。これが『3』の戦闘で残念なところ。これができたら楽なのに。※『4』『5』はできるようになります。


でもね、他作品にない、この頃の『マイト・アンド・マジック』の特徴といえば、なんと言っても「とにかく金が必要」なことだと思います。まずレベル上げるにも金が必要。呪文覚えるにも金が必要。スキル習得にも金が必要。8人パーティのうち、2人は傭兵で雇い賃が必要(賃金発生を回避するテクがあるらしい)。カネカネカネです。とにかくプレイしていくにつれて金が必要になり、足りなくなる。

※このレベル上げ賃がどんどんかさむ。敵を倒して金を稼ぎたいのに、その前に金が足りなくなるのだ。

装備している武器なんてしょっちゅう壊れるから修理にも金が必要。しかも『3』は予備の武器を持つ余裕があまりないので、すぐ町へ修理に行かなくちゃいけません。


まあ「教わるのに金取らねえ方がおかしいんでないの?」って話ではありますが、大人になってからのほうが何とも身にしみる、世知辛いゲームなんですよ。学生時分はこの感覚、わからなかった。そんなわけで、序盤が終わったくらいなのに早くも金勘定を始めて右往左往している有様です。


⋯やっぱり下手したら実生活より金のことを考えてるかも。

※今は『6』まで含むパックがGOGで売られているので(英語版)、気になったら是非是非。
www.gog.com

※続編『クラウズオブジーン』『ダークサイドオブジーン』の話題はこちら:


今遊ぶ『エメラルドドラゴン』

パソコンを触り始めてから、パソコンゲームを遊ぶならこういうの遊んどきたいよね、と目をつけていた作品がありました。それが『エメラルドドラゴン』(グローディア)でした。後にPCエンジンやSFCといった家庭用ゲーム機にも移植されましたが、PC-88・98版から今年でちょうど30周年の作品です(1989年発売)。記事にしたのは単なる偶然ですが。

発売当時から名前は知っていたものの、当時は国産SLG(PC-98の絶頂期だった)と海外RPGに時間を割いていて手が回らなかった。そして遊ぼう遊ぼうと思って月日が流れてしまった。だけどその名前を忘れることのなかった不思議な作品。当時のPCゲーム雑誌、特にマイコンBASICマガジン(ベーマガ)に熱心なファンがいて、裏技・バグ技を投稿しまくっていた記憶があります。

そして近年になって、続編的物語も制作されているという息の長さ⋯。
vermillionmode.x0.com

私自身は当時遊んでいたわけではないのですが、何かこう、呼び戻されたような気分になり、すっかり遊ばなくなったRPGというジャンルを久々にやってみようというわけです。リンク先の続編も気になるし。

というわけで、最近『エメラルドドラゴン』を遊び始めました。

『エメドラ』のプロローグと序盤

今回遊んでいるのはFM-TOWNS版。PC-88・98版はバグがあるらしいので。流石にそこまでタイムスリップして苦しみたくないというもの。

TOWNS版はビジュアルシーンに声優が声を当てているのですが、タムリン役:天野由梨の声が滅茶苦茶ヒロインしてて(島本須美を思わせる演技)、感激。

このタムリンが角笛(幼なじみのドラゴン(主人公=アトルシャン)の片角)を吹く絵は、キービジュアルとしても有名だと思うのですが、プロローグの一場面だったことを30年目にして知りました。というか既に知らない人置いてきぼりの話だらけですが、元々角笛の意味や主人公の設定を知らなかったのでえらく新鮮なのです。わからない人がいても気にしない(全国気にしない協会)。それはともかく、こんな作品だったのね。


まだ序盤の序盤ですが、行き詰まったらパーティーで相談するコマンドがあったり、セーブが自由でセーブ箇所も多い(基本9箇所)のが嬉しい。この手の作品にありがちなオートセーブだったらギブアップしてる。TOWNS版のグラフィックは綺麗なもんです。

