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『ガールズ&パンツァー最終章』第2話の感想 現時点の総括として

生コマフィルムどうでした? と聞きたくなる公開5週目の『ガールズ&パンツァー最終章』第2話。お気に入りのキャラ祈願か、戦車の画か、⋯真っ暗なコマじゃなけりゃいいのか。今話の後半は特に、ね。ちなみに私はARL44の砲口アップから、睨むような安藤の顔でした。戦車とキャラクター両方入っていると嬉しい。

そんなわけで今回は『最終章』第1話に引き続いて、第2話の区切りの私的総括記事です。キャラクターの情報等は公式サイトに任せて、第2話のポイントや今後の展望をグダグタと語りたいと思います。鑑賞済み、ネタバレ前提の記事です。

※第1話の総括記事はコチラ:

『最終章』第2話 ストーリー概要

BC自由学園に思わぬ連携を見せられ窮地に陥った大洗女子だったが、西住みほの機転により状況を脱した。BC自由学園が戦場をボカージュに移す中、大洗女子は攻勢に出るべく、カモさんチーム(B1bis)を使ってBC自由学園の生徒を仲違いさせることに。目論見通りBC自由学園は同士討ちを行い、最後は大洗女子に包囲されて敗退した。
武部沙織が生徒会の引き継ぎをする中、河嶋桃の実家・家族を知り、先輩の先行きを案ずる。知波単学園の福田はバレー部と交流し、自校の戦い方について新たな着想を得ようとする。島田愛里寿は編入する高校を迷っている模様。

各校の試合結果が報じられる中、2回戦の相手は知波単学園。密林という試合会場に苦戦しながら、1回戦の反省を踏まえ大洗女子は慎重に試合を進める。だが機動力とゲリラ戦術、そして”新たな”突撃を駆使した知波単学園との戦いは熾烈を極める。それでも事前に把握していた泥池に知波単を誘導し、追い込むのだが⋯。

『最終章』第2話 新要素とその感想

戦評・1回戦の対戦校:BC自由学園

事前に校風で大洗女子を欺き、試合でチームプレーを見せて大洗女子をピンチに追い込む。第1話から続いてどうか、というころでしたが、一時の優勢に緩んじゃいましたね。有り体に言って、隙を突かれて敗退してしまいました。

この点に関して、第2話ではもう少しBC自由学園の校歴・出場に至る背景を作中に練り込んで欲しかった。同士討ちも何となく察したものの、画と台詞の面白さで乗り切った感があります。第1話で華々しく登場したキャラクター達に、残念ながら今一つのめり込めなかった。フランス始めとした、元ネタ以上に作品内で消化した人間性なり関係性を掴むことができなかった。ここの描写をもう少し工夫していれば、同士討ちだってもっと楽しく、あるいは「しょうがないな」とある種の納得を以て観られたでしょうし、戦列歩兵の突撃を思わせるマリー達の最後の奮戦もよりグッときたことでしょう。

大洗女子側としても、あんこうチームの会話劇・思いつきであっさり打破という具合です。みほ特有の冷静な判断云々を語る以前に、1回戦全体として淡白な後口にしてしまった感があります。特に第2話だけ観るとその印象が強い。今後の再戦機会を(僅かに)期待しておきましょう。

大洗女子のMVPはカモさんチームですね。1話の索敵から、2話の陽動、この活躍がなかったら1回戦で終了していたかも知れません。何かこういう活躍ぶりを仲間内で話す、みたいな場面が作中であってもいいのですが、ないんですよね。この辺りがチームワークだ何だと標榜している割に、大洗女子の、ガルパンの”素っ気なさ”に繋がっている気がします。

あとこれはBC自由学園に限りませんが、お菓子を食べるシーンや食べ物の登場頻度が、若干クドかったかな。特にガルパンは「ウケた要素を繰り返す」のが好きなようで、今話も食べまくりという感じでした。ただもうこれは、本当にここぞという場面で、必要だったら挿入すればいいと思います。アニメで食べ物を食べる・扱うシーンの出来が「良作判定基準」になっている風潮もあるようですが、ガルパンはその辺り特に不安視もしていないので。

