デジタルエンタテイメント断片情報誌

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忘れたくない「日本のうた」と新書

新書が好きだ。程よい文章量に手軽なサイズ、そしてジャンル不問のラインナップが興味を惹く。

そんな新書で自分の趣味、クラシック音楽からたどり着いた「日本のうた」にまつわる内容のものがある。『これでいいのか、にっぽんのうた』と『演歌のススメ』(著:藍川由美 文春新書)である。新書も新旧入れ替わり、流行り廃りが激しく、電子書籍で読めない良書も少なくない。この2冊も現在は古書での入手になるかと思う。

ソプラノ歌手の筆者が歌唱法を中心に楽譜の研究・調査を経て、いかに「日本のうた」を歌い、文化として継承していくかを説いた2冊である。

これでいいのか、にっぽんのうた (文春新書)

これでいいのか、にっぽんのうた (文春新書)

「演歌」のススメ (文春新書)

「演歌」のススメ (文春新書)

正直に書くと、専門的な見地の記述も多く、一、二度の通読では頭の中でこなれない内容かもしれない。

だが我々が学校の音楽授業で何気なく見て、歌ってきた楽譜・歌詞の「現代仮名遣い」と「歴史的仮名遣い」にまつわる発音、例えば「思ひ出づる」のひ(い)の発音と歌唱についてなど、「ああそういえば」と得心が行く箇所が少なくない。日本語の奥深さの一端が垣間見えると思う。

他にも歌にまつわる近代日本の歴史、”作者不詳”の「文部省唱歌」がどういう経緯を辿ったのか等々、興味深い内容が続くので、ぜひ読んでほしい。近代の歌にまつわる歴史を扱っているが、例えば戦前・戦中の歌を無根拠に礼賛するといった、いわゆる思想やイデオロギーを「寄せてくる」内容では決してないことを念の為書いておく。広く自国(日本)の歌の意義を問うものである。

日本のうたを聞く

藍川由美は書籍で世に問うだけでなく、「日本のうた」を歌い続けている。歌唱に関しても実践しているわけだ。その歌唱に好みはあるだろうが、私などは”歌いっぷり”が大変好きで、見かける度に購入している。過去に別の記事で紹介した内容とも被るが、素晴らしいと思ったものは何度紹介してもいいだろう。


藍川由美が再評価を世に問うている古関裕而は、まず『栄冠は君に輝く~古関裕而 作品集』(カメラータ・トウキョウ)を聞いてみてほしい。野球の好き嫌いを越えて、『栄冠は君に輝く』が、『六甲颪』が、『闘魂こめて』が染み渡る。詞の良さも再認。Amazonプライムにはないようだが、Spotifyで配信有。

栄冠は君に輝く~古関裕而 作品

栄冠は君に輝く~古関裕而 作品

  • アーティスト: 藍川由美,古関裕而,ピス(マルガリータ=ヴァイチュレーナス),マイスターブラス・カルテット,ドレシャル(フリッツ)
  • 出版社/メーカー: (株)カメラータ・トウキョウ
  • 発売日: 2004/03/20
  • メディア: CD
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『ほんとうの唱歌史』(カメラータ・トウキョウ)は「軍歌」にも大きく切り込んでいる一枚。それらも「日本のうた」として扱い、不当に目を逸らしたりはしていない。真摯な作品集。『抜刀隊』の、歌いきったという余韻がたまらない。前述の通り、歌唱の好みや歌自体に対する思い入れは否定しないが、それだけで切り捨てるにはあまりに惜しい作品集。

ほんとうの唱歌史「海ゆかば」~

ほんとうの唱歌史「海ゆかば」~

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