移動画面はオーソドックスで他機種との差があまりないか。序盤の小ボス戦で、セーブ直前の画面。

このゲーム、戦闘の指示はできますが、主人公以外はオートだったんですね。これは結構楽で良い。回復魔法なんかも的確。フォーメーションは何となくヒロインであるタムリンを守ってしまうが、これもやり込むと効果的な配置とかあるんだろうな。そういう人間心理を逆手に取った罠もあるのかな



当面はレベルを上げつつ、遊んでいて面白いことが起きたらフラッと記事にしたいと思います。


ひたすらの楽しみ 『ポピュラス2 エキスパート』

プレーし続けていると、遊んでるのか、単純作業しているのか、よくわからなくなるゲームってありませんか? 同意を求めてどうするの? それもそうか。


久々に『ポピュラス』を黙々と遊んでしまった。正確には『ポピュラス2 エキスパート』(PC-98、TOWNS版)。国内PC版は移植に際して最もアレンジしているらしく、販売元のイマジニアが「日本版オリジナル」とまで謳っている。ただ実はどの辺りがエキスパート要素なのかは、プレーしていてよくわからない。テヘヘ。

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神となり、信者(人間)を増やし天変地異を起こして大地を征服するゲーム『ポピュラス』の続編。そんなことを書かなくとも、知っている人は知っている、「ああ、あの地面を平らにしていくヤツ」である。

信者の文明・技術レベルを上げるために、どんどんどんどん地面を平らにしていく。山を切り崩し、水面を埋め立て、岩や木は沈める。対戦相手の神(CPU)が天変地異で妨害してくるが、平らにしているだけでなんとなく勝っちゃうことも。

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※ヘボヘボプレイでなんとなく勝利できちゃうの画面。CPUの妨害はほとんどしていないはず。
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勝利すると経験値をもらって自分の能力(神業)を上げることができるのだが、平らにする力以外は、まだまだ使いこなしていない。ただ”ついカッとなって”竜巻や火災、地震を起こしてCPUに攻撃してしまう。おおらかなゲームだ。とは言え後半はそれなりに激しい攻防になる。

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それにしてもこの”ひたすら”感、作業感というのは、今のゲームにも通じる、根幹的な魅力ですわな。『マインクラフト』なんて思い浮かびます。

そしてスマホゲーム、ブラウザゲームを延々と遊んでしまう、あの感覚。「暇潰し」以外にやりたいことがあるのに、シンプルなルール・操作に中毒性があるんだなあ。やるなピーター・モリニュー。日本のPCゲーム誌でもよく見かけた。そう言えばアプリで似たようなゲーム出してたね。


壮大な設定に比してこの取っ付き易さ、GOGの英語版でも大丈夫かな。よくわからなくても、気がついたら地面をならしてますよ、多分。

整理と『ワンダービット』

家の本棚を整理した。読んだ本、読まなくなった本を処分して、今読んでいる本を収納するスペースを作った。

どちらかというと、買った本やゲームは売らない性分だった。読み終えたもの、クリアしたもので今だに所持している作品がある。だが最近は配信やダウンロードが便利になって、所持にこだわらなくなってきた。10年物(あるいはそれ以上のもの)を今更ながら処分、この割合が高くなっている。

そして何より、世の中がどんどん新しいものに移り変わる。特にゲームの”一生モノ”なんて言葉は、死語になったように思う。そのとき楽しいと思うものを、そのとき遊べばいいのである。そんな気分も影響している。

そんなことを考えながら整理をしていて、ある漫画に手が止まった。『ワンダービット』(著:島本和彦 アスキー、メディアファクトリー)である。連載当時はPCゲーム誌『ログイン』に掲載されており、単行本化ののち、ようやく電子書籍でも読めるようになったようだ。

ワンダービット 1 (島本和彦漫画全集)

ワンダービット 1 (島本和彦漫画全集)

