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『ハイスクール・フリート(はいふり)』11話・12話の感想

時間を置いて観直したら、何か新たな発見でもあるかと思ったら、観直す度に気が重くなるだけだった。

8話でネズミ(ラット)のネタばらし、9話でその解決編を見せられたら、残りの武蔵救出がどうなるか大体想像を”つけてしまう”わけで、期待値がすっかり下がって臨んだ11・12話の感想を残しておきましょう。前後編としての中身は悲惨でしたが、ええ。10話にも色々と追い討ちをかけられましたな。

・11話
武蔵の居場所(最後の決戦場)については、別に伊豆半島沖でなくても、よかったよね? 作品の世界観もぼやけていて、かつこの世界の日本がどういう体制なのかも有耶無耶なのに⋯。しかも緊急事態だと騒ぐ度に、学生にそんな物騒な艦使わせていたのか、という話になってしまう。比叡の時(8話)もそんなこと書いたなあ。

世界観といえば11話で出てくる校長の二つ名ですが、この世界の海はなかなか危険に満ち溢れているようですね。⋯だったら尚更じゃないか。ちなみに校長は12話で何かやってくれるのかな、と思うのが素直な見方だと思ったのですがねぇ。そこは外すのね。まあ、二つ名が出た時点で非常に萎えました。

それにしても期待のブルーマーメイドは作中で凄い凄いと言われつつ、役に立ちませんでした。あの無人機(飛行船)であれだけ近づける隙があるのなら、空から武蔵に乗り込めたのでは? と思えてしまうのが悲しい。乗り込めたら、あとは高校生でも倒せる相手ですから。それにしても、この世界の飛行船はダサダサなデザインですね。湯たんぽみたい。飛行機のない世界、色々と辛いねぇ。

11話では、今まで散々「これじゃどのキャラクターも活きない」やら「エピソード披露が遅い」と感想で書いた、艦長のもかちゃん・晴風のメンバーに対する想いがまた拗れます。いや、これにはまいった。想いに迷いはあってもいいし、一直線でなくても良い。ただ、さすがに最終話の前にやるなら、5〜9話位で消化しておいて欲しかった。10話の祭エピソードを経てこうなった、と言われたとしても、(祭エピソードの挿入含めて)この間に伏線なり展開を仕掛ける余地は十分あったと思う。掃海や人命救助をやったことも、その流れなら活かせる。本当に残念。

これまでのもかちゃんと武蔵の艦内の様子もここにきて披露。一瞬、時系列が掴めなくて焦った。艦の動向含めて時間経過の描写がイマイチだったので、日付を表示するくらいでは混乱する。もうネズミ(ウイルス)には突っ込まないで、とでも言いたげな片付けっぷりに、苦笑。もかちゃん以外の武蔵乗員がいかにもモブキャラで、なんというか、もう少し気の利いたデザインにできなかったのでしょうか。もかちゃんだけ浮いてる。

「マヨネーズ〜」のくだりは正直、語尾と話し方のキャラ付けでしか認識していなかったキャラクターが都合良くしゃしゃり出てるな、という印象。これをやるなら、科ごとのエピソード回みたいなのがやはり欲しかった。このシーンに限らず、晴風のメンバーが艦長のことを口にする度に「言うほど(艦長と)接点あったっけ?」と思ってしまう。入学したて、とは言えだ。

そして相変わらずのBGMとともに艦長が立ち直って、12話。

・12話
12話がまた凄い。何が凄いって、視聴していて、込み上げてくる諦念が凄い。悪い意味で最終話、「次の話は、もうない」を意識させてくれる。

初っ端の校長からして、11話でチラつかせた”活躍”はしないときた。まあ、今更アンタに活躍されても、というのが正直なところだが。

そして最終話もタイトルに偽りあり、の1対1。この作品に期待して、視聴後最も残念な気持ちになるポイントだと思う。申し訳程度の援護が駆けつけるだけ。いやあ、そういうのを期待していたんじゃなくて⋯艦隊戦、なんだなあ。

あと、人によってはこれも地味にマイナスではないかと思うのが、作中でちょくちょく出てくる男性。「女性しか登場しない世界」に無理があると思ったのか、「その役、別に男じゃなくてもいいよな」みたいな配役でも男を使ってくる。作品として面白ければ、女だらけだろうが野郎ばかりだろうが一向にかまわないタチなのだが、作品のスタンスとして中途半端だったと思う。

それから最終話は、この作品ですっかりその魅力の虜になってしまったカッコ良い乗り物・スキッパーが活躍しなくてショックだった。というのはもちろん嫌味だが、それはそれで、今までの活躍描写(特に艦長絡みで)は何だったんだ、という気がする。

晴風が武蔵にタックルすると停船するんですね。まあ武蔵を牛耳っていたネズミも有耶無耶な感じだし、これ以上の薀蓄や史実は、私はもう要りません。知っても作品が物凄く面白くなるわけでもないですし。

そんなこんなでもかちゃんと艦長の再会。陸に上がったらまず風呂ですね。はい、BD特典完成。晴風のメンバー、結局全員名前を憶えられませんでした。最後は晴風が犬神家リスペクトして終わり。アニプレックスだけどね。
え、史実? そういう趣と思い入れは、残念ながら晴風には感じなかった。ハッキリ言って、パパっと風呂敷を畳まれた、いや撤収作業のような締めくくりだった。

エンドロールで10話の航海科ラップのシーンが流れて、申し訳ないが笑ってしまった。渾身のシーンだったのか⋯。



回を重ねる毎に期待感が薄れ、それに合わせるかのように、面白さも尻すぼみになる作品だった。疑問や不明な点も、正直多い。面白いかどうかについては、4話を観てこの作品は「つまらない」とハッキリ書いたが、如何につまらないか、書いたなりの責任もあるので、ストーリーの振り返り等々織り交ぜつつ、今まで感想を書いた。結局、この感想を覆すような展開は、なかった。

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