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『ガールズ&パンツァー 第63回戦車道全国高校生大会 総集編』の感想 劇場公開・MX4D上映に寄せて

第3弾の来場者特典が発表された劇場公開中の『ガールズ&パンツァー 第63回戦車道全国高校生大会 総集編』。元々BD・DVDで発売されていた”総集編”ではありますが、この機に感想を書いておきましょう。基本的に本編を視聴している前提の文章です。

※画像をタッチ・クリックすると動画(YouTube)が再生できます。

また、既に終了した映画館も多いですが、今回はMX4D上映を体感してきたので、それについても触れます。

MX4D上映の感想

前述の通り、既に発売されている『総集編』を視聴している・いないに係わらず4DXやMX4Dで体感はしてみたい、というファンも少なくないと踏んで、今回はMX4Dで体感してみた。

率直な感想としては、MX4Dで体感して「凄い!」「面白い」という実感はあまり湧かなかった。『総集編』の上映ということもあるが、一度体感したら十分という印象だ。初めて4DXを体感したときのような驚きや発見もなかった。これは既に4DXを体感した”慣れ”もあると思う。それから4DXと同様に、やはりフラッシュは画面内の効果だけでよさそうだ。

そもそもこうしたアトラクション要素自体、アクション映画ならば主人公の動作・行動に合わせた方が面白いのだろうが、ガルパンの場合、いっそ戦車戦に絞って良い気がする。その方が日常(学校)→戦車戦というストーリーに沿った切替になって、作品にメリハリがつくのではないか。ただOPのさおりんがコケる所でブルッとなるのは少し笑った。ギャグシーンで使うなら、こうした上映形式を意図したら案外使い所がありそうだ。

今後発表されるOVAの続編では、こういうアトラクション形式での劇場公開を意識せざるを得ないだろうから(実際に予定されている)、それが作品の内容にどう影響するか注目したい。それに関しては次項でも触れる。

『総集編』と今後の『ガルパン』に寄せて

内容としてはTV本編とOVA(アンツィオ戦)の”総集編”なのだが、やはり7話頃までと、OVAのアンツィオ戦は良く出来ているのを再認。総集編とは言え、観ていて胸が高鳴る。

この印象に大きく寄与しているのが、作中にある”間”なのだと思う。ストーリーとしては試合の前に練習あり、仲間や対戦相手との会話・交流があり⋯「ストーリーは駆け足」と言われつつも、戦車戦に入るまでに感情移入させる要素を外していない。戦車単体の魅力だけではなく、戦車を動かすチーム・メンバーの魅力が最低限盛り込まれている。

そして戦車戦になったときの、偵察や待機する描写の巧さ。とにかく”間”が絶妙なのだ。『総集編』でもそれは感じる。作戦の応酬に加え、試合が動いて戦車が躍動するときの臨場感や、サンダース戦で乾坤一擲の勝負に賭ける緊張感などは、近年本作がこだわっている映像・音響のアトラクション的要素に引けを取らない、本作の見所であり魅力だと思う。

例えば『劇場版』の戦車戦が目まぐるしく息をつかせぬ面白さがある一方で、どこかしら単調さを感じてしまうのは、やはりこの辺りを欠いた、戦車のアクション要素を押し出しすぎたからではないか。戦車の動きひとつ見ても、劇場版はスピード感を重視しすぎて、戦車が”軽く”みえる。

もちろん劇場公開を意識した作品作りは否定しない。音響やアトラクションとしての魅力を追求するのは、その最たるものだと思う。そしてそれは、ファンからの「面白い」という反響あってこそだろう。

だが一方で、4DX上映や極上爆音上映でもない、初めに”TV放映”という条件の中で生まれた作品の魅力が、今後のガルパンの鍵を握っているように思えてならない。杞憂であってほしいが、『最終章』が前述の魅力を忘れず、『劇場版』の単なるロング・バージョンにならないことを『総集編』を観て切に願う。

TV本編前半・OVAだけ評したような感想になったが、TV本編後半だって上記のような魅力はある(幾分後退するが)。

スピード感なら、やはり最終話だろう。黒森峰の車輌の砲塔が「らしい」スピードで回転し、目標を狙う様を観ると、「丁寧な画づくりだな」という落ち着いた作品評以上に、「やっぱティーガーはカッコいいな」といった興奮が勝る。ただ珍しい戦車が登場し、映像の中で動けばよいというものではない。また「エンジンは換装しているから」と設定をこねて、爆速で走る戦車ばかり見たいのではない。こういう戦車の魅力をもっと伝えて欲しいのだ。


今、この時期になぜ『総集編』を劇場公開するのかということについて、制作側の都合や商売の事情を詮索・憶測する気はない。ただ、『総集編』を劇場で観た後に思い浮かんだのは”これからのガルパン”、である。そしてやはりガルパンは総集編と言わず全編観て欲しいな、などと考えていたところに『ガールズ&パンツァー TV&OVA 5.1ch Blu-ray Disc BOX』の発売情報が目に入った。

5.1ch、確かに魅力的だ。だが私は、大画面・大音響でなくても、色褪せない面白さがガルパン、特にTV本編やアンツィオ戦OVAにはあると思うのだがなあ。Primeビデオも紹介しておこう。

ガールズ&パンツァー

ガールズ&パンツァー

  • メディア: Prime Video


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