河嶋桃の今後と戦車道

今回大洗女子が無限軌道杯に出場する背景に大いに関係している河嶋桃ですが、家族まで登場するとは思いませんでした。従来通り、大洗女子の面々と”おバカな桃ちゃん”の関係だけで話を進めるのかと踏んでいました。こうなると、もうわからなくなります。

そもそもこの話題、戦車道で大学に進んだら、大学でも戦車道やることになって苦しまないか? とか、自分の娘の進学のために大会に出場したことを親が知ったらどうなるのかな? 大洗女子の面々に感謝するのかな、いや娘を叱咤するのでは? 親として娘を大学に行かせる用意はあるの?ないの? といった具合に、現実的な視点と余計なリンクをさせてしまいがちです。

今は話の途中なので静観していますが、これが”戦車道のある世界”というファンタジーの中で、どうも煮え切らないのです。作風やキャラクターの性質のおかげで作品の面白さを阻害していないとはいえ、(大洗女子の)戦車道の在り方と今後どう絡めるのか、気になります。1話の感想で書いた通り、清涼感あるオチを期待したいのですが。


余談ですがガルパンは各種設定で、割とベタなイメージ通りの肉付けをするのですね。例えばローズヒップの奔放さなんて、ひょっとしたら大らかに育てられた真性の上流階級ゆえ? みたいなことも想像していたのですが、ドラマCDを聴く限り”庶民”キャラのようです。これは本編の内容ではありませんが、じゃあ本編に登場してしまった河嶋一家はどう料理するのかな? というわけです。

サメさんチームと大洗女子の前途

第1話で顔見せ、そしてBC自由学園との試合ではなかなかの活躍を見せたサメさんチームとマーク4。知波単戦では早々に片付けられてしまいました。マーク4の機動力もさることながら、海賊旗はまずいだろうなという予感、最後は指示を無視しての”突撃”で沈没。カバさんチームという先人がいたおかげでその場面は楽しく観ることができました。

ただ河嶋桃を慕っている様子は可愛げあって良いものの、その河嶋桃が隊長としての見せ場を得ないため、いまいち使い出がない。第1話の感想で「1話のインパクトだけの役割だと寂しい」と書きましたが、車輌共々、次話以降の活躍に期待しましょう。何だかんだで悔しそうでしたしね。今度は河嶋桃を救うファインプレーなんて期待したい。車輌はマーク4のままなんでしょうかねぇ。

そうそう”隊長”河嶋桃について。試合中はまだ、やらかしていないですね。BC自由学園との試合では”離間の計”実行に対して「憶測だろ」と、なかなか的確なツッコミ。知波単を見くびった発言もすぐ改める辺り、冷静さを失っていない様子の方が印象的です。それだけに、まだ隊長らしい行動は鳴りを潜めているのが残念です。「あの」桃ちゃんが活躍するときは、おそらくみほ(あんこうチーム)以外の面々が躍動するときなので、要注目です。そこでまずはサメさんチームが筆頭かな、と。

第1話・第2話はみほと秋山殿が頷きあって作戦始動、みたいな場面が割と目につきましたが、あんこう以外のチーム同士でそんな場面も観てみたいですね。作戦の起点はあんこうチームでもかまいませんが、大洗女子の面々と些細なやり取りでも交わす場面を増やすと、作品世界が広がる気がします。そこに高校生である普段の関係性、「お、意外と仲良いのね」みたいな微笑ましさがあったりすると嬉しい。

戦車と人のアクション

『劇場版』は戦車がカーアクションのような目まぐるしい動きをしていましたが、『最終章』ではまだそういった動きは控えめな様子です。ただその分、人の動きで遊んでいるな、という印象です。第2話のマリーやそど子の運動神経。まだ面白みは感じていますが、正直あまりやりすぎないで欲しかったりします。戦車のカーアクションも同様なのですが、地を這うような作品のリアルさが浮足立ちそうだからです。本当に個人の趣味ですが、雨で滑ったり、ちょっと足を踏み外したりするほうが、私は好きです。

