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『ウマ娘 プリティーダービー』第8話の感想 もといレース回顧

ヴィクトリアマイルは先週の感想で名前を挙げた、レッツゴードンキ、リスグラシューを中心に。オッズを見て狙ったジュールポレールがきて的中。名前を挙げておきながら馬券で迷う・買わないは博徒の”習性”だが、こうして記事にした上で当たると妙に安堵する。着差については、この一言につきると思う。

【ヴィクトリアM】大激戦に幸は勝利確信できず 2着・武豊も「どっちや!」― スポニチ Sponichi Annex ギャンブル

もっとも、土曜の京王杯スプリングカップでハズレた分を取り戻しただけなのを付け加えておきたい。

『ウマ娘』と武豊

『ウマ娘』のプロモーターであり、登場するウマ娘の元になった競走馬たちの大部分に関わりある騎手・武豊。特に先週はサイレンススズカの話でなにかとピックアップされたかと思う。

スター街道をひた走ってきた武豊のメディア露出は多く、発言や文章がメディアで取り沙汰されることも少なくない。そんな武豊と『ウマ娘』に登場する競走馬たちの”当時”を知りたいのなら、『この馬に聞いた!』シリーズ(講談社文庫)が手軽で良い。ディープインパクトに出会う前の武豊、という点でも興味深い。電子書籍はないが、通販や古本屋の店頭でも今なら格安で買えるだろう。

この馬に聞いた! (講談社文庫)

この馬に聞いた! (講談社文庫)

その影響力の大きさ故か、淡々とした、ソツのない文章が目立つ印象も否めない。ただ、今でもたまに見せるリップサービス、プロレストークはやはり不敵だ。これが15~20年前の”絶頂期”の頃の話なのだから、尚の事。文章毎にレース結果がついているのも便利。今回はこの本からの引用も交えた記事にしてみたい。

第8Rの感想

オリジナル展開を期待していたものの、いきなりジャパンカップが回想で終わってしまった。とは言え、WDT(ウインタードリームトロフィー)のようなオリジナルレースを交えるのは面白い。シンボリルドルフの勝利は、果たして順当なのか。それは今後作中でこのレースが描写されたときにまた考えたい。

そう言えば、この世界に”牝馬”を冠する限定レースはあるのだろうか。例えば「中山牝馬ステークス」のように。ダービーが話に挙がることが多いが、ダービーとオークスの参加資格ってどう違うんだ? というのも気になる。ゲーム共々、実際の性別準拠で出走できるレースが限られるのか。やはり早くゲームで確かめたい。

サイレンススズカは作中で復帰を匂わす程度で出番も少なくなるかと思ったら、なかなかの回復具合と復帰意欲だった。これなら終盤で復帰もありそう。リハビリの様子が人間そのものなのは苦笑。

それこそ先週の余韻は何だったんだ、という向きもあるのではないか。しかし今だからこそ、本作のようにサイレンススズカを描くのは大いにアリなのかもしれない。前述の『この馬に聞いた!』で武豊がサイレンススズカについて、こんなことを書いている。以下引用:

「このレース(※サイレンススズカの天皇賞(秋))が今後、武豊の騎乗に影響を及ぼすんじゃないか?」
ある新聞は、こんな見出しで記事を書いていました。これに対してファンの皆さんもさまざまに議論していることでしょう。正直にいうと、僕自身、まったく影響がないとはいい切れません。
ただ、だからといって過去ばかり振り返っているわけにはいきません。
僕を待っていてくれる馬たちのためにも、僕を応援してくれるファンのためにも、そして、僕を守ってくれたサイレンススズカのためにも、悲しみを乗り越えて、ひとつでも多くのレースを勝ちたいと思っています。それが、いま僕がサイレンススズカにしてやれる唯一の供養です。

(『この馬に聞いた!』P.122-123 講談社文庫)

この後の、武豊の凄まじい有言実行ぶりは書くまでもない。改めて、7話の”再現”に湧き立つよりも、アニメで未知なる走りを期待される方が、武豊よろしく前向きで競走馬冥利に尽きるのではないかと言う気がしてきた。


スペシャルウィークがサイレンススズカの専属トレーナー化したせいか、いろいろとレースが省略された様子。史実史実と言うつもりはなかったが、天皇賞(春)まですっ飛ばされるとは思わなかった。天皇賞(春)・(秋)制覇が大きなイベントになると予想していただけに。

・・・まさか天皇賞(秋)も飛ばしてオリジナルレース・展開なのか。これではセイウンスカイの出番がますます減ってしまうではないか。チョイ役でも、朗らかで可愛いのは相変わらずだったが。

サイレンススズカと同じく栗毛に普段はおっとりした性格のグラスワンダーが、やはりという役どころになってきた。こちらも活躍レースが省略されたが調子は順調。かねてからのライバル心に、スペシャルウィークが今後どこまで本気でぶつかるのか楽しみ。実際の対戦成績よりも、そこはオリジナル要素・展開を期待したくなる。『ウマ娘』のキャラとしては、スペシャルウィークに特別な感情を抱いている、というキャラ付け・妄想も大いに結構だと思う。その方が私も馬っ気が出る。

◆レースのハナシ

アニメでは何かと省略されたが、今回は2つほどJRAの動画から。

ジャパンカップ(1998)

またしてもサラッと片付けられたレースから、ジャパンカップ(1998)。最後の直線、ヨレているところにスペシャルウィークの若さが出ているように思う。当時はまだまだ”強い牝馬”、”強い4歳(現3歳)馬”もインパクトがあった。

ちなみにこのときの鞍上は武豊ではなく、岡部幸雄。武豊は騎乗停止中だった。その騎乗停止の理由がアドマイヤベガのデビュー戦での斜行という、出てくる名前がまた凄い。

話を戻すと、岡部幸雄はスペシャルウィークについてレース前、「(シンボリ)ルドルフに似てる」みたいなことを言っていた。フジテレビのインタビューだったか。そのシンボリルドルフも4歳(現3歳)時、ジャパンカップは3着。そして次の年は・・・。

宝塚記念(1999)

武豊がグラスワンダーに「完敗」と評したレース。武豊の挙動に是非注目してもらいたい。良い再現度だ。

アニメではレースへの集中力と目標を見誤ったように描かれたが、実際には天皇賞(春)を勝って順調にきたスペシャルウィークが、グラスワンダーとまさに一騎打ちを期して挑んだレース。当時の武豊もなかなかのプロレストーク。以下引用:

僕は常々、1頭実力が抜けた馬で勝つよりも、強い相手と戦って勝つことこそ、騎手冥利に尽きる競馬の醍醐味だと思っているので、今回のレースはとても気合が入っています。ライバルが1頭いて、この馬を倒せば何とかなるというレースは、乗り役にとってもやりやすいものです。グラスワンダーに騎乗する的場均騎手も、そう思っているのではないでしょうか。

(『この馬に聞いた!』P.199-200 講談社文庫)

アニメでもこの意気込みでスペシャルウィークが勝負していたら、レース後はグラスワンダーと熱い抱擁を交わしていたかもしれない。視聴者が負けた後の痛ましい空気を想像することもなく、ライブもノリノリで繰り広げられていただろう。それは今後の展開に期待しよう。

その他レース情報等は、netkeiba.comでどうぞ。

来週のオークスは桜花賞馬アーモンドアイがやはり外せない。買わずに後悔は避けたい。そして状態が良いと聞くトーセンブレスでもう一度勝負。サトノワルキューレ、パイオニアバイオのフローラS組も注目。

それではまた来週、お手持ちの勝馬投票券は確定までお捨てにならないようにお願い申し上げます。

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