休みのときに仕事のことは考えない方針なのだが、厳密にはそうでもない。こうして記事を書いたりするからだ。
正直に書くとするなら、自分が今、本当に苦しんでないことは話題にできる、ということか。もちろん、苦しんだことはある。
働きだすと、残業や休日(取得)の問題が社会問題としてだけでなく、周囲や自分を取り巻く問題であることを改めて認識する。
私自身も学生時代は、ビジネスや経営について学び、多少は情報を仕入れていたつもりだ。会社とは、仕事とは、どんなものなのか。昨今はそこで得た知見や驚きを意欲的にSNSで発信する人も少なくない。私も時代が時代なら発信していたかもしれない。
だがそんな前途に前向きな姿勢だった人々がいざ社会人生活を始めると、ロクに発信もせず黙々と日々を過ごすようになる。実生活でも、SNSの発信でも「忙しい」、「休みたい」と言葉少なになる。その原因の一つが、初めてあるいは数少ない経験として、残業や休日の問題に直面しているからではないか。
これは私の個人的な体験と狭い範囲を観察した限りの実感だが、巷を賑わす「仕事」や「思考」について発信している人にはその剣を収めることなく、この問題にも継続して斬りかかっていただきたい。敵(とは大げさか)はまだ、潜んでいる。
そんなことを考えながら、安く購入して積ん読しておいた本を読んでいた。しかし、この手の本は、まだまだ取るに足らない。大抵現状報告プラス個人の体験によるアドバイスでお茶を濁している。役に立つものが少ない。大体それなら私でもできらあ、というものではないか。多少はね。
- 作者: 常見陽平
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2017/04/01
- メディア: 新書
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ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか (青春新書インテリジェンス)
- 作者: 熊谷徹
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2015/08/04
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ドイツ人は、他者のために行う労働の時間と、自分のために使う時間を厳密に区別する。
ドイツの企業では、管理職も含めて、「余人を持って代え難い」、つまり「その人でなくては仕事がつとまらない」という状況は、ほとんどない。そのかわり、担当者が2週間会社に来なくても、他の社員がお客さんの問い合わせにすぐ対応できるように、書類や電子ファイルをわかりやすく整理しておくことが徹底されている。
親が子どもの勉強を見なくてはならないというのも、ドイツ人が会社で長時間働かない理由の1つである。
(中略)
彼(注:ドイツ人)は「子どもの教育とはきわめて重要なものであり、学校だけに任せることは間違いだからだ」という答えが返ってきた。彼は、「子どもの教育は知識の習得だけでなく、人格形成でもあるのだから、親が責任を持って実行しなくてはならない」と考えているのだ。
この他、個人的に耳が痛い内容も含まれており、働き方の指針を考える上で参考になる。もちろんドイツならではの”弊害”も載っている。ドイツ人やこの本に限らず、「隣の芝生は青い」ではなく、少しでも実在する仕組みを知り、意識しておきたい。
この本にも載っている諺だが、この問題に関しては「水清ければ魚棲まず」(清廉すぎる人は、人に親しまれず孤立してしまう)を恐れすぎないで欲しいと願っている。