音楽でもゲームでもアニメでも何でも良いが、最近自分の”趣味”を意識するときに、座右に置いている本がある。『気軽にCDを楽しもう』(コスモの本、著:俵孝太郎)だ。
この本は、クラシック音楽を聴くこと・CDを集めることを趣味にして、CDを集める人の心構えから、具体的なライブラリーづくりまでが明快に書かれている。しかも実際に収集するCDの選定など、趣味としてかなり具体的に、また著者の好みをさりげなく織り交ぜながら構成されているため、紹介されている曲・演奏はすごく聴きたくなり、購入したくなる*1。
また、どういう曲・演奏かの紹介はあくまで簡潔で、詳しく書かれてない(自分で聴いて確かめろ、ということですな)のも、文章に著者の変なハシャギがなくてよい。著者の知識・経験で時に脱線もするが、巷によくある入門本よりも、著者の本気・本物ぶりがよくわかる。
クラシック音楽の話をこれまで数回行なったが、現在古本でしか手に入らないのが惜しい本である。紹介しているCDの情報をアップデートして、話題に昨今の状況を多少加味すれば、今でも十分通じる本。ある程度自分のマニア度が高まってから読み直しても面白いし、新たな発見がある。
最後に、この本の第2章『CDを集めるための12か条』から引用をしておきたい。コレクター同士が集まってクラブを結成し、自分達の情報・物々交換や、欲しい演奏の復刻を目指したが、数年で分裂状態になり自然消滅した、という話のくだりでの一文*2。
文献やカタログを唯一の頼りに、一枚のSP・LPを掘り出すためには、中古店の倉庫や古物商の蔵にへたり込むことも辞さないかわりに、クセが強く、自信家揃いのコレクターには、クラブなど、本来向いていないのだろう。レコード・コレクター同士のつき合いは、中古レコード店の店頭や輸入盤店の陳列台の前に限った、淡きこと水の如きものであるべきである。なんとなれば、レコード道楽は徹底的に個人的な楽しみなのだし、レコード・コレクターは、みな君子なのだから。
世の中には色んなマニア、オタク、ファンがいるが、個人的にはこの心意気・誇りが聞こえてくるような人でありたい。
※古本しかないのがつくづく残念ですが、続刊もあり、オススメですよ。
- 作者:俵 孝太郎
- メディア: 単行本
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