デジタルエンタテイメント断片情報誌

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『ガールズ&パンツァー最終章』第2話の感想 Blu-ray発売に寄せて

昨年ようやく公開された作品の、ようやく発売されたBlu-rayの話です。そうです、2/27に発売された『ガールズ&パンツァー最終章』第2話OVAのディスクです。セル配信も同時で、レンタル配信は3/27から。しかし長かった。すぐにでも「次の話はいつ?」と聞きたくなります。ジャケットの福田が凛々しくて好き。

今回はディスクとガルパン関連の感想です。

知波単戦をより楽しむために:日本陸軍と邦画の話

第2話で大暴れの知波単学園。まあ学校の元ネタのこともあるしどうせギャグ要員のままでしょ、みたいな予想を大いに裏切ってくれました。そんな知波単学園に絡めた話題を少し。

この際だから日本陸軍のことを改めて知っておこう、というわけでこんな本はいかがでしょう。『日本陸軍便覧 米陸軍省テクニカル・マニュアル:1944』(訳:菅原完  監修:岩堂憲人、熊谷直光、斎木伸生 光人社)。ガルパン関連で見かける名前もありますねぇ。これと最近では新書の『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』 (講談社現代新書)が同じようなコンセプトです。

米軍からみた当時の日本陸軍、米軍の研究・分析しつくした(と書いて過言ではないと思う)日本軍がよくわかる面白い本。客観的視点・評価の無慈悲さに唸るかも。一言、「これは負けるわ」という感想が出ます。その意味でも冷静な本かと思います。原書がどうなっているかわかりませんが、訳の端々に日本軍に対する皮肉が込められているような箇所があって苦笑してしまいます。各章・項を拾い読みしても有用です。

イラスト・図も満載なので、知波単学園のデザインの元ネタは⋯のような気楽な興味でも楽しめます。アニメで外套を着て欲しくなりました。果たして次話は、元ネタ踏襲で内部崩壊の上コミカルタッチで終了か、競技として戦車道を全うか。


エンタメの楽しさそっちのけか、いやいやそんなことは全くありません。ということで邦画を紹介。『五人の突撃隊』(1961年 大映 モノクロ)。現時点で配信はない様子で、とても惜しい作品(DVDは角川より)。昭和19年のビルマ、とある日本軍の最前線が舞台です。

これ、『最終章』第2話の話題にもってこいの作品なのです。モノクロに抵抗なく、未見の方は是非。タイトルで「突撃? 知波単?」、その第一印象で結構ですヒヒヒ。

戦車ではシャーマンやM24チャーフィーの実車が登場。特にM24は車内描写(!)もアリ。「まだだ」なんて台詞もあるんだなあ。お話の本筋が流れていく中に個人のエピソードが挿入されて、それが一層本筋を引き立ます。登場人物では山村聰演じる少将の存在が、これまたシビれます。こういう人物を「将器」と言うのだなあ。

一部演出に時代がかった部分もあるものの、画面が暗すぎる、セリフが聞き取りにくいといったこともないと思います。映画としての面白さと戦争に対するメッセージが両立した作品です。

映像特典について

舞台挨拶やイベントの収録は毎回ありがたい。作品が完結してから改めて楽しむのもアリでしょうね。「これ○○のこと言ってたんだなあ」みたいにね。随分と先の楽しみですね? ハハハ。


映像特典OVA「タイヤキ・ウォー!」の感想。どうでした? いや人に聞いてもしょうがないか。自分の言葉で書かないといけませんね。今回特にアニメ本編に係る内容なので書いておきます。

作風として嫌いではないのですが、どうもキャラ・設定づくり、そしてギャグが一本調子な気がしますね。これは本編にも同様の兆候がある。画面に小道具・小ネタを散りばめて、食べ物出して、一発ギャグを入れて⋯こうやっときゃ勝手に盛り上がってくれるだろ、という。まして食べ物ネタはもはや商売っ気アリアリ、という感があります。

学校の元ネタを消化して辿り着いた「格差・貧富の差」なんでしょうが、そこは程々にして、普段はただの女子高生、みたいなノリ・ギャップでも私は違和感ないと思うのですがね。それが許容される世界だと。大洗女子なんてまさにそれですわな。エスカレーター組と外部生組の対比としては極端で、1話の登場以来、かえってBC自由学園の妙味を削いでいる気がします。

