昨年末から順次上映されている『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です!』の最後、第4幕が4/10から公開されたので感想です。この時期なのでガルパン本編も含め、ネタバレもあり。公開時、すっかりグッズのスペースも小さめになり⋯私の行った映画館だけかもしれませんが。流石に立ち姿のアクリルスタンドは阿漕だよなあ。
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『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です!』第4幕の感想
最後はどういうエピソードを持ってくるのかと思ったら、平常運転という感じのソツのないチョイス。スピンオフだし、コミック版との比較や小ネタで騒ぐような作品ではないと思う。まずは気楽に構えて楽しければ問題ない。
聖グロリアーナのエピソード選択については少し『最終章』第5話を意識しているか。聖グロリアーナの生徒だと地毛ネタはやらないのだな。地味なキャラネタは正直好み。ルクリリなどは見た目に反して、というところもあるわけで。むしろこういうネタこそ、これまでの『最終章』本編に入れる余地は大いにあったはずなのに、と思ってしまい口惜しい。他校潜入ネタで、今後もし『最終章』でネタ被りしたら、さすがに小手先過ぎる。戦車戦は映像の魅力で訴えかけつつ、ストーリーで、演出で魅せると一層引き立つと思うのだが、もはや作品はそういう方向性でないのだろう。ミニペコネタは可もなく不可もなく。
本編でネタが充実している、下地のある生徒はやはりスピンオフでも楽しい。カバさん(歴女)チームのことである。『らぶらぶ作戦』に不可欠な存在だと思う。たかちゃんひなちゃんなんて、どれだけ擦られているやら。つくづく『これが本当のアンツィオ戦です!』は偉大だったなと再認。あのOVAがなかったら『劇場版』から『最終章』と続かなかったかもしれない。一方で、他の登場人物、せめて大洗女子のチームメンバーだけでもあの位は作中でキャラクターの厚みをつけてもらいたかった。それくらいOVAは完成度が高かった。
逆に『劇場版』からの登場で、人気もあるのにさほど上手く料理ができてないなと思うのが、継続高校、特にミカである。第4幕でキャラが崩壊している、と言いたいのではない。『劇場版』の感想でも度々書いているが、いかにも存在を大きく、意味深に見せようとしているのが、ギャグだとしても薄ら寒いのだ。本編でその調子なので、スピンオフでも中途半端な、苦しい崩し方しかできていない気がした。「もうひとつの戦車戦」は、エピソード自体はよくある創作の域を出ていない、という印象。個人的には感動したり、感慨深いタイプの過去の因縁、邂逅ではない。むしろ本編でこういうのをやってなくてよかった、とすら思っている。後付け感アリアリ、というエピソードで好まない。ただ、戦車戦の見せ方が丁寧で良かった。臨場感は、戦車の動きだけでなく、車内や乗員の姿を描くことでもまだまだ表現の余地があると思う。その意味で愛里寿のように、個人にフォーカスして一騎当千キャラとして持て囃すのは本編共々、避けて欲しかったのだが⋯。果たして『最終章』はどうなるか。
また、ガルパンの近作は、アニメーションの宿命なのか、戦車を飛んだり跳ねたりさせたくて仕方がないという思惑が映像に表出しすぎている。アニメを使ったアトラクション化している。TV版の頃と比べて、すっかり展開の、映像の緩急が乏しくなった。後述するが、『リボンの武者』パイロットフィルムについても同様の印象を受けている。
第1幕から第4幕を通じての印象としては、悪くないスピンオフだが、本編以上に感銘を受けたという印象は残らなかった。本編パッケージの特典で細々とアニメ化すれば良いものを今更、という気もした。キャラクター、キャストが喋る姿を観て嬉しくなるのは、むしろ本編での登場頻度を思うと寂しくなる。個人的な好みで言えば、コミック版のプラウダ絡みのエピソードやホラーネタが好きだっただけに映像化されなかったのは残念。
『最終章』第5話の特報PVが公開
劇場で第4幕の終演後に『最終章』第5話の特報PVが上映されている。そしてついにYouTubeでも公開。
