平時であれば『ガールズ&パンツァー最終章』第3話の公開時期についてあれこれ書くところですが、今はまず日々の状況に何かしら光明が差せばと願うばかりです。9月予定のコンサートのチケット先行受付もありましたが、楽しみに待つという気分にどうしてもなれません。
そんな今日このごろですが、それでもガルパンを楽しみたい、『最終章』とその後を見届けたいというルーチンは何とか忘れないようにしたいと思っています。
漫画『ガールズ&パンツァー リトルアーミー2』
今更ながらのガルパンメディアミックスを語る、今回はスピンオフ漫画『リトルアーミー2』(著:槌居 原作:ガールズ&パンツァー製作委員会 MFコミックス アライブシリーズ)の話です。スピンオフ漫画としては、本作と『リボンの武者』が話題作、という印象です。
もちろん『2』を読む前に『1』は読んでおいたほうがよいのですが、今回は『2』の話題中心です。コミックスはどちらも完結しています。
[まとめ買い] ガールズ&パンツァー リトルアーミーII(コミックアライブ)
- 作者:槌居
- メディア: Kindle版
[まとめ買い] ガールズ&パンツァー リトルアーミー(コミックアライブ)
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小学校時代に西住みほと出会った主人公(中須賀エミ)が再び日本でみほと、仲間と、そして戦車道と向き合う話。完結してから結構経っているのでストーリーの詳細はこれ以上特に書きませんが、なかなかツボを押さえたスピンオフです。主人公を始めとしたオリジナルキャラがガルパン世界によく馴染んでおり、アニメ本編のキャラと混じり交流しても違和感がない。今だにアニメ本編とリトルアーミーの世界をごちゃ混ぜにしたような感想や創作を根強く見かけますが、そうしたくなるような魅力があると思います。キャラクターの画はスピンオフとして文句ないし、戦車の描写も良い感じです。
そして何より『2』には大洗女子の、『最終章』の、これからを想像するヒントというか、匂いが立ち込めています。アニメ本編にリトルアーミーの要素を採り入れろ、というわけでは決してありません。ただ読んでいくと「ああ、こういうの本編で観たいんだよな」という要素が間々あるのです。
戦車道に絡めたキャラクターの過去や背景、主人公(試合相手)から見た西住みほ(大洗女子)、大洗女子以外の学校が目指す「戦車道」、大洗女子以外の学校同士の試合描写⋯。私も『最終章』の感想や雑談を度々書いていますが、改めて先取りしていた感があります。これはネタバレですが、例えば「あんこうチームを真っ先に叩く」なんて、大洗女子と対戦するならまあ思いつくよね、という具合です。そうそう、試合に限らず留年ネタも既にやっていたりします(コミックは2016年4月完結)。うーむ。
ただそんな『2』の弱い所であり、アニメ本編の影響を大いに受けている所があって、これが「アニメ本編に登場したキャラの掘りの浅さ・関係描写の希薄さ」だと思うのですね。スピンオフであるが故に、やはりアニメ本編でのイメージはそこまで崩せない。まして過剰な肉付けはファンの不興を買う。なのでみほを始めとした本編登場組の役どころは、可もなく不可もなく、というものです。正直そこまで印象的ではないと思います。そしてこの点こそ、今後アニメ本編、『最終章』が注力することによって「本編の〇〇はカッコよくて最高」「〇〇は『最終章』に限る」といった、面目躍如たる評価が溢れるポイントではないでしょうか。
アニメ本編で描写されていない部分をあれこれ想像することはとても楽しい。スピンオフもそういう楽しみを助けてくれる。もちろんファンだって語るだけでなく創作したり⋯。ガルパンはそういう余白も魅力的だと思っています。ただあまりにも「描写なし(しない)」だと、せっかくの大所帯がもったいない気がしてならないのです。妄想も虚しくなるというもの。特に大洗女子はチーム毎に車内での役割分担だってわかっているわけですから、もう一度にキャラクターに惚れ直し、ストーリーに襟を正すような、そんな味付けが『最終章』にもう少し欲しい。現状のガルパンに相変わらずそんな思いを馳せています。