デジタルエンタテイメント断片情報誌

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『ハイスクール・フリート(はいふり)』7話の感想

そろそろ作品も折り返し地点ですが、7話の感想前に2つばかり作品にまつわるトピックを。

◆作品に注目したきっかけと、ここまで視聴して

元々「軍艦が出て、乗るのは可愛い女の子」と聞いて注目して、当然艦同士でドンパチも期待しました。いやあ、自分の期待・予想以上に、作品の方向性がよくわからなくなってきました。

毎回戦う(相手がいる)わけでもなく、艦隊としての描写もない。ただ、エピソードの前後や結末はともかく、6話の掃海みたいな活動描写は、正直悪くないと思った。初めから「可愛い女の子が、海の厄介なお仕事に立ち向かう」でよかったのでは? それならスキッパー始めとしたオリジナル要素満載でも文句はない。しかしこんなことを考えてしまうほど、軍艦が出る、という魅力さえ薄らいできた気がする。

◆今だからこそ、1話を艦長(ミケちゃん)中心に振り返る

ここらで、1話を艦長(ミケちゃん)中心に振り返ってみましょう。古い話の記憶は曖昧になりがちですし、何より1話は7話の感想を語る上でも、持ってこいの内容なのです。今更ですが、「ミケ」ちゃんだからネズミなのかなぁ。なるほどなぁ。

幼なじみのもかちゃんとの回想、会話。晴風を見て「あそこが家(うち)になるんだな」と呟くミケちゃんの台詞も、今聞くと味わい深い。そういえば「海の仲間は皆家族」はもかちゃんの台詞だったのね。いやあ、これでどうして5話がああいう風になるのか⋯。やはりミケちゃんは5、6話で艦を飛び出す前(の話まで)に、この台詞が重みを増すような内面・背景描写が必要だったと、改めて思う。ちなみに自分の理想の艦長像を語るときにも「海の仲間〜」を使っており、結局自分の行動が、もかちゃんも、晴風のメンバーも裏切ってしまうことになるわけだ。こうしてちょっと1話を観直すだけで、この後のお話作りの悲惨さが浮き彫りになる。

1話前半の艦橋での自己紹介の流れから、出航準備の流れ・台詞はメリハリあってカッコ良い。作品の性質からか、現実の「学校生活(女子高生)」や「社会」を引き合いに出されて語られることも少なくない本作だが、こういう切り替えは現実世界でもあるだろうし、創作としても話が締まる。普段の描写との落差で、「ギャップ萌え」みたいなのも狙える。個人的にこの路線で行くのかなと当初思ったのだが、色々思惑が外れた。

後半の遅刻の下りで、1話から勝手に艦橋を離れていたのを思い出した(ただ、遅刻の連絡はちゃんと入れていた)。この辺りの描写含めて、「艦長としては有能」キャラにしたかったというのはひしひしと伝わってくる。

それにしても、1話から既に展開・構成がよくない。これは今だに作品の足を引っ張っている。バナナのシーンに代表される、しょうもない話の繋ぎや、後半の緊張感あるシーンをはぐらかすような会話(それでいて何気なく多用される「海の仲間〜」という台詞があとで作品の首を締めてきたりする)、話の本筋・キャラの魅力を描く前に並べただけのサービスシーン等々、そういう作品の駄目な萌芽に事欠かないのも1話だったりする。

1話の戦闘描写はやはり良い。艦長含めて、晴風メンバーが今よりまとまりあるように見えるのが、悲しい。出航までの流れと同様、今後に期待させてくれる。その流れで次回への引きがくるのだから、まあ2話以降のストーリーに注目するだろう。艦をメインに扱うのだから、話の原因はミケちゃんを中心とした登場「人物」にあると1話では思ったが、これ以上は言うまい。実際には次話以降、前述の構成やサービスシーンで、毎度状況もよく分からなくなるが。

他に全体で目についた点としては、1話はキャラクターの表情付けがまだ気合が入っていて、これを観た後に最近の話をみると、表情の変化に乏しく、随分のっぺりしているように見える。この辺りも、作品を観た時の印象に影響しているように思う。あとは、副長の声が今より上ずっていて苦笑。今のほうが落ち着いた低めの声で好き。副長の信奉者も1話から出てくるが、思ったより重要なキャラなのかねぇ。


それでは『ハイスクール・フリート(はいふり)』7話の感想です。今話は低調だった5、6話から大幅にパワーアップした、ファン必見の大変充実した内容です。語りたいことが盛り沢山で困りました。座りが良いので、前回の感想同様、予告も貼り付けてみました、キャハ。

今回はいきなりお風呂シーンからですよ。もう何を観ても「前回どんな話だったっけ」となるのだから、始まりはこれでいいか。衛生長とネズミはどうなった? とか言っちゃダメですよ。私はネズミのファンですが。

そしてトイレットペーパーに続いて、水不足ですか。もう船にまつわる薀蓄はネットの既存の情報か、公式サイトやグッズでの解説を待てば良いのではないでしょうか。この後、トイレも風呂も塩水だ、飯は缶詰だ、洗濯した下着の匂い等々挟みますが、特に語りたいことはありません。トイレットペーパーで、盛り上がるだけ損だとわかったので安心です。ちなみに展開としては相変わらず生きません。それは7話を最後まで観ればわかります。

晴風で武蔵を追いかけて、本当にどうするんでしょうかね。まさか今度こそスキッパーで突っ込む展開かな? しかし、衛生長の話はすっ飛ばされましたが、武蔵の原因はネズミで確定なのですかね。

