クイズを楽しんだことがありますか。なぞなぞ、でもいいでしょう。子供の頃、家族や友達と他愛もなく種々のクイズやなぞなぞの出し合いをした経験がある人もいるかと思います。もちろんそれだけでなく、TV番組からゲームアプリまで、クイズは今も昔もエンターテイメントの主役を担っています。
そんなクイズやなぞなぞですが、身近な日常生活にも数学や論理はちゃんとありますよ、というのを示してくれる存在でもあります。今回はそんな懐かしくも、懐かしいだけで片付けたくないクイズ本を軽く紹介したいと思います。
クイズの題材としての数学と論理
社会人になって、数学や論理の重要性に気がつき、巷の関連書籍を漁る⋯まあ私のことなのですが。そして入門・基本的な段階から学び直す度に、記事冒頭で書いた実体験が頭を過る。「こんなクイズ昔やったな」「ああ、あの計算ね」という具合に。
そんな数学や論理を絡めたクイズがコンパクトにまとまっている本が古書で安く手に入ります。『この問題、とけますか?』(著:吉田敬一 だいわ文庫)です。片面1問で、ページをめくると解答という形式です。
- 作者: 吉田敬一
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2017/02/11
- メディア: 文庫
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本の体裁は専門家だけでなく、普段数学に関わっていない一般人にも意見を聞いたとのことで、順を追った平易な解説が良いです。また、そうした一般の人の思考の道筋が解答例に参照されていることがあり、”思考”を手段として活かすことの重要性がよくわかります。
序章では世界各地の古典や実際に起きた事件を例に、発想の転換や視点を変える「らしい」クイズも含まれています。こちらは古典を振り返る楽しさがあるかと思います。
そういう問題を経て、さらっと数学の問題を含めてくるのが無性に嬉しくなる。以下引用:
ある男が長さ1.3mの釣竿を送ろうとしましたが、窓口で一辺の長さが1mを超えるものは送れないと、断られました。
しかし男は、ある工夫をして見事、送ることに成功しました。男はどんな工夫をしたのでしょうか?
釣竿を折ったり曲げたりすることは出来ません。
私は実生活で、釣竿ではなく、ポスターでこの場面に直面したことがあります。解答まで引用しませんが、ピタゴラスの定理ですね。
後半からはパラドックスが問題として登場します。ごく簡単なものだけ、以下引用:
1枚の紙の表には
「裏に書いてあることは嘘です」
と書かれ、裏には
「表に書いてあることは、本当です」
と書かれています。
これは、どう解釈したらよいでしょう?
哲学を勉強していると導入部分で「あるある」の、有名な「クレタ人は嘘つきだ」です。”クレタ人”を知らなくても、「嘘つき村の住人に質問したら⋯」みたいなクイズを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。「ある事象を本当(嘘)だと仮定すると~」で解けますね。
こういった基本的な問題から応用問題まで、気軽に楽しめます。ページをめくってどれだけすぐにわかるか、”早解き”も一興でしょう。
ちなみにこの本で数学はやっぱり面白いなという実感を掴んだら、下記のような本を読み進めれば一層興味深く感じることでしょう。数式を用いた説明が多いですが、決して難解なわけではなく、実際に書きながら読むと理解しやすいと思います。
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/19
- メディア: 新書
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まとめに:数学や論理は自分には関係ない?
今回紹介した本を読むだけでも、我々は遊びながら、学びながら、数学や論理を反芻し、今も実生活でそれらを用いていることがわかります。そしてときに惑わされたり、つい言い訳として口走ってしまったり⋯。中には自分でも「おかしいな」と思う瞬間があるかと思います。
世の中の様々な意見や考え方に触れる機会も圧倒的に多くなりました。直接対話しなくとも、公的に発表しなくとも、自分の判断や考えが必要になる機会は少なくありません。そんなときに知識・教養と大上段に構えなくとも、身近な事柄から順に考えていくと、”難しそうな”問題でも案外本筋は見えてくるものではないでしょうか。
そんなきっかけとしてこんなアプローチも大いにアリ、かと思います。