生活に季節感を取り入れる、というのは服装や食事といった日常行為でも自然に行われていることかと思いますが、音楽ではどうでしょうか。卒業シーズン、春・・・等々。クラシックに限らず、そういう音楽を配信で探すのもアリでしょう。
それでは、今回のクラシック音楽も便乗して・・・と言いたいのですが、正直まだ時期尚早かな。暖かくなったと思ったら、何となくまだ寒い。三寒四温なんてよく言ったもので、こんなときは有名曲もありつつ、そんな春の気分になりきれない季節に相応しい曲もあり、という作曲家の音楽にしましょう。もう記事タイトルで書いてますがね。Spotify、NML共に充実しています。
あと一題はちょっとヒネった、日本の春といきましょう:
グリーグの管弦楽曲全集とピアノ曲
劇音楽『ペール・ギュント』といった突出して有名な曲を残している一方で、日本では案外グリーグの魅力というのは伝わってないのではないか。前述の『ペール・ギュント』やピアノ協奏曲を聴く機会は少なくないが、グリーグにはもっと知られてよい管弦楽曲やピアノ曲がある。もちろん交響曲も残していたりする。
作曲家とその家族も生前、曲の普及に努力したおかげか、ヨーロッパでの演奏や録音には恵まれている方かと思う。この手の音楽の録音ならお手の物のレーベル、BISが体系立てて収録している他、管弦楽曲全集ならauditeの全集が好企画だ。豪奢な響きでなく、室内楽のような趣で、弦楽器をよく捉えた録音が大変好ましい。
この全5集がSpotifyはもちろん、NMLでも聴けるのでお薦めしたい。「2つの悲しき旋律」(OP.34)や「弦楽合奏による『2つのノルウェーの旋律』」(OP.63)の弦楽器の合奏が素晴らしい。特に『2つのノルウェーの旋律』は馴染みないかもしれないが、チャイコフスキーの弦楽セレナーデをもっと質素・素朴に、そしてより切々とさせたような曲調が、季節的にも合う。
『ペール・ギュント』組曲は第1集に収録。まあそうでしょうね。
「2つの悲しき旋律」(OP.34)と「弦楽合奏による『2つのノルウェーの旋律』」(OP.63)は第2集に収録。
交響曲とピアノ協奏曲は第4集にカップリング。
ピアノソナタのアンダンテも、染みる。ピアノ曲は管弦楽曲からの編曲も多いので、どちらからハマってもかまわない。
日本の春って、どんなもの?
春というテーマをクラシック音楽で探すと、ヴィヴァルディを始めとして色々でてくるが、まあ通り一遍すぎるので、これが私の日本の春よ、という曲を紹介してみよう。今回は敢えて、現在CDでしか聴けない、春。
別宮貞雄の作品集(fontec FOCD2510)より、交響曲第3番「春」。

- アーティスト: 東京都交響楽団,別宮貞雄,若杉弘
- 出版社/メーカー: フォンテック
- 発売日: 1993/07/25
- メディア: CD
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作曲者によると、春スキーをしているときに曲想を得たそうだ。ここで描かれる春の訪れや、終楽章の盛り上がりは、春らしく朗らかで、何だか鈍臭くて本当に良い。これは大変誉めてつもりなので誤解なきよう願いたい。このノリが、たまらないのだ。
いわゆる前述のヴィヴァルディ辺りも好きだが、こちらの”春”の方が、私にはしっくりくるなあ。聴きやすい曲なので、お薦めしたい。
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