デジタルエンタテイメント断片情報誌

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都内で年末近くにベートーヴェンの交響曲第9番『合唱付』を聴きに行く

ベートーベンの交響曲第9番『合唱付』の話題を毎年この時期に何かしら記事にしている。クラシック好きにとって、格好の話題といえるだろう。そんな『第9』の総括ではないが、巷の演奏会がひとしきり終了したのを見計らって放談したい。

年末に『第9』を聴くことについて

日本で毎年この時期に『第9』を演奏する所以については諸説あるので、今回特に紹介はしない。もはや演奏会とそのパンフレットですら、その話題を詮索することは少ないように思う。気になるのならば、検索すれば飽きるほど見識を深めることができるだろう。

余談だが、第二次大戦下に山田和男(一雄)が指揮した『第9』(1942)が配信で聴ける。前述の日本における『第9』の歴史を追っていけば辿り着くことがあると思うので、せっかくだから聴いてもらいたい。合唱は日本語訳詞。当時の状況を考えると、別にドイツ語でも構わない気がするが⋯。詳細不明。


ちなみにプロの演奏家はこういう演奏を聴いて、「あ、やっぱりバイオリンは私の師匠の音ですね」「このフルートは〇〇さんだな」といったことがわかるらしい。何だか他力本願な表現になってしまうが、単なる演奏会情報や演奏の善し悪しだけでなく、そういう素人がわからない話題・情報がもっと供給される時代になって欲しいと切に願う。


ダラダラ書いたが、もちろん「年末にこぞって『第9』を聴かなくていもいいじゃないか」と冷笑する向きがあってもよいだろう。前述の通り、年末(12月)に演奏することについて作品やベートーヴェンに纏わるエピソードがあるわけではない。評論家の俵孝太郎など、「一犬虚に吠えれば番犬実を伝える群衆心理大国・ニッポンだけの珍現象」とまで書いている(『新・気軽にCDを楽しもう』 コスモの本 P.136)。

ただ、これだけ毎年演奏しているのだから、おそらく日本のオーケストラ・指揮者にとって、『第9』は”基本メニュー”みたいなものではないか。そしてそのことがクラシックを聴く興味の端緒になるのであれば、声を大にして否定するものでもないと思う。

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都内で年末に『第9』を聴きに行く

私が今回紹介したいのは、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の『第9』である。都内で毎年『第9』を演奏するプロオーケストラで、おそらくもっとも年末に”第9演奏会”を行う団体である。12月は忙しいが年末なら時間が空く、仕事帰りに”第9”でも・・・といった向きにもオススメだ。ちなみに私は昼に中央競馬のホープフルステークスで多少スッてから出かけた。貴重な休みに無駄遣いである。話がそれたが、他のプロオーケストラのチケットが比較的早く売り切れていく中、はっきり言って東京シティ・フィルのチケットは、取りやすい。今回も9割程度の入りで、空席を目にした。

www.cityphil.jp

このオーケストラの演奏会を選んだ個人的な理由だが、まず今年紹介したチャイコフスキーの交響曲第5番のCDで指揮をしていた堤俊作が創設したオーケストラ、という話題の繋がりがある。

そしてもう一つが重要なのだが、日本国内で聴けるオーケストラの技量や普段の演奏会の様子はあらゆる機会を通じて知っておきたいということだ。

特に現代音楽・日本人作曲家の作品が演奏されたときに見かけるのだが、演奏頻度の少ない曲を演奏したときに限って、やれ「今回この作品を演奏した〇〇(団体・演奏家名)は新たなステージに突入した」やら「特に気合が入っていた」などと褒める手合がいるのだ。一体、普段からどれだけ聴きに来ているのかと疑いたくなる。

音楽配信・ダウンロードサイトが便利になったとはいえ、日本の演奏家やオーケストラの演奏を聴く機会はまだまだ少ない。そんな将来の楽しみのためにも、このオーケストラの演奏を予め聴いておくことは有益だと判断した。以下公式サイトより当日の曲目:

第九特別演奏会2018(12/28(金)19:00開演)


モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314
ベートーヴェン:交響曲第9番 二短調 作品125「合唱付き」


指揮:高関 健 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
オーボエ:イ・ユジン
ソプラノ:半田 美和子 メゾ・ソプラノ:池田 香織
テノール:宮里 直樹 バリトン:大西 宇宙
合唱:東京シティ・フィル・コーア(合唱指導:藤丸 崇浩)


さて感想だが、聴き応えのある演奏会だった。『第9』も「版」とその解釈の問題がごく当たり前になって久しいが、一口で言えば「知っていれば楽しいが、知らなくても聴かせる演奏」で、唸った。

第2楽章の反復などに注目したファンもいるだろうし、私に至っては対向配置から繰り出されるチェロ、コントラバスの低弦の迫力に満足した次第である。東京文化会館でもこうした響きが作れるのかと嬉しくなった。指揮者の高関健はレパートリーだけでなく、こうした仕掛け・試みが面白い、要注目の指揮者。


今年はこんな具合に演奏を堪能してきた。今の時代、生で体感することに再び価値と注目が集まっていることだし、興味があれば近場の演奏会へどうぞ。

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