  • 作者:島本和彦
  • 株式会社ビッグバンプロジェクト
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著者が一筋縄では行かないSFを目指しただけあって、キャラクターからストーリーまでバラエティに富んでいる。『銀河鉄道999』を思わせる教訓・道徳めいた話もある一方で、女子プロレスラーが巨大化して怪獣と戦ったりする。ライダーシリーズを思わせるヒーローと悪の組織が出てくる不条理な特撮物や、果ては当時のログイン編集者(※今偉い人)の写真マンガ等々、飽きさせない。不思議とネタの鮮度も落ちていない。


その中で好きな話を一つ挙げると、連載時の最終話「死ぬまでゲーム」だ。

若い頃からテレビ番組をビデオに溜め録りしていた老人が、引退後にビデオを消化していくうちに観るのは時間の無駄と気づいた一方で、同様に買いだめしていたゲームを全部クリアーすることにした老人の友人は、ゲームにハマりにハマって抜け出せなくなっていた、という話である。丁度最近、過去のゲームを遊ぶ機会を増やしており、改めて真顔になってしまった。

本にも、テレビ番組にも、古典的な魅力を湛えたものがある。ゲームも例外ではないと思う。昨今のソフト・ハードの復刻状況はその最たるものだ。だがゲームには感動に至るまでに、「プレーする」という際立った能動的な要素がある。ゲームを「クリアする」は、いつ遊んでも「読む」「観る」のように最後まで辿り着かないことがある。終わらない、終われないからこそ、ハマりやすいのだ。その強みを難なく描いていて、著者のゲームに対する愛着を再認した。


これからもワンダービットを繰り返し読む度に、今のゲームだけでなく、昔やったあのゲーム、やりたかったゲームの魅力に再び引き寄せられるのだろう。本棚に残しておいた。

PCゲームと落語の接点から

唐突だが、学生時分までは落語に全く興味がなかった。テレビで観てもサッパリ面白さがわからなかった。ありがちな話だと思うが、TV番組『笑点』の大喜利を観て「落語ってあんなものか」と勘違いしていた。そのせいで、本当の落語を知って余計に「つまらない」と感じてしまった。実際には面白味を理解していなかっただけなのだが。

その頃の私はもっぱらパソコン、PCゲームに興味があった。この遊びで将来メシが食えたらいいな、などと考えることもしばしばだった。

そのうち、有名人・著名人とされる人物のエッセイ・コラムを読んでいくと、落語に関する例え話が多く出てくることに気がついた。落語を知らないから例え話の意味がわからない。そう思って、落語のことを調べだして、寄席(よせ)にも行くようになった。そこでようやく落語に開眼した。


何の話だと思われるかもしれないが、そうして落語に興味を持ち始めて、思い出した人物がいる。三遊亭円丈という落語家である。PCゲーム誌『ポプコム』で連載を持っており、私が読んでいた『ログイン』でも度々話題になっていた。「泣ける落語をつくれるのはこの人だけ」みたいな評だったか。

そんな円丈師匠が開発に携わったPCゲームが、プロジェクトEGGで配信されている。知っている向きには今更だろうが、日本で発売されたPC・家庭用ゲーム機の作品を中心に、1990年代くらいまでのいわゆる”レトロゲー”を復刻・配信して遊べるサービスだ。

ゲームタイトルは『サバッシュ』(1988)、『サバッシュ2』(1993)の2作である。どちらもファンタジーRPG。インターネットが一般的でなかった当時をして、自由度と難易度の高いゲームという評判が定着していたと思う。一方でファンのやりこみ度も相当で、雑誌の攻略記事で最短攻略を競い合っている様子に正直ついていけなかった。そんなゲームを今一度プレーする機会を得たので、追々遊びたいと思う。

なにせ今、この両ゲーム絡みで遊んでいる作品があるので⋯。

サバッシュ | プロジェクトEGG | レトロゲーム配信サイト

サバッシュⅡ | プロジェクトEGG | レトロゲーム配信サイト


そんなPCゲームと落語の接点や、寄席(よせ)や噺(はなし)のこと、東西の落語家、落語(界)の歴史⋯そんなことを少しかじって、円丈師匠の落語を聴きに行ったりしていたところに、一冊の本に目が行った。『落語家の通信簿』(祥伝社新書)である。