上のトピックで1話の表情のことを書いたが、艦長と副長の関係がギクシャクしているのを描きたいのは分かった。ただ、それよりも水不足の話題が先のせいで、トイレが使えなくてモジモジしている描写か? みたいなことを一瞬考えてしまった。本当に、こういう些細なところが観ていて落ち着かない作品だ。

そして素早く霧とともに雨が降って、水はあっさり解決第一弾。ね、語る必要ないでしょ? 衛生長登場は前回の話の続きを見せるのかと思ったら、今話では全貌はわかりません。7話で抗体と報告書もブルーマーメイドに渡しますがね。伏線としては普通だが、正直、作品の本筋として水不足描写より優先させて欲しい。だってこの作品を観ている以上、ネズミが気になってしょうがないんだもん。

さすがに「雷が怖い」というキャラ付けまでどうこう言うつもりはない。ただ、7話で艦長の過去エピソード披露は遅い。遅すぎる。主人公中心に話を動かすなら尚更だ。それこそ3〜6話の間に複数散りばめて、いくらでもキャラの厚みできたものを。5・6話の感想で度々書いたが、艦長の言う「家族」の意味や重みがわかるのとわからないのでは、観方が全然違う。今やられても、5・6話の艦長の行動に対する疑問、作品のつくりとしては描写の不足や構成の不味さを目立たせるだけである。

また、艦長のエピソードが家族の”死”に絡むものなので書いておこう。こういう海での事故・死をエピソードにするのであれば、4話のタマちゃんの海面ジャンプみたいな、ネズミが原因なのか何なのかよくわからない、妙な不死身描写を入れないで欲しい。タマちゃんの海面ジャンプの感想を書いた時に、「この一瞬の演出なり作画だけで、作品世界をぶち壊す位の威力を秘めている」と書いたが、残念ながらそれに該当してしまった。

そんなことを思っていると、荒れた天気に間髪入れず座礁船からSOS。エピソード自体は悪く無いと思うが、タイミングが都合良く見えすぎるのは、作品の欠陥なのでとやかく言わない。ただ、作中で海にまつわるテクノロジーがどの位進歩した世界観なのかよくわからないので、個人的に「この世界なら対応も手慣れているのでは?」みたいな良い方向の期待をしてしまう。特に座礁船の船員はこの世界の「大人」なのだから。要はかなり楽観的に観てしまって、作品への没入度はあまり高くならない。

ようやく艦長が、副長とのエピソードを踏まえてスキッパーで飛び出しませんでした。しかも割と艦長の指揮・指示自体は悪くなさそうで、何ともチグハグしています。特に今回トピックで取り上げた1話を踏まえても、別にミケちゃんが艦長に相応しくない、という話をしたいのではありません。

艦長は今話で自分の役割を確認するくらいなら、それこそ5、6話でも迷えよ、というわけだ。そこに晴風メンバーの役割も描写できるし、7話で家族や「海の仲間〜」のエピソードを知ってしまったら尚更だ。それがないから、艦長中心の描写でありながら、ああいう不可解な行動にみえる。そして艦長以外もロクに描写していないから、作品全体に妙な”しこり”が残る。7話を観て、「艦長が飛び出していたのは、副長が今まで「自分が行く」と言い出さなかったのが悪い」などと視聴者が思ってしまうのなら、相当出来の悪い作品だ。5話の感想で書いた、「誰も”活きない”展開」はまだ続いている。

さすがにウェットスーツは着るんですね。もうセーラー服のままダイブしても怒らないのに。気合の入ったスケスケ描写が観たいですね。救助については、座礁船の船員は何やっとるんだ、という気がしたが、ここもツッコまないことにする。可愛い女の子が活躍するのだけ観たいんですよ、私は。もちろん嫌味ですよ。ドイツ娘も大概だが、晴風メンバーをもう少し活かせないのかね。前半で水不足エピソードをやっていましたが、救助した人に温かい食べ物・飲み物は用意できるようです。はい、水不足は既に解決第二弾。

副長の多聞丸捜索のエピソードはネタバレしません。もう何も言うことはありません。オチ含めてファン必見の、『ハイスクール・フリート』屈指のエピソードです。未見の御仁は必ず観て、語り継いで欲しいです。ちゃんと言えよ・聞けよ、でオシマイ。

ブルーマーメイドが空から来たぞ! スキッパー、カッコ良い! これも2話の感想で書いており、手前味噌で恐縮ですが、やはりスキッパーが進化している未来の方が作品として自然だなあ。スキッパーに乗るときは、専用の服に着替えるもんだよな。晴風にもスキッパー専門の乗員がいても良かったのにね。エースパイロットみたいな位置づけで。そうすれば5、6話辺りの艦長エピソードでも”キャラ”として使えたのに。

そんなこんなで改心した艦長と副長の良い雰囲気現場に、タイミングよく居合わせた副長の信奉者。これがネズミにやられて艦長の命を狙うのですか? 前回の描写は何だかんだで艦長になびく伏線だと思いましたが、ネタとして面白そうな方向に裏切ってくれることを期待します。もかちゃんとのエピソードが入ったが、前述の通り、タイミングが遅いし、事前にこのエピソードを入れた上で、迷いなくもかちゃんを助けに行くことができるか? という疑問も浮かんでしまう。厳しいねぇ。

次回の引きは、もうなにも考えないことにします。どうせほのぼのシーンか、間抜けな大人たちの描写で始まりですよ。


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