内容もさることながら、本の帯に納得してしまった。
『「分かりやすい説明」の技術』(著:藤沢晃治 講談社ブルーバックス)を読んだ。目的は仕事だけではない、自サイトの体裁を見直すためだ。はてなブログに移行して、ちょっとアクセスの具合が良くなり、どうせ読まれるなら記事の工夫・改善でもしようというわけだ。
「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール (ブルーバックス)
- 作者: 藤沢晃治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/10/23
- メディア: 新書
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本書で情報が「分かる」という瞬間は、以下の過程を情報が問題なく通り抜けた場合のことをいう。特に脳の長期記憶を”脳内整理棚”として、「分かった」情報はここに整理される。以下引用:
- 情報の大きさをチェックし、受け入れるか否かを決める。
- たくさんある脳内整理棚の中から適切な一個を選ぶ。
- 情報のムダを省き整理する。
- 情報が論理的であるかチェックする。
- 情報を入れる脳内整理棚内の最終一区画を決定する。
一口で言えば、頭の中で「記憶しやすく、分類できて、ムダがなく、理にかなっている情報が、保存される」という感じだろうか。
情報をこのようにブラッシュアップし、如何に伝え、説明するかを本書ではルール毎に解説している。以下一部を抜粋・引用:
- ルール3 間を置きながら、しみいるように話せ。
- ルール7 キーワードを使え。
- ルール13 持ち時間を守れ。
- ルール14 聞き手に合う説明をせよ。
- ルール15 聞き手を逃すな。
これらを繰り返し反復、実践していくのが本書のポイントだ。これらルールを末尾にまとめてある親切設計だ。
こんな内容を一通り読んで、さて他の本でもと思ったときに、記事冒頭の帯の話である。『「分かりやすい説明」の技術』の帯にはこう書いてある。
プレゼンテーションの鉄人が教える――
(中略)
★恋人に理解してもらう
――ための絶対ルール
実は本書で、そんな場面については、触れていないのである。
ところが偶然、ピンときたことがあった。以下の2冊である。
口説きのマニュアル―超プロが教える 150のルール (フランス書院ノンフィクション新書)
- 作者: 甲斐正明
- 出版社/メーカー: フランス書院
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 櫻井秀勲
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2012/09/07
- メディア: Kindle版
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品性と素性を疑われるラインナップかもしれないが、「本当に役に立つのかよ」という皮肉と嘲笑と自虐を交えた記事にする予定でこれらの本を読んでいた。しかし、よくよく思い出すと、これらに載っているテクニック(?)に上記引用の”ルール”が炸裂しているのである。しかも並んでいるのは実践編(経験談)ばかりだ。
まず「ルール3 間を置きながら、しみいるように話せ。」であるが、踏襲している。
心の余裕というか、今日なんとかしようとしてる切羽詰まっている感じを見せない。逆にこっちが色々と喋って攻めるんだけど、間を空けてあげて相手に質問させる間を作ってあげるんだよ。
(『口説きのマニュアル』 フランス書院)
そして、「ルール7 キーワードを使え。」2冊ともここぞの『口説き文句』を紹介している。これは引用しなくとも想像がつくだろう。
「ルール13 持ち時間を守れ。」も「落とす」ときの常套手段だ。しかも会社のプレゼンよりある意味シビアかもしれない。
「五分話してダメなら諦めます」と言い切れ
(『口説きのマニュアル』 フランス書院)
「ルール14 聞き手に合う説明をせよ。」、こういう本は基本的にタイプ別女性攻略法が載っている。相手に応じて、説明、口説き方を変えるのである。年齢別、職業別⋯2冊ともそういう体裁だ。これも引用の必要はないだろう。
「ルール15 聞き手を逃すな。」は聞き手に不快感を与え、話をウンザリさせないことなのだが、これも満たしている。
いずれにせよ、彼女に「この人の質問は優しいな、気を使っているな」と思ってもらえれば、それだけで十分です。
(『たった3秒で女性を口説く技術』 中経の文庫)
『「分かりやすい説明」の技術』の帯を考えたのが出版社なのか著者なのかは知らないが、なるほど通じる部分が多くて苦笑する。「どんな本も役に立つ」「読書は体当たり(手当り次第)」の効果というのは、馬鹿にできない。
ただし後半の2冊には、このご時世、うっかりSNSに載せたら一悶着ありそうな内容も当然載っているので注意していただきたい。全て使えると言っているわけではない。
とはいえ、やはり「(仕事が)できるヤツがモテる」は、それなりに筋が通っているんだなあ。どおりでなあ。