デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

今さら池上彰の本を読んでいく

今さらなのは、わけがある。

その著作量である。新品・古本、もちろん電子書籍でも溢れきっている。「どれを読めばいいか」の前に「どれか読んでみよう」というものだ。個人的には古本で格段に手に入れやすいのが嬉しい。

そしてレクチャー形式で構成された本が多いこと。基本的な事項・事例の説明から(出版当時の)新しい情報に入っていくので、アップデートが容易なのだ。情報に得るものがなくとも、伝え方の参考になる。「ですます」調の文章がこれほどストレスなく板についている著者も決して多くはないはずだ。対談形式での引き出しも多く、対談者の話題以上に感服することがある。


そんなわけで、整理もかねて本の紹介をしたい。さすがにこの本一冊紹介して終わり、ではない。


<わかりやすさ>の勉強法 (講談社現代新書)

<わかりやすさ>の勉強法 (講談社現代新書)

「伝える」シリーズが各社新書を席巻していたが、後発で勉強術や情報・知識の収集方法に特化したもの。「伝える」、「表現したい」以前の土台をいかに日々の生活で固めるか。それをいつもの易しい表現でコンパクトにまとめたもの。こんな場末の記事を書いていても大きなテーマであり、流して読んでおくだけでも有益かと思う。直接人と出会って聞く、インタビューのコツにも触れており、長年報道に携わってきた「らしさ」も垣間見える。


池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界 (集英社文庫)

池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界 (集英社文庫)

池上彰の講義の時間 高校生からわかる原子力 (集英社文庫)

池上彰の講義の時間 高校生からわかる原子力 (集英社文庫)

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」

「伝える」術が炸裂している『高校生からわかる』シリーズ。テレビで見たまんまの池上彰を感じる、良い意味でイメージ通りの本。これで物足りない・易しすぎるのであれば、参考文献も載っているので、ここから各種専門多岐に渡ってもいい。この本にイデオロギーのようなものは、私は感じない。『イスラム世界』を読むだけでも最近のニュースが繋がると思う。ただ「高校生からわかる~」と言われると、高校生時分では手にしなかったかもしれない。背伸びしたかったからね。そして大人になってこういう本を必死に読むと。


一時期、本屋のビジネス・教養コーナーを席巻していた二人の対談集。古本屋では今も状況変わらずか。これもイデオロギー云々ではなく、勉強術トークを楽しめる内容。紙ベースで知識を吸収してきた二人のネットに対する現在のスタンスも載っていて、ネットとの付き合い方に行き詰まっている人には参考になるかもしれない。確かな情報源・公式情報の重要性にも触れている。時折入るコラムは、「知識や情報収集も大事だが、やっぱり愛嬌や可愛げみたいな人間的魅力ってズルいよな」と思うことしきり。二人の書斎の写真は、遊び心含めて正直憧れる。


書く力 私たちはこうして文章を磨いた (朝日新書)

書く力 私たちはこうして文章を磨いた (朝日新書)

かねてから池上彰がそのセンスに注目していた読売新聞の「編集手帳」担当、竹内政明との対談。簡潔に、短い文章でも読ませる、伝える、不快感を与えない、そんなエッセンスと体験談を語る本。業界用語はあまり使わない、「好きな言葉」や「好きな表現」には気をつける⋯思い当たるフシがあると、自分の文章も顧みたくなる。日々大量に文章を量産する、この二人のネタと表現の秘訣に、ちょっとだけ触れることができる。ある種ファン向けの新書かもしれない。

スポンサーリンク