それこそ普段は一緒に学食使っていて(普通に箸も使ってね)、押田と安藤が小競り合いしても、同席してるマリー様がカレーうどん食べながら「カレーうどんだっておいしいじゃない」と場を収める位でも十分ほっこりすると思いますが⋯。女子高生としては等身大である、という風に。これは所詮私の妄想・願望に過ぎませんがね。創造主の趣味ではない、ということなのでしょう。

でもそれでいて、大洗女子は和気藹々を基調にして、試合前後で波風立たせたくない。そこは壊したくない、弄りたくないわけでしょう。これが一般的な「ファンのため」、なんでしょうかねぇ。

あとは大洗女子の学園艦最深部も同様ですが、妙な現実感に劇中劇といった、実写・ドラマっぽい要素を入れたくなるのでしょうか、この手の作品は。そう言えば継続高校の存在も今後のネタとして残している印象ですが、ドラマCDで展開している”鹵獲”ネタは正直本編に合流させて欲しくないかな。あれも本編に則ってデフォルメはしているものの、ギャグやネタとしては安易な取りつけのように思うのですね。そこにきて今回のOVAも本筋とギャグがコテコテ過ぎて、持続力もないし諸手を挙げて褒めたくはない。これで「ガルパンはギャグが主体で、肩肘張って語るものではない」と言われたら、いやギャグ作品としてなら厳しくないですか、と聞かざるを得ません。ギャグを否定しませんが、作品の緩急の”緩”で上手く使って欲しいと思います。


などと書きつつも、照れる押田や、タフな秋山殿はちゃんと楽しみましたよ。ただこれを観る限り、不肖・秋山の潜入ネタは見納めかなという気がします。考察や二次創作などをする向きからはこのOVA特典も金科玉条のごとく扱われるのかもしれません。ですが個人的には本編共々穿ち過ぎないよう気をつけねば、と省みる内容でした。

『ガールズ&パンツァー最終章』第2話の感想・今後に寄せて

第2話の感想は、既に下記リンク以外にも何回か書きましたが、大きな印象の変化はありません。他に極爆だ4Dだと色々感想を書きましたから。なので、私の好きなシーンをさっくりとやっておきましょう。

後半、第2回戦でレオポン白旗の後、大洗女子が追撃中に知波単内で玉田、細見、西隊長が会話するシーン。転回前の、人気の「散開」前の。「西隊長、なぜついてくるのでしょう?」からのくだり。こういうのが観たかった。これだけでキャラクターの性格や関係性から、学校の士気に一体感やら色々表現できるわけです。ほんの些細な、ごく短いシーンではありますが。

玉田ってホントに突撃上等キャラなのかよ、と言いたくなる台詞回しに、細見のギャグ抜きにした冷静さ。「キャラが違う」という感想より、「こいつらデキるな」という好敵手としての存在感に嬉しくなるわけですよ。それが大げさですが一過性でない、作中での学校やキャラの魅力、ひいては作品の魅力になるわけです。

この2人にそんなやり取りを可能にさせる西隊長の存在も良い。”みほ”というキャラクターには、もはや「皆目わからん」と言わせることができないのですね。そこが今後どうなるかが『最終章』の出来を左右するカギだと思います。

感想で度々「大洗女子もあんこうチームの面子以外で会話する描写がもっと欲しい」と書いたのですが、これなのですよ。これを大洗女子よりも先に対戦校でやってしまったのは嬉しくもあり、やっぱり寂しくもある。今後その役割のためにみほでなくて、河嶋桃を隊長にしたのならば、感服ですが。


例えば対戦相手の挙動がおかしいときに、ふとみほが「梓、どう思う?」なんて話を振ったらどうですか。特に『最終章』のタイミングなら内心「おおっ」と小躍りしたくなるファンもいるでしょう。車内の「みほさんが⋯」「名前で呼んでる」みたいな反応に赤面するみほ、みたいな小ネタも入れられますよ。妄想の限りを尽くしましたが、こんな僅かな味付けに飢えているだけですよということで、第3話以降を早く観たい。

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