落語家の通信簿(祥伝社新書)

落語家の通信簿(祥伝社新書)

そしたらこれが驚いた。タイトル通り、現役の落語家による落語家評なのである。芸能人なんかで考えてみて欲しい。”共演NG”みたいなウワサは聞くにしても、現役中に「〇〇のここが嫌」「あの芸はつまらない」みたいなことを書くだろうか。

本書は著者・円丈の大いなる主観を以て、古今東西の落語家を評価しているのである。著者のエピソード披露や好みの芸風もわかって面白い。気鋭の落語家も網羅しており、著者が今どきの落語家をどう聴いているのかもわかる。遅ればせながら、「円丈師匠ってこんなこと考えてたんだ」と人となりを知った。

⋯実は、最近朝の顔になったある落語家をぶった斬っていて、それで思い出しました。そこだけ拾い読みでも、ニヤリとするかも。

やっぱり自由研究は向いてない 『シムアント(SimAnt)』をプレーする

夏休みの宿題の量を嘆いたことはない。正直、学習ドリル辺りは、なんてことはなかった。だが面倒くさいと思う宿題はあった。その一つが「自由研究」である。

一度、任意の自由研究コンクールに応募してしまったことがある。先生や親に強要されたわけではない。応募したら商品が貰えるのでは、と閃いたからである。ガキの頃から現金な奴だった。しかしこれがまあ、つらかった。何をやったかは秘密。勘弁して欲しい。

やる気も無いのに取り組んだから、当然賞なんて貰えなかった。ただ、そのとき一緒に応募した友達は特選だかで表彰されていた。その友達がやっていたのが蟻(アリ)の研究。「ようやるわ」と心の中で思っていた。嫌なやつだな。


そんなわけで、今回プレーするのは『シムアント(SimAnt)』(PC-98、TOWNS他)です。蟻の世界・生活をシミュレートするSLGのPC版です。

今『シムアント(SimAnt)』をプレーするにあたって

『シムアント』のPC版(マクシス社・イマジニア)が発売された当時は、既に自由研究のような宿題が課されない、もっと言うとそんな悠長に夏休みが過ごせない年次だった。その上『シム』シリーズで蟻が題材なんて、正直ふざけているのかと思った。

当時のメーカーは発想・アイデア勝負でこういう作品を大々的に発売していた記憶がある。日本のメーカーでも、光栄(現:コーエーテクモ)やアートディンクが「そうくるか」という独創的な作品を制作していたように思う(しかも案外そんな作品が名作と評されていたりする)。

蟻に慣れ親しんだわけでもない私が今このゲームをプレーするには理由がある。最近、動物・生き物の楽しい動画が観られるようになって興味が湧いたこと、そして金銭的事情が解決したことが大きい。当時はこういうゲームを買う「冒険」をする余裕がなかった。買うのはよほどそのジャンルが好きか、雑誌で評判を見定めたときくらいだったな。

ではプレー開始。オープニングの音楽がえらくカッコいい。オープニングくらいしかロクに音楽を聴いていないが。
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なかなか世知辛い『シムアント(SimAnt)』

まず素晴らしいと思ったのが、チュートリアル(入門)があること。操作の説明をしながらゲームの進行を教えてくれるのだ。1991年のゲームでこれですよ。フロッピー2、3枚の容量でもこんなことを平然とやってのけるのね。

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ところがチュートリアル通り、仲間を集めて敵の蟻(赤)を攻撃すると負けてしまった。チュートリアルだから上手くいくと思ったらそうじゃないのだ。蟻同士の戦いは蟻の種類によって、勝敗の確率が決まっている。絶対に勝てる組み合わせの設定はなさそうだ。

ここでチュートリアルも「また頑張ってみましょう」と励まして終了。嫌な予感がする

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やはりというか、チュートリアルの手順で巣と仲間を充実させて、何回攻撃を仕掛けも勝てない。負けると再び蟻として生まれるところからスタートなのだが、もう何回も生まれ変わっている。そしてまたせっせと働いて戦う準備を整える。

