デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

『ガールズ&パンツァー最終章』第3話 DTS:X上映の感想(池袋グランドシネマサンシャイン)

6月初頭に『ガールズ&パンツァー最終章』第3話をDTS:X上映で観てきました。場所は池袋のグランドシネマサンシャイン(現在上映終了)。5月は観なかったので一旦見納めも兼ねて。実は今回特にこの上映形式で、というつもりはありませんでした。その辺りも感想で触れたいと思います。

※この記事はネタバレ前提です。

グランドシネマサンシャインのDTS:X上映で観る『最終章』第3話

都内でDTS:X上映を行っていたのは2箇所。その中から平日に行ける時間帯、ということでグランドシネマサンシャインを選択。中央付近の席が余裕で取れたが、はっきり言ってガラガラだった。これは現況に加え、Dolby Atmosとの競合もあったのだろう。私はDTS:Xを第2話のときに体感したこともあり、当時の感想から何かアップデートがあればと思っていた。

では実際どうだったか。まず第3話に関しては、音響による効果、ことにDTS:Xによる恩恵はないのではないかと感じた。第1話、第2話のような劇中歌もなく、BC自由学園のような火力の高い車輌の登場や、他校試合で重戦車が活躍する見せ場は少ない。キャストの歌や爆発音で空気が震えるのを楽しむよりは、映像とストーリーに目が行くのではないか。

例えば福田対バレー部など、カメラワークからして4Dを意識しているように見える。もっとも第3話の後半など雪原なので、音のリアリティ・質を追求した結果と言えば不満はない。ただそれに関しても通常上映で既にクオリティが高くなっているので、残念だが私はDTS:Xだからこそという魅力は今回感じなかった。改めて第3話単体ならば近場の手軽な上映形式で楽しめればそれでよいと思う。

『ガールズ&パンツァー最終章』第3話の感想・雑感 DTS:X上映編

既に感想は総括したものの、DTS:Xでの鑑賞ついでに雑談したい。

やはり第3話の戦車はスイスイ動きすぎている。リアルさの薄れた、動きの軽さが目立った。『劇場版』でついた悪い癖が出てしまった。「風が吹けば桶屋が儲かる作戦」なんて、知波単の技量どうこうの前に、密林であることの意義まで失われている。今回音響面で感想を既に書いたが、この画に音響をもたらす重量感はつけられない、というのはある種正解だ。

知波単戦の後半が戦車がひたすら疾走する画になってしまったのも、そういう軽さが目立つ原因になった。第2話の知波単戦では戦車の動きと場面転換に静と動、緩急があり大変エキサイトしたのだが、今話では追いかけっこ・ジェットコースターに終始してしまった。続く他校の試合、継続戦でも機動力による見せ場が多く、作品全体でメリハリを失ってしまった。

そうした映像の中で、数少ない見せ場が知波単戦の「一点照準!」だと思う。第2話でもやっていたが、こういう攻撃までの間やコンビネーションは戦車の特性としても映える。ここには多少のフィクションがあってもよい。個人的に知波単の印象が良くなったのは、車輌の能力や個別の技量以外のこうした見せ方に尽きる。願わくば大洗女子がこんな戦い方をしてくれたら、チームワークだ成長だといえるのだがなあ、という次第である。その点大洗女子はまだまだだから、無限軌道杯の中で勝ち進んで成長していく話にしたんです、と言われるのなら『最終章』後半まで見届けて確認しなければならない。

ところで映像のスピード感と言えば、戦車の1対1はもっとバタバタと泥臭くてもよいと思うが、もうその方向に舵は切れないのだろう。その点で、OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』の3突対セモベンテは映像や音の魅力以上に「戦車道の試合ってこんな風に戦うんだろうな」という夢が見られたものだった。夢よもう一度とは、いかないか。

知波単戦の最後は福田とバレー部以外、試合後に健闘を称える描写はなかったが、これは伏線なのだろうか。別の感想でも書いたが、みほと西隊長が言葉を交わす位あってもよかったと思っている。『最終章』後半で団体戦やタッグマッチになって、そのときにみほ(大洗女子)が知波単を指名する展開になったりすると熱いが、本編の流れを見る限り妄想の域を出ないだろう。知波単も味方にすると頼りなく⋯ということも考えられる。

「どん底」でハバネロクラブを飲んだ直後の河嶋桃が色っぽい。『最終章』後の同窓会などあんな雰囲気になるんだろうか。ふとそんなことを考えると、卒業というテーマはもっと本編で切り込んでいいのにな、と思う。どうも大学入学問題といい、ギャグを入れたい・ギャグにしたいという意図は理解しているが、小手先のネタに感じてしまう。ギャグによってシリアスが引き立つこともあるし、逆もまた然りである。一辺倒では既に飽きがきている。後半でそんな雰囲気を一気にひっくり返すような気配は今の所、ない。

改めて、他校の試合と継続戦は各校のキャラクターの少なさが目を引く。知波単が車長クラスのみならず車輌と搭乗員の存在を結びつけてしまった以上、「モブ戦車」のイメージを崩さないと、この先大洗女子が対戦校の戦車を撃破しても物足りなさを感じてしまうだろう。3話時点で継続戦にそんな印象がある。まして継続は『劇場版』の頃からミカ(BT-42)単体の存在感・魅力に依り過ぎた。かねてから危惧していたことが、残念ながら『最終章』の対戦校となって露呈してしまった。とは言え第4話でどう盛り返すか、望みを託したい。

第3話は正直音楽も冴えなかった。この場面はいつもの音楽、というベタな配置が目立った。これは第2話では気にならなかったので、演出の差だと思うし、ストーリーに順当さ(=何があっても大洗女子が勝ち進む)が透けて見えてきたせいだと思う。楽曲自体にも新鮮味が欲しい。「Sakkijarven polkka」だって、カンテレ縛りしなくても良いのよ? 継続の攻勢時は是非。


ついに継続にいそうでこれまで登場していなかったキャラ、ヨウコがお披露目。スナイパーキャラは揃っているガルパンだが、さらにどういう個性をつけるのか。まさか4話冒頭でアリクイさんチームもヘッドショットで無限軌道杯終了、ではないだろう。その点は今回特報が保証してくれている。特報を出したからには1年以内、いやもっと早いスパンで公開を期待したい。「お望みの次回予告だ。あとはどんなに時間かかっても観に来るだろ?」ではないと願いたい。仰る通りではあるが。

スポンサーリンク