配信サイトは色んなジャンルの音楽が検索できて、ジャンルの垣根を越えて行き来しやすいからこそ、素晴らしいとは思いませんか(検索の精度はともかく)。これがショップの「〇〇(ジャンル)のコーナー」を物色していると、ある程度ジャンル分けされていて、最初から「興味ないし」で片付けて手にとることも聴くこともないわけで。
CD・レコードを「手に取る喜び」に匹敵する魅力が、配信サービス・ダウンロード販売の「手軽に素早く、幅広く目に入り、聴ける」魅力ではないでしょうか。どちらと言わず、両方駆使して音楽を楽しみたいものです。もう同じこと何回も書いてるなあ。
そんなわけで、興味が湧いたらクラシック以外の音楽を聴いたって構わないのです。今話題の映画『ボヘミアン・ラプソディ』でテンション上がったら、もちろんSpotifyにもサントラからクイーンの各種アルバムまで、ガッツリ揃っています。例えば『オペラ座の夜』もちゃんとありますよ。限定盤仕様で。他の配信サービスに引けは取りません。
こんなことを書いておきながら、私はカーペンターズも好きなので、イヤらしく続けて紹介してやろうじゃないの。今年、つい最近の新譜が全曲聴ける。ロイヤル・フィルの演奏によるアレンジ。なんとまあこの記事向きの話題が、タイミングよいこと。Every sha⋯ 一応これ以上はやめておこう。
どちらのグループにも好み・思い入れはあるでしょうが、まずは聴きたい音楽を聴いたらいいんじゃないでしょうか。新しい・古い、同時代云々だって些事ですよ。クラシックなんて4、500年前から始まって今に至るのに。
クラシックの紹介が二の次っぽくなったところでお品書き:
管弦楽曲の”一発屋”
前述の話題と併せて、「一発屋」と書くと、正直語弊があるかもしれない。ここでの「一発屋」とは、「〇〇(作曲家名)といえば?」で挙がる曲目が1、2つくらいまでの作曲家のことである。そしてその作品は概して「初心者・入門向き」と言われたりするまでがセットだ。「通俗曲」と御通家ぶった言葉が用いられることもある。一発屋に限らず、(有)名曲揃いの作曲家の曲も、押し並べてそう言われることがある。
だがそんな曲こそ、永遠・普遍の価値を理解し、追っていく必要があるのではないだろうか。お、これはクラシックというジャンルに限らないのでは?
⋯実際、好きになる曲が多いからしょうがない。毎日でなくとも、繰り返し聴かれ続けて、あるいは演奏され続けて今があるのだ、と胸を張りたい。
ビゼーから『「アルルの女」組曲』。オペラ『カルメン』があるし、ちょっと苦しいか。どうしてビゼーが思いついたか? それは前述の話からバレバレであって欲しい。
日本でも都響を振ったりしている、ヤン・パスカル・トルトゥリエ指揮アルスター管弦楽団の演奏。ホールトーンを活かしたChandosらしい録音が良い。
以前紹介したことがある、アルブレヒト指揮読売日本交響楽団は凄いキレと歌いまわしの独特さ。この機会に是非。
自分にも厳しい人物だったらしいデュカスの『魔法使いの弟子』。Spotifyの再生曲ランキング上位が全部この曲で爆笑。いやいや曲は大変素晴らしい。ミュンシュ指揮ボストン交響楽団のフランス管弦楽曲名曲集で、フランク、サン=サーンス辺りも聴いてしまいたい。
ホルストの『惑星』。管弦楽曲、吹奏楽曲にも良いのがあるが、この曲の知名度は突出。バーンスタインが指揮した、ここぞというときの雄弁で落ち着いた曲の運びが好き。
曲は割と書いているのに歌劇『ルスランとリュドミラ』の序曲ばかり有名なグリンカ。セーロフ指揮ヴォルゴグラード・フィルの演奏。快速さと心地よさのバランスが絶妙。受け継がれる本場の味、などと書くのは野暮か。
指揮者の”一曲屋”
マーラーが好きな御仁なら知っているであろう、マーラー交響曲第2番『復活』専門研究者兼指揮者、ギルバート・キャプラン。彼の残した録音3つ、全て聴ける。最後の録音になったウィーン室内管弦楽団との小編成版は、音の響きは小編成による違和感なし。極めればこうなるし、なれるという証として紹介。
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