デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

エッセイの感想とおいしいフランスのパンが食べたい

28日は仕事を休みにしていたので悠々自適に過ごすことができました。普段から急な対応に備えて柔軟に働いており、休みを迎える前に慌てることもありませんでした。もちろん仕事や休暇に対する職場の理解・サポートも十分で、つくづく今の職業には満足しています。

⋯というわけで実際のところ現況から大きく外れた内容ではないのだが、不思議なことにこういうブログの書き出しはあまり見かけないものだ。もしかして「今日は仕事納めなのに忙しい」「年内はまだ出勤がある」といった話題から始めて、自分を取り巻く環境に対しての不平不満を交えつつ床屋政談でもしたほうが、世の中ウケるのだろうか。そして文句タラタラの割に「自分はデキる」アピールを文中に欠かさなかったりして。

そんな事を考えながら、冒頭は多少誇張と嫌味を込めて書いてしまった。これにHNでも添えていれば役満か。しつこいか。


久々にあるエッセイを読み返していたら、「パン」のことがどうにも気になってきた。クリスマスのケーキを食べた後だというのに、頭の中はパンのことだ。

そういえば「おいしい」パンを食べたことがない。いや、パンの「おいしい」という基準が実は曖昧だ。焼き立てである、手作りパンならば、という程度の認識でしか食べていない。そもそも「おいしい」パンとは何ぞや、という話だ。

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読んだエッセイは『女たちよ!』(著:伊丹十三 新潮文庫)である。著者によると、「うまいパン」を食べると「人生観が変わってしまう」らしい。それもフランスのパンだそうだ。食べたことがない。フランスに行ったこともない。ブログで食べ物の記事を読むのが好きなくせに、てんで意識していなかった。

女たちよ! (新潮文庫)

女たちよ! (新潮文庫)

じゃあせめて日本でもうまいパンが食えるのかしら、と読み進めていくと「青山五丁目のピーコック」のフランスパンが「どのフランス人に聞いても」うまいと言うそうで。このエッセイは50年前のものなのだが、「ピーコック」って、あのピーコックか。もうすっかり「日本向」の味で販売してそうだが。


『女たちよ!』は『ヨーロッパ退屈日記』の続編にあたるが、この本はとりわけ食事とクルマの話題が中核となっている。おしゃれ、洒脱、皮肉、センス、こだわり諸々の要素をかじりたいときの入門書として、今なお価値が失われていない。時折入る洞見には、思わず唸る。本のタイトルから想像がつきそうだが、現代のSNSで展開すると「炎上」しかねないような話題・表現もある。だがこれをエッセイの範疇としてニヤリとさせる、頷きながら読ませるのが筆者の魅力であり、腕前といえる。


そんな文章を書いてみたいが、まずはおいしいパンを知るところから始めるか。

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