第2話なら知波単戦で河嶋桃が4号からヘッツァーにヒョイと飛び移ってましたが、あのくらいが自然で丁度いい。

新車輌と試合会場

第1話の感想で名前を出した特二式内火艇が登場。ただサメさんチームではなく、知波単の車輌。密林、そして池というまさに”おあつらえ向き”の場面でオモシロ戦車の出番でした。どうも戦車のスペック、特に火力が気になってしまいますが、第2話のように試合会場でその差を埋めてくれると違和感が軽減されますね。そしてフロートを壊されても、1話限りの”やられ役”で退場させなかったのはポイント高い。(※通風筒も壊されたと思ったら、壊されていませんでした。)作品に出したいだけ、ではねぇ。次話も活躍して欲しいです。

知波単モデル:

2回戦の対戦校:知波単学園

第2話だけでなく、学校の魅力を爆発的に高めたのが知波単学園。福田とバレー部の交流で何となく仄めかされていたものの、ここまでやるか、という濃密でスリル溢れる試合内容でした。大洗女子以外の学校の描き方としては、過去最高レベルの面白さではないでしょうか。

まず知波単側の視点に時間を割いており、とにかく知波単に感情移入させる構成なのです。大洗女子が敵役に思えてきます。戦術の見せ方から戦いぶり、各キャラクターの関係、そして最後の隊長以下、殻を破った瞬間。大洗女子の視点も時折入るものの、これまでのシリーズとは趣向が違うのです。大洗女子の目指す戦車道を順次明かしていく分、他校が如何に大洗女子と戦うかに注力した結果でしょう。これは面白くないはずがない。

機動力という大洗女子よりアドバンテージがある点を用意したのは大きい。戦車の火力や乗員個別の技量以外で見せ場ができます。そこにゲリラ戦術を絡めた戦い方で、練度の高さも伺えます。玉田・細見があんな戦上手とは思わなかった。これならば近接戦闘も納得です。「展開の都合」かも知れませんが、強い車輌を狙って片付けるのも痛快でした。

次に西隊長以下、団結と信頼関係が高いこと。コミカルな描写を挟みながらも、試合に勝つこと、戦車道を全うすることが前提なので、茶々を入れたような不快感がない。特二式内火艇の西原だって、隊長の厳命で「やっつけたら帰る」わけです。久保田の発言に「根拠は?」「女の勘はナシだぞ」と応じるのは、邪険に扱っているのではなく、「話は聞こう」という姿勢だから観ていてストレスが溜まらないのです。突撃一辺倒だったとは思えない。福田の「暗い所が苦手」と話す場面も良い。私はここが「相手校の弱点」のきっかけになるのかと一瞬思いましたが、福田を励ます流れで歌に繋げるとは。演出としても小粋で心地よかったです。

そして何より西隊長から湧き立つ将器が凄まじい。『劇場版』では知波単の戦いぶりに迷いのある描写もありましたが、その迷いが晴れた柔軟で的確な指揮は、好敵手と呼ぶに相応しいでしょう。口調と相まって、今話で話題になっている「散開」を始めとしたみほの「戦闘マシーン的な落ち着いた」指揮ぶり(いつものことでしょ、という気もしますが)よりも、冷徹さを感じる場面が多かったです。そしてみほにない、「まだだぞ」「皆目わからん」といった愛嬌ある台詞回しがさらに魅力を高めていて、ズルい。

この描写の積み重ねがあってこそ、最後に「撤退」を決めた場面が映えるのです。機動力も活きてます。大洗女子側の視点で、「この場所で仕留めるのかな」と伏線を張っていたのも巧い。でも知波単はまだ終わりではなかった。ここに至るまでの見せ方に第2話は感動しました。この流れを私は「成長」の一言だけで片付けたくないと思っています。


知波単学園は大洗女子以外の学校としては、車長クラスばかりとはいえ、破格にキャラクターが多いんですよね。しかも特技・役割分担が活きている。軽口交えた試合中のやり取りなんて、「こういうの観たかった」の一言。大洗女子側でも是非。大洗女子に匹敵する魅力を出すには、やはりキャラクターの多さも必要かなと感じます。

