デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

クラシック音楽・(割と)最近発売のCDから雑談

これだけ音源が手に入れやすくなった昨今、新譜の紹介をするなら、少なくともダウンロード販売のないもの・CDを買わなきゃ聴けないものが情報として少しでも役に立つんじゃないか、と思って日々物色している(今後の記事でもそういうものを考えている)。そういうわけで比較的新しめのCDの雑談を。

・私の好きな指揮者で、リボル・ペシェクという人がいるのだが、どうもあまり話題になっていないような気がする。チェコの指揮者として、例えばエリシュカのように”知られざる”指揮者、というわけでもないし、録音も極端に少ないわけでもない。むしろ最近でもポツポツと新しい物が発表されている。それなのに、う〜ん、どうしてなのか。

最近では、チェコ・ナショナル交響楽団と録音したマーラーがお気に入り。録音開始も2007年頃と比較的新しい。マーラー生誕100年の時にビクターの国内盤企画から始まったと思うが(その時は第1番・2番・4番・5番を録音)、レーベルを変えて継続しているようだ。

歌心やパッションを忘れず、それでいて曲全体は冷静にザッハリッヒな整理をしてきて(ペシェクの指揮の特徴でもあると思う)、大変気持ちよく聴ける。オケの音色も良いので、もっと評判になって欲しいシリーズ。マーラーのファンにも注目してほしいなぁ。Amazonになかったので、2013年録音の9番(OUT 060)の画像を。主要な取扱店は、国内ならタワーレコード。


・東京交響楽団の「名曲全集 第119回」(2016/7/10)で主要協奏曲が一斉に取り上げられた伊福部昭だが、そういえば昨年発売された『生誕100年記念コンサート』CD(ZMM1509-10)の話をするのを忘れていた。

実は、『生誕100年記念コンサート』当日の演奏は、聴いていてなんとなく不完全燃焼な印象を受けたのだが(客席の反応もそんな感じだった)、改めてCDで聴くと色々と面白い。

『SF交響ファンタジー第3番』の節回しは、物凄く独特。納得いかない、許せないという御仁もいるかと思う。既発盤(『伊福部昭の芸術4』等)があるので、所持している御仁はもちろん、題材の映画を観たことのない御仁にも臆せず聴き比べて頂きたい。それぐらい、違う。私などは『キングコングの逆襲』の愛のテーマが、ウットリするような演奏で惚れ惚れしている。また『キングコング対ゴジラ』のコング輸送作戦なんて、整然としていて味わい深い。全体的に速すぎないテンポ設定が、また良い。

『交響的エグログ』はオケ、ソロともに冴えない印象。これは当日受けた印象と同じ。筝が演奏したら、オケが鳴って⋯という単なる交代作業のような、一体感をイマイチ感じない演奏。名曲全集の演奏では、大分良くなっていたので安心した。何だかんだで、まだまだ演奏頻度の少ない作品である。オケ・奏者の好不調の波や衰えを断罪するほど聴く機会にも恵まれていないので、今後の演奏機会・演奏の良化を期待する。そこでまた、聴き比べたい。

『リトミカ・オスティナータ』は演奏会で聴くと楽しいことこの上なかったが、録音を聴くと難曲なんだなと、つくづく思う。ピアノは良かったが、スピード、軽やかさ、”打楽器”としてのピアノ⋯まだまだ求めたくなる。贅沢か。また当日はそれほど気にならなかったが、やはりオーケストラのモタつきを感じてしまう。これもライブ故の仕方ないことなのか。新しいスタジオ録音で聴いてみたいなあ。

『釈迦』は弦楽器が良い。ちょっと初演の録音を思い起こしてしまった。『SF交響ファンタジー第3番』の演奏と同様に、これも節回しが独特。好みが分かれそう。曲としてはもう一つ盛り上げて欲しかったかな。ちなみに曲が終わってから、割とすぐに拍手や歓声が入っているが、演奏会当日は指揮者が手を下ろすまでの間が録音よりも長かったはずだ。指揮者の「ああ⋯」という安堵したような声が聞こえて(手を下ろすまでの間も含めて、正直作為的な印象を受けた)、ようやく手が下りて拍手、だったと思う。あれをそのまま収録しても、という判断か。

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