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『ガールズ&パンツァー最終章』第4話の感想 公開当初に寄せて

公開直後なので、鑑賞前の楽しみを削ぐようなネタバレはなしです。詳しいストーリーも書きません。10/6に公開初日を迎えた『ガールズ&パンツァー最終章』第4話を観たので感想です。

楽しみにしていたことは間違いないものの、さすがに最速や一挙上映で、という気分に至らず。それでもきっと後半からは怒涛の展開だと、一縷の望みを託して。いや展開だけでなく公開も。カイしか合ってないね。色紙は継続の微笑ましい一コマ、でした。

通常上映で観るガルパン

『最終章』第4話は初日からDolby Atmosで楽しめる映画館が全国的に増えた様子。これは嬉しい一方、そうなると今度は通常上映がどんな感じなのか気になってくるというもの。天の邪鬼? いやいや他の上映形式と比較するために標準を体感しておきたいのです。もちろん面白ければ再度映画館に足を運びますから。

というわけで第3話に続いて、初日は通常上映のTOHOシネマズ立川立飛を選んで鑑賞。率直に言って、通常上映でも満足度高いですよ。立川立飛は相変わらず混んでないし、グッズもゆっくり買えるし、移動時間と帰りの時刻が気にならなければ穴場です。

『ガールズ&パンツァー最終章』第4話の感想

では感想。改めて、公開直後なので著しいネタバレはなし。今回は箇条書きで、詳しい感想はまた追々。


・何とも不穏な終わり方、という余韻がある第4話。戦車戦を詰めに詰めており、サービスシーンはあるものの、各校の日常シーンや試合前の様子といったものは無いに等しい。そのためか、後半は勝敗の行方やキャラクターの動向のサプライズよりも、それに至る過程がこれまで以上に省かれた印象が勝る。正直、このまま何事もなく決勝戦なのかな、と今後の展開を勘繰りたくなる。悪く言えば唐突、ぶつ切りな幕切れなのだ。

・継続戦の前半がとても面白い。戦車の動きや風景を見せつつ、各車輌の行動や思惑をバランス良く挿入している。”間”を感じる画作りが凄く上手くいっている。スピード感一辺倒ではない、緩急ある映像も素晴らしい。そこにきて、戦車の駆動や自然音が心地良い。作品内の空気や風が伝わる。第3話と打って変わって、音楽を入れない演出も成功している。

・一方で継続戦後半の映像は近作の悪い癖が出た気がする。前半との出来の落差に驚いた。背景などとても良いのに、肝心の戦車の動きが軽くて速すぎる。ピンボールや最近のレーシングゲームになってしまった。雪上は予告に使われた場面のように、もっとバタバタ、モッサリした斬り合いで魅せてもよかったと思う。終始もがくような戦いもたまには良い。アトラクション的にもアリだろう。

・また第3話から顕著だが、ロングショットを多用し過ぎている。戦車戦を俯瞰する画がやたら目につく。状況説明したい場面で便利だからなのか、せっかく面白いカメラワークで戦車の動きを見せているのに、いちいち挿入される。戦車が急にチマチマした縮尺になってしまうため、あまり必要ないと思う。

・継続戦は前話ラストの流れから、TV放映版の流れを汲んで、ワンクッション挟んで、大洗女子を描く流れ。誰が活躍、ではないというわけか。ただそれでも、新たな”隊長”の息吹はこれが観たかった、の一言。ここからの戦いぶりは新曲、新テーマくらい用意して華やかに盛り上げてくれてもよかった。また、もう少し前話までにキャラクターの関係性に尺を割いてくれていれば。作戦の打ち合わせも同様。つくづくそこが惜しい。後は河嶋桃を今後どうしたいのか。始めはギャグに見せかけてどんどんシリアスに⋯という古典的な流れでもなく、本当にきっかけだけの役回りだと寂しい。

・前生徒会長(杏)の喋り方がえらくキャピキャピしてる。あんな風に話すのは初めてではないか。最後のここぞの台詞だけ、いつものトーンに戻るのはキャラとして意図的なのか、作品としての演出なのか。

・とは言えガルパンは基本的にキャラクター、チーム、学校の関係性や個々の性格は崩したくない様子。みほは相変わらず超然としていて苦笑。想像よりあんこうチームも蚊帳の外だった。各チームを評するシーンなど観たかった。そんな味付けに毎話飢えている。今話の黒森峰のキャラ付けは唐突感アリアリ。大義や浪花節でキャラクターや戦車戦のバックグラウンドを面白くする気はなさそうだ。ここは最終章を面白くするポイントだと思っていたのだが、もう尺も限られており諦めた方がよいか。新キャラが奇を衒った外見で目を引くのも食傷気味。

・アニメと現実を混同する気はさらさらないが、今の世界情勢であの学校が観覧に来るとは。戦車に罪はない。もう登場しないかもと思っていた。戦車をあげるかわりに継続高校を突如合併⋯、は冗談が過ぎるか。

・他校の戦車戦でも急に未来を見据えた話が。聖グロリアーナの新隊長、台詞の流れで一瞬「え、あいつなの?」と思ったら違ってよかった。馬鹿め。それはそうと、今後の展開によっては割を食いそうなポジション。一騎当千の存在は、ともすれば没個性に陥るので作中で上手く扱って欲しい。前述の通り、こういうところにも不穏な空気が立ち込めているのが第4話。

・今話で登場する戦車に関しては、大した驚きはないと思う。もっとも、珍しい戦車がただ動いて欲しいわけではない。予想通り、マーク4におあつらえ向きの展開。案外強い主砲に引き込み式も役に立った。戦車の機動力と頑丈さはもうファンタジーなのでとやかく言わない。

・新OPはキャラクターに注力するのかな、というくらい戦車の影が薄い。こういう新規の映像を見ると、やっぱり戦車戦以外の描写はないがしろにして欲しくなかったと思う。

・次回予告はなし。予告するまでもなく早々に公開していく、とはならないのか。毎話畳み掛ける面白さが失われているのは残念でしょうがない。

・前述の通りDolby Atmosでの上映を話題にしたが、特に第4話は体感、アトラクション要素を意識した映像作りに注力している。リアルな音は魅力だが、そこは通常上映でもクオリティが高い。種々の音響設備が売りの映画館での上映が話題になったガルパンだが、今回はそういった映画館を敢えて選ばなくてもよさそうだ。むしろこの後控えている4DXやMX4D上映が本番ではないか。


ぜひ公開時期よりも、内容で話題先行してくれることを願いつつ、次の話を待ちたいと思います。

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