デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

『ハイスクール・フリート(はいふり)』6話の感想

『はいふり』は毎週、最速の放送(MX、BS11)前に予告がyoutubeにアップされます。といっても、別に観ても観なくてもどちらでもいい予告です。

それにしても、キャラと声が頭の中で一致していないと、映像・音声共にツライ予告ですね。艦長、副長に、キャラが煩わしく感じる操舵手のリンちゃん、1話から地味に出番があるかよちゃんと、4話の海面ジャンプ芸が光るタマちゃん位は憶えたのですが。あと、一人芝居がつまらないココちゃんね。キャラ萌えも難しいものですね。


『はいふり』6話の感想ですが、インパクトは5話に譲りますが、地味ながら見所が多く、目が離せない内容となっております。

お馴染み、大人たちの状況と慌てぶりから話がはじまるのだが、相変わらず台詞で埋め尽くしており、描写もクソもない。ストーリーがどの程度進行しているのか説明するためにやっているのだろうが、特に晴風との関係・連携が本編の描写と噛み合っていないため、毎回リセットされているように感じる。名前だけゾロゾロでてくる艦も同様である。

また今回「3重の安全装置」などという新設定がしれっと出てきたが、設定をとにかく継ぎ接ぎしているだけであり、もう深く考えるだけ無駄だろう。補給するのが困難という理由だけで、武蔵の燃料と弾薬を満載させたのも、どうせ「そうしないと都合よくドンパチさせられないでしょ」に帰結すると思うと、視聴者が考察と称して設定を勝手に"盛る"必要もない。

頑丈な艦長と乗り物が晴風に戻るまでの一連のシーンについては、まとめて書いておこう。大変素晴らしい。ここまで徹底した作品とは恐れ入った。

5話の感想で、艦長が幼なじみを助けに行く一連の展開を「作中でどのキャラも”活きない”展開」と書いたのだが、本当に一貫してその展開を突き通している。ここまで前代未聞の展開をやるのだから、後半によほど凄まじい、感動的な結末が待っているのだろう。そういう試みに「素晴らしい」といいたい。ちなみに私は前回、「度肝を抜かれた」と書いたが、今回は、唖然としてしまった。

艦長は自分の信念や「海の仲間〜」の言葉の真意を独白し、悩むわけでもなく(=視聴者が知りたい「作中、あの場面で幼なじみを助けに行った行動の意味・拠り所」を見せるわけでなく)、「艦長失格なのかな」という、自分の立場と副長に説得されたことに対する疑問・不安しか呈していない。もう「私の行動がストーリーの前提ですから」という、視聴者から今後の展開の予想も期待も取り上げた、自己中心的な”仕掛け”と捉えられてもおかしくない。今後は何をやっても、「でも、艦長が正しいんだろ?」となるわけだ。ここに、「艦長はかくあるべし」、「艦長も女子高生(人間)だから」といった視聴者の感想・意見は全く的外れで、不要になる。

そのための伏線として前回、リンちゃんとの絡みがあったとすると、話が繋がる。キャラ萌えの御仁には申し訳ないが、もうリンちゃんは魅力あるキャラクターではなく、作中で艦長を担ぎ上げるための”単なる道具”になりかけている。一人称と話し方でつまらないキャラ立てをしているドイツ艦の娘も同様だ*1。風呂でのシーンもそのための流れだと思うと、キャラに萌える気も失せる。今後風呂にいたメンバー、いや艦長に関わるキャラ全てが”軽くてバカな”神輿の手のひらで踊らされるのを観て、楽しいかどうか。

こういった兆候は当然、副長の描写にも出ている。前回の説得は艦橋メンバーの様子含めて有耶無耶(艦長はよそよそしくなっただけ)、支持してくれそうな信奉者は既に艦長の”見えざる力”に飲み込まれそうだ。前回、副長以下、晴風で艦長を追いかけたことも大概だが、作中でその判断の是非すら描写を与えられない。前回までなら、「今後の話で艦長派・副長派の派閥ができるような展開があるのかな」と予想していたが、これはもう悪い意味で、ないだろう。そんな話の進め方はできなくなった。視聴者に今話で「おかしいのは副長では?」と思わせたらシメたものなのだ。実際には何もかもおかしいのだが。

途中で武蔵の対応を話していたが、キャラも魅力を感じない・世界観も不明な*2この世界で、今後どうするかを話されても、何の議論をする気もない。テクノロジーも不明だしな。どうせ設定は後出しするんだろ、で終わりである。まあ、たまには名前を出した艦の描写ぐらい、もう少し絵にして動かしてみたらどうかね?

