デジタルエンタテイメント断片情報誌

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邦画と特撮、アニメに寄せて 映画『君は彼方』

11/27公開の『君は彼方』(公式サイト)を観てきたので感想です。ネタバレあり。ポスター広告を見て知った作品。それ以外は全く事前情報なし。当然キャストやスタッフ等に思い入れもなし。ネットでうっかり情報を得ることもありませんでした。予告編すら記憶になかったです。

※画像をタッチ・クリックすると予告(YouTube)が再生できます。

もちろん公開間もないのでストーリー全体を詳細に書き連ねたりはしません。ただ、いつもは”観た人ならわかる”程度にボカすのですが、今回は多少具体的な内容かと思います。具体的に書きたくなったわけね。

直接感想と関わらない内容を少し。東京・池袋(豊島区)が舞台なので池袋(TOHOシネマズ池袋)で観るとちょっと楽しいかもしれません。

映画『君は彼方』の感想

気の置けない男女が生死の境に巻き込まれながら紆余曲折を乗り越え、恋愛成就するまでを描いた作品。内容について一言で書けば本当にそれだけだと見受けた。本作から宗教や哲学の話に拡げるのは穿ち過ぎだし、そこまで突っ込んだ箇所はなかったように思う。素直に観たまま、よくある青春をモチーフにしている。エンディングもそういう余韻だ。

本作は演出について考えさせられる。奇抜で実験的なことをやっているから、というわけではない。

例えば序盤で主人公:澪が雨の中自転車を漕ぎ出して車に追突するシーン。行動に移す場面の切替含めて、スピード感を出してやたら疾走感のある切羽詰まった画にしたが故に、無事だったのが可笑しかった。この場面、後々大事な伏線になるのだが、ハッとするよりも思い出し笑いしたくなった。シリアスも一歩間違えればギャグシーンに、をやってしまったかなという気がする。唐突さが人物描写や場面転換の緩急を全体的におかしくしているのだ。挿入歌やラストの演出まで、シリアスな場面なのはわかっているのにどうしても鼻白んでしまう。人間関係や自分の性格に対する悩みをテーマにすることを揶揄する気は全くない。だが作品の構成要素として紡いだときに残念な仕上がりになってしまったと思う。

ちなみに生死の境や霊魂の存在や演出は、近年見かける神秘的でスクリーン映えするものではなく、90年代・オカルト風味である。映像表現としても平凡。古臭く感じる向きもあるかと思う。そこに深い意味合いも感じ取れなかった。そう考えると心霊体験再現アニメ、といってもしっくりきそうだ。こうなると映画上映する意義、映画館で観る意義という点では厳しい。


余談だが、登場キャラクターから随所に東映アニメーションの匂いを感じてしまった。ちょうど東映が制作作品の記念アニメ映画を上映していたこともあるかもしれない。大谷育江が主に声を当てているガイドのギーモンは、魔女っ子や変身ヒロインのお付きの者を思わせる。そういえば巨大化して格闘するシーンはやはり東映制作の『仮面の忍者赤影』に登場する怪忍獣みたいではないか。しかも神社で戦うので一層その雰囲気が増す。

突如仲間になる菊ちゃん(この菊ちゃんの造型は割と良い)は、池袋に浴衣姿で『ゲゲゲの鬼太郎』のようなマッチングぶりだ。現代に生きる妖怪、という趣がある。その上役目と正体はアニメ映画『白蛇伝』の小青という。

白蛇伝

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演出に対する印象は前述した通りだが、実はオマージュ主体の作品なのか。それを言い出すと、どこかで見たことある筆頭になりそうな、水面を走る電車も好意的に観たほうがよいのか。こういった脱線した話題が気になるのであれば、機会があれば後々観てみればよいかと思う。どうしても映画館で、とはお薦めしない。

君は彼方

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