『最終章』 今後の展開予想

対知波単学園の勝敗

ああ、すごく知波単学園の一発を期待したい。他の記事でも書きましたが、「どうせ〇〇が勝つ(負ける)んでしょ?」というファンの内心をあっと言わせて欲しい。『最終章』で知波単が最後に繰り出す突撃は、「勝利」の突撃であって欲しい。キメ過ぎか。それこそ玉砕覚悟の突撃ならば、みほが冷静にいなして終了、の画がすぐに思い浮かぶからです。

そうそう、3話がちょうど前半終了のタイミングなのでそんなことを考えていましたが、「引き分け」ってないのでしょうか。ベタですが白旗同タイミングなんて。これで別ルールが発動して後半戦へと。とにかくBC自由学園との試合みたいに、大洗女子のターンが来てあっさり終了だけは寂しいです。まあどちらが勝つにせよ、上映時間一杯の”ねじり合い”を期待。

各校の試合結果と今後の対戦カード

第2話では順当にTV本編~『劇場版』組が勝ち進みました。『最終章』は新たな学校・キャラクターを順次登場させるのではなく、これまで登場した各校の目指す「戦車道」を描く様子。そんな筋がハッキリしてきた感があります。そこに大洗女子がどう対峙するか、というわけですね。

ただそうなると、どの試合の結末も結局「それでも勝つ大洗女子」、「やっぱり大洗女子は強かった」みたいな余韻になりそうで、TV本編を変則的に焼き直しただけ、という気がしないでもないです。そこはストーリーに緩急つけて欲しい。例えば大洗女子が無限軌道杯敗退・離脱、あるんでしょうかね。これもOPが変わるらしい4話(折り返し地点ですね)辺りで、仕掛けたりしないんでしょうか。楽しみです。

無限軌道杯限定・大洗女子の対戦カードとして考えると、継続、聖グロリアーナ、そして黒森峰辺りが勝ち進むのでしょうか。継続高校は『劇場版』で推しただけに、大洗女子っぽくなりそうな車輌編成は魅力としても、風来坊のポジションのままがオイシイ気もする。聖グロリアーナとの公式戦は描かれていないものの、TV本編・『劇場版』とも存在感十分で、敢えて『最終章』で戦わなくとも、大体(ネタキャラとして)登場頻度も高いし⋯というところでしょうか。

そうなると踏ん切りが着いていない様子が度々描写されている、エリカ率いる黒森峰の戦車道は多分描くのだろうな、と。ドイツ戦車だってまだまだ未登場のものがありますから。4号同型対決なんてのも面白いと思います。

最後に少々残念ながら活躍が見送られた新登場の学校では、個人的には青師団高校よりもコアラの森学園の衣装がそそりました。ボーイスカウト・ショートパンツが素敵。隊長もね。

雑談:『最終章』こんなシーン・展開観てみたい その2

最後に第1話の総括記事に引き続いて、私の妄言・独りよがりで記事を締めたいと思います。

<アンツィオ高校が勝ち進むには>

無限軌道杯の今後のトーナメント表について。どこもかしこも「アンツィオは厳しい」の下馬評ばかりじゃないか。とは言え、勝ち進むとしたら相手はこれまた実力プラス人気がありそうな聖グロにプラウダか黒森峰。いやーでもね、ひっくり返して欲しい。むしろアンツィオの大躍進も、『最終章』が描く戦車道に適うものではないでしょうか。単に”順当”が嫌なんだろって? はい。

ただアンツィオは使用車輌と人材面でちょっとキツイですわな。そこで助っ人なんてどうでしょう? 今いるでしょ? 無限軌道杯に関わってなくて、一騎当千みたいな能力で、しかも実家に戦車が余ってそうな。留学中の。西住流の。頼んだら案外面白がって、やってくれそうな気がしませんか。ドイツ・イタリアだし。学校の問題? 『劇場版』方式でいいじゃない。「これも戦車道」よ。

そしてブルムベアなんて持ってきて、是非