今週のお題「私のアイドル」
SNS等で身近になった一方で、知りたくなかった側面が即拡散される現況とスキャンダルがやはり嫌で生身のアイドルから離れ、これならばとアニメやゲーム、バーチャルといった”2次元”アイドルに勤しんでいたら、今度は公式や制作者といった関係者のゴタゴタが気になったり、結局演じている声優という”3次元”に商売が移っていたりして、再び落胆。永遠のアイドルとはなんぞや、そんな逡巡をしている御仁は少しくらいいるのではないか。
そして何より、こういう時、記事の書き出しを考えるために辞書やWikipediaで「アイドル」を調べる黄金パターンを試したのに、日本の「アイドル」という定義にしかネタが辿り着かなかった自分がイヤにならないか。なりました。
しかしよく考えたら私自身、日頃よく聴くクラシック音楽というジャンルで、アイドルを追っかけているみたいなものなのではないか。そんなことを思いついたので、音楽話がてらにアイドル紹介といこう。
私にとってのアイドルその1 死んでいる指揮者
「死んでいる」とは、もう少し包み隠す表現があるだろうに、というところだが、わかりやすさとインパクトを重視よ。まあ、既に亡くなっている指揮者でも、残された音源が何時でも聴ける。もちろん、一発屋だっている。没後数十年経って、「新譜」が発掘されることもある。”音質重視”で音源が売れることもある。アイドルの楽しみ方だね。でも、この世にいないので、スキャンダルで本人が”自爆”することはない。良いねぇ。
まあ、生きている指揮者は残念ながら色々大変なことになってますから。モントリオール交響楽団との録音は好きなものも多いのにな⋯。
・旧ソビエトの指揮者エフゲニー・ムラヴィンスキー
もうね、エソテリックのSACDなんか、”お宝写真集”みたいな扱いですよ。
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/essg90037_38/index.html
モノラル時代の録音が聴けるのも、過程を楽しむ昨今のアイドル的要素ではないでしょうか。その意味で、1948年のチャイコフスキー交響曲第5番が晩年にないロマンチックな解釈で好き。
- アーティスト:Bach, J.S. / Trizno
- 発売日: 2018/06/01
- メディア: CD
私にとってのアイドルその2 オーケストラというアイドル・グループ
オーケストラのファンもそうだ。実際演奏会場に行くと、「今日のホルンは○○さんだね」みたいに個別の演奏者に注目する楽しみ方があったりする。下衆な話だが、男性・女性演奏者目当てのファンもいる。
・シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立管弦楽団)
今のアイドルで言うと⋯ちょっと例えられないが、深窓の令嬢の如きイメージの音楽集団、というとムラムラくる向きもあるのではないか。レコード・CD、音源販売も多く、特にCD時代は徳間やBERLIN CLASSICSといったレーベルで録音が安価・大量に購入できた。徳間は応募券商法もやってたな。まさにアイドル・グループじゃないか。
そんな”彼女”たちが、若々しく勢いもある頃の指揮者ブロムシュテット(男性)と共演したら⋯アイドルなら怒り狂うファンも(昔は)いたかもしれない。でもクラシックならそういうのは大歓迎。ベートーヴェンの交響曲全集が素晴らしい。
そういえば、オーケストラは”名器”なんて賞賛されますが⋯イカンイカン、前回のお題で『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫)なんて読んだせいだな。世の中、”アイドル”が頑張ってくれているおかげで日本のレコード会社が潤い、各社のクラシック音楽部門が潰れなくて済むという話もあるので、日本のアイドル界隈はどんどん盛り上がって頂きたい。私もまだまだクラシック音楽CDなんぞガンガン買っているので、足を向けて寝られないんだなあ。