そんな私の荒んだ心のオアシスなのが、ネズミ(らしき生物)なのです。ネズミが変なウイルスに感染していたんですって! しかもタマちゃんの血液からもウイルスが検出されたそうです。前回の感想で書いた、「タマちゃん超人になった」説が現実味を帯びてきました。嬉しいなぁ。こんなのは話に乗っておけばいいんですよ。繰り返しますが、テクノロジーも不明なんだから。

ウイルスを撒いた黒幕は、遠慮無く総攻撃できる相手がいいですね。個人的な趣味で恐縮ですが、ネズミの親玉みたいな怪獣も出せばいいんじゃないでしょうか。あ、それを見て五十六が自分の意思で巨大化して戦うのはどうですか? え、艦隊戦はどこいった? もう何でもいいですよ。

後半はオーシャンモール、入江に続く恒例の突発シチュエーション、霧中で機雷処理。1話の感想で「艦長」アクセントに触れたときも書きましたが、マニアックな知識・こだわりをただ表現するだけでなく、作品の興味になりそうな構成にすればいいのに、相変わらず唐突ですね。話の本質は、前述の「艦長最高」展開に繋がるので、各感想は手短にします。

カレーなんかネタにしなくても、ちゃんと護衛艦で出るような食事してるじゃないの。こういうさりげない「こだわり」を積み重ねれば良いのに。妙に粘り気のない納豆の描写と掃海の説明は、噛み合っていないのに、重ねないで欲しい。ドイツ娘の食い物の話は不要。

それから、私は4話のトイレットペーパーネタを相当腐したつもりなのだが、どう考えてもこの掃海の方が重要ではなかろうか。なぜ、トイレットペーパーみたいに全員集まって話をしないんだ? この作品のキャラクターには見せるべき”役割”も求めてはいけないようだ。それなら、艦長始め誰が何をしてもいいし、どうなっても責めない・咎められないよな。

タマちゃんが機銃撃って、また発作が起きれば良いのにと思ったが、なくて残念。水雷長のようなキャラクターが”活きる”作品世界なら、存在が許せるのだが、やはりキャラも世界観も、何も活きていないのがもったいない。「海に生き〜」の下りは、何というか、晴風乗員の心が繋がっている描写をそこまで見せられていないので、寒々しかった。

これだけスキッパー(海上を走れるカッコ良い乗り物)の活躍機会があるなら、ライフジャケットなり、作業用ウエットスーツなりデザインしとけば良かったのにね。”海上保安庁も納得”以上に、制作側に作品へのこだわりが全くないことがよく分かる。

前述の通り、この作品のキャラクターに”役割”を求めてもいけないようなので、機雷の爆発に巻き込まれた乗員を再び艦長が自ら助けに行っても、もう何も思いません。何はともあれ、「艦長のための」描写ですからね。操舵のリンちゃんまで一緒に行っちゃいましたね。2人が機雷にやられて死んだらどうする? そんなことを考えなくてもこの作品は大丈夫です。「そんなことはあるわけがない」という前提で視聴する作品だからです。ね、無茶苦茶でしょ?

リンちゃんの独白も、助けられたかよちゃんも、全ては艦長中心にするための"道具"。ホント、溜息が出るほどよく出来た構成だわ。めっちゃおいしいよ、めっちゃおいしい。

もはや乗員一人助けるために、艦長以下全員、晴風放り出して助けに行く、みたいな展開があっても驚かない。それでもぬけの殻になった晴風が敵に沈められるの。そして「艦長は強運」と讃えられると。新しい艦乗り換えイベントで丁度いいじゃない。レミングみたいですね、ネズミだけに。

次回は、衛生長が狂って機銃を撃ちまくる展開に期待します。


*1:もう注で書きますが、話し方や語尾でキャラ付けしないとキャラ立てできないくせに、それに対する作中でのつまらないツッコミや、一人芝居タイムで毎回時間を潰すのは勘弁して欲しいです。

*2:話が前後するが、この作品の琵琶湖って、どこにあって、どんな形状になってるんですかね? もし元ネタがある・他作品からのオマージュなら言っておこう。そんな遊びを入れる前に、本作をしっかり作ってくれ。ダウジング描写も同じく。

スポンサーリンク