”流行りの”名言集、見開き1ページに1つず名言が載っているような、『〇〇の言葉』みたいな本をよく見かける。だがあまり食指が動かない。
まず知識、情報としてはもう少し体系立てて習得したいので、出典を読みたくなるからだ。そうでなくても、解説が詳しく、興味深い体裁のものがよい。もっとも『ラ・ロシュフコー箴言集』のように、文章一つ一つが突き刺してくるような古典は別だ。
そんなことを思いながら古本漁りをしていると、巷の名言集と同じ構成ながら、異彩を放つ文庫を今更ながら見つけた。
ハローキティのニーチェ 強く生きるために大切なこと (朝日文庫)
- 作者: 朝日文庫編集部
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/08/07
- メディア: 文庫
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キキ&ララの『幸福論』 幸せになるための93ステップ (朝日文庫)
- 作者: 朝日文庫編集部
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/10/07
- メディア: 文庫
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『ハローキティのニーチェ』と『キキ&ララの「幸福論」』(朝日文庫)である。どちらも哲学がテーマである。他にもシリーズ化しており、驚いた。
サンリオのキャラグッズ展開は、面白いと思っている。サンリオのキャラ自体も好きだ。会社で年末に適当なカレンダーが貰えなかったら、サンリオの安いカレンダーを買うことにしている。普通のが何だか味気なくて。
話がすこしそれた。本の話題である。今まで生きてきて、サンリオのキャラと哲学、という発想がなかった。取り敢えず読めばサンリオキャラを起用した理由がわかると思い、買って読むことにした。でもわからない。
ただ、本文のくだけた解釈とキティちゃんの無表情ぶりは絶妙である。キティちゃんを眺めていると、これは現代の能面(女面)、喜怒哀楽全て含んだもののように思えてくる。そしてなぜキティちゃんにそんなことを感じているのか、よくわからなくなる。
でも本書に次のようにあるから安心しよう。これを読んで出典が分かる人間になりたいものだ。以下『ハローキティのニーチェ』より引用:
わかったつもりになることはわからないよりキケン。
知識や経験がないからこそできる冒険もある。
世間を俯瞰するに丁度いい言葉もなかなか揃っている。つい現代のSNSを思い出してしまう。以下同じく引用:
「良い」とか「悪い」とかつまらない言葉で割り切るには世界って本当に広すぎる。
自分が正しいと言いたいときは本質から目を背けているとき。
嘘をつかないからって、誠実ってわけじゃない。
スルーするのも大切な能力
この他に、「他人に好かれること」「愛」に関する内容が多い。正直その辺りは、ピンとこないときがある。無関心ではいけないのか。
などと考えていたら、一文に急所を突かれた。自戒しよう。
人はさみしいと、おかしくなる。