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『シムアント』のマニュアルにはこう書いてある。

しかし、自分たちのコロニーの全体を考える蟻の社会にとっては、1匹の死はそれほど重要ではないのです。

代わりはいくらでもいるってか。蟻ごと、いや他人事じゃないね。実は私もあっけらかんと「生まれ変わった!」してみたいときが、たまにある。


でもそれはできない。大体、自由研究もうやりたくないし。ここは踏ん張って、生態系等サッパリだが蟻の世界をなんとかせねば。

攻略法探してみるべきか。⋯人生の攻略法じゃないですよ。

実は医者になりたかった 『ライフアンドデス』をプレーする

子供の頃、「なりたい」と思っていた職業ってありますか。私は中学生くらいまでは医者になりたいと思っていました。学校で推薦対策として集団面接の練習がありましたが、確かそこでも「医者」と答えていました。


いきなり記事タイトルに偽りありですが、実はちょっと嘘です。面接でしどろもどろにならないように、明確で答えやすい職業を想定していただけです。でも周囲から望まれたら「なってやってもいいな」と思ってました。嘘です。『ロボコップ』観てグロいのは絶対無理だと思いました。

さらに唐突ですが、当サイトは8月で500日目の更新に到達しました。おいワーイ! かつて存在したPCゲーム雑誌『ログイン』式の祝詞です。元ネタがわからない人がいても気にしない(全国気にしない協会)。

ちなみに500日目の更新って、全然すごくないんですよね。そもそも400日目の更新から、1年ちょっとかかってますから。400日目のときは「500日目は3ヶ月切るぞ」って意気込んでたのになぁ。ん?

今どき更新日数で記事作成なんて化石文化も良いところですが、毎回記していることを今回も書いておきます。10年以上ブログ続けて、今年500日目達成です。怠惰のレベルが違いますわな。


というわけで普段から支離滅裂で記事の方向性、集客、コミュニティ、アフィリエイトお構いなしの当サイトなのですが、今回は記念記事です。PCや前述の『ログイン』にまつわるネタをやる回です。

『ライフアンドデス』で私は医者になる

それでは20年以上前に遊びたかったゲーム、『ライフアンドデス(LIFE&DEATH)』(1988 Software Toolworks)を今さらプレーして、夢を叶えたいと思います。あ、グロい画像はないです。そこまで辿り着いてないんです。読めばわかります。

本作はMacintoshやDOS/Vで発売され、PC-98やFM-TOWNSにも移植されたPCゲーム。医療ドラマ形式のAVGなどではない。医師として、診察して、処置を判断して、ときには手術して⋯、という大真面目な医療SLG。今でも数少ない同ジャンルの中で、燦然と輝く作品、というと大げさか。いや、そうでもないか。割と有名な作品だと思う。


作品の解説はこれくらいにして、当時遊びたかったゲームを今になって遊ぶとどうなるのか。いやぁ、すげー面白い

まずゲーム(医療)の前知識無しで進めると、いきなり患者を充てがわれる。医療の現場は忙しいのだ。


そして患者を診察する。本作は外科メインなので、患者の症状報告とともに、腹部をチェックしたりする。

淡々と画面を載せているが、ここで診察を間違えても患者が死んでしまうことがある。私も初っ端から3人殺ってしまった。

なぜそんなことになるか。このゲーム、最近のゲームみたいな診察前のチュートリアルなんて、ロクにないのだ。手元にある紙のマニュアルを読んで症状を診察し、適切な処置を施さなければならないのだ。ポル・ポト政権下の子供医師か私は。


当然、手術場面でも大きくつまづいている。画面上の道具をマニュアルで全て図解していないため、使うべき道具の配置がサッパリわからないのだ。ちなみに画面は虫垂炎の手術なのだが、「抗生物質を投与しろ」とスタッフが教えてくれているにも関わらず、どこにあるのかわからずに失敗した。