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一見して、試合会場は港湾の様子。過去記事で予想したが、やはり新車輌は出てきそうな流れである。コメットか、ブラックプリンスか。いずれも車輌のスカートの感じが違う気がする。あとは、チャーチル内にいつも鎮座しているあの娘もいないようだ。うーむ、第4話の澤隊長といい、この辺もう少し本編に伏線なり織り込めなかったのだろうか? 第5話でポンとエピソード入れるのだろうか。果たしてそれは10年かけて唐突に見せたかった展開なのか、甚だ疑問である。
あとは毎度、対戦校の方が戦車の数が多い試合を見せられるのは、正直飽きてきた。何だかんだ、善戦してるように演出するために撃破数の帳尻合わせが入るから。だからこそ『最終章』は敗退もストーリーの妙味になるかと思っていたが、そんなことを書いても時既に遅し。あとは勝敗だが、もうここにきて大洗女子敗退は面白くも何ともないのでなさそうだ。伏線もないし、敗退からストーリーが膨らむ余地が残されていない。
それにしても本編は今のところ無限軌道杯の決着で『最終章』を締めくくる雰囲気で、改めて間延びしたなと思う。少なくとも10年以上かけるお話ではなかった。『劇場版』のストーリーで廃校の焼き直しに舵を切って、それがウケてしまったからこんなお粗末な客商売になったのか。だとしたら、チョロい客として『劇場版』を観に行った私なぞにも責任がある、というわけか。今までの試合のペースだと一話で丸々一試合したら第5話で決勝戦終了だと思うが、どうなのだろう。そこは第6話で決着、しかもまた最低3年は待たせるのか。溜息が出てしまう。
『リボンの武者』パイロットフィルムについて
ガルパン本編と違うカラーを出したい意図は理解する。それにしても、動きが、映像が軽い。やはり、地を這うようなリアリティはあっていいと思うのだがなあ。まして軽戦車クラス、小さいからこそである。人が恐怖を感じるスピード感はもう少し出せるはず。
映像にハッタリはあってよい。だがハッタリありきが過ぎると、「別に戦車でなくても、いいよね?」となるものだ。もはや戦車を描く、ではなく、悪い意味で既存のアニメーションのメカやマシーンを描く技法に落とし込んでいはしないか。SNSやムックで細部へのこだわりに関して関係者諸々の話題を見かけることもあるが、その辺り、リアリティを求める関係者とアニメーションとして成立させたい現場とのせめぎ合いなのだろうか。私には知る由もない。余談だが、そういうリアリティとの塩梅が絶妙な実写映画を最近観てしまい、実はそういう表現に大変飢えている。別にこれだと披露したいとっておきの映画でもないのでリンクしておく。
私は少なくともこういうのを実写とアニメーション作品の差や格である、などとは書かないし、書きたくない。ただこういう作品の心意気は『最終章』でも観たい、観たかったと書いておく。実は今回、皮肉にも第4幕の『もうひとつの戦車戦』が割とこうした原点回帰のような演出だっただけに、些細なアラが余計目立つ。アニメーションならではの表現は大事だが、少なくともパイロットフィルムは『最終章』本編共々、映像の、演出の緩急を忘れているように思う。後は漫画というメディアで始まった作品なので、漫画ならではの見せ方、”間”がどこまで再現できるか。色々書いたが、もし制作されるとしたら期待して鑑賞したい。
とはいえ、既に完結しているのでざっくり書いてしまうと、所詮は本編ありきのスピンオフなので、本編の重力に逆らえない作品ではあることは念頭に置いておきたい。本編のキャラ以上にオリジナルキャラの魅力が突出しているかというと、残念ながら超えられなかったと思う。その辺り、正当な続編によるガルパンの広がりを期待していた時期もあったが、もう厳しいか。
最後に、このようなストーリーもののスピンオフのアニメ化は、まずは『最終章』全話の公開・完結ありきでやって欲しいところだ。『最終章』が当初どのくらいのスパンで完結を予定していたかは知らない。だが、ここまでくると「先に『最終章』完成させてね」が正直なところ。コースの食事がまだ終わってないのに、2軒目や飲みなおしの話は気が早い(『らぶらぶ作戦』でもあるまいし)。もっとも、コースの料理が出てくるのが遅すぎるのが大問題ではあるのだが。ファンとしていつまでも待つ、と吹聴したところで、飢え死にするまで料理を待つのは傍から見れば滑稽だろう。
今年2026年10月9日に公開予定の『最終章』第5話がどういう出来映えか、見届けたい。