でもゲームだから安心して欲しい。診察・手術が成功しようが、失敗しようがメディカルスクールで「次頑張ってね」と激励を受けて、また新たな患者の診察に向かうことになる。ついでに処置手順のアドバイスもしてくれる。失敗する前に教えてよ。医療の現場は忙しいのだ。


『ライフアンドデス』で本当に私は医者になれたのか

久々にマニュアルを読みながら、勉強しながらゲームを遊んだ気がする。実際の医療現場との違いはもちろん、発売当時から年数も経っているため、最新医療との違いも当然あるだろう。だが、こういう真剣味って心地良いなあ、とつくづく思う。『シム』シリーズで言うと、『シムアース』や『シムアント』もそんな毛色の作品だったか。機会があればそれらも遊び直してみたい。


とりあえず、今は虫垂炎患者を救いたい。

戦いを知る:古代から現代まで 『戦術と指揮』

戦国時代が好きで歴史SLGをよく遊んでいたが、他の時代の戦いにも興味があった。中国にヨーロッパ、そして第二次世界大戦⋯各々の歴史を知ったら、PCでそれらをテーマにしたSLGを遊ぶのが楽しみだった。

実生活につながる思想的なのめり込みはなく、「あの戦いはゲームで再現できるのか?」「史実ではこの戦い方だけど、自分ならこう戦う」といった追体験が主な目的だった。

当時のそんなSLGの戦闘場面は大体、ヘックスマップ、六角形のマス目で戦場を再現したものだった。今でも使われていると思う。マス目には地形の設定があり(例:森林、市街地)、そこに部隊のコマを配置して動かして戦う。

そこでの戦いは大げさに言えば、連戦連勝だった。ゲームだからクリアできるように設計されている、と言えばそれまでだが、難しくて攻略できないことはなかった記憶がある。電撃戦から待ち伏せまで、お手の物だった。

まず行軍は簡単である。部隊ごとの特徴や、森林から別の場所に移る際などは各種かかるカウント(時間数)が決められているものの、確実に移動はできる。敵情を知るのも容易だ。索敵をすれば大体画面上で一望できることが多く、編成から部隊数まで丸わかりになる。

要は歴史的な興味からこのようなゲームを遊んでも、実際の部隊編成・運用、戦況に応じた戦いといったものまで細かく再現されていなかったのだ。現在のゲームはもう少しシステムが複雑になっていたりするものの、基本的にその辺りはあまり難儀しない。


そんな古代から現代まで、種々の戦争時における実戦での部隊の編成と運用、そして戦術を簡便にまとめた本がある。『戦術と指揮』(著:松村 劭 PHP文庫)である。

戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫)

戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方 (PHP文庫)

この本はほぼ完全に、”戦闘マニュアル”である。出版社から、ビジネス書に噛み砕いた本だと思う向きもいるかもしれない。そういう本に寄せようと、ビジネスでの例え話もわずかに入る。だがその辺りの記述は失敗している。むしろなくてもいいくらい。例えば、私のようにSLGで遊ぶ人間が、「実際の戦闘ってどういう風に進めるんだ?」といった興味から読むに丁度いい、趣味の本である。また小説やドラマを見たり、創作をするときに”現実”はどうなのか、という観点からも役に立つだろう。手元に置いて繰り返し読み、使うに耐える本だ。

軍事関係の趣味や興味を広げていくと、戦車や戦闘機のスペックの話題に走りがちだ。その話題から踏み込んで、戦いは兵器のスペックだけではなく、如何に戦うかが重要なことを知るにもいいきっかけになるのではないか。

本書は戦いに勝つための原則から始まって、戦術の演習、そして架空の設定を基にしたシミュレーションで構成されている。クイズ形式もあり、考えながら読み進めることができる。地形が与える戦況への影響は、ゲームでは再現できていないと思うことしきりだ。また、戦いにおいて人間の精神状態がどれだけ重要か知ることができる。月並みだが、人間の精神は数値で示されるものではないのだ。単なるコマと扱えないのだ。

もしかしたら歴史上のあの人物もこんなことを考えながら戦っていたのかな、と思いを馳せるのは、多角的な視点という意味で有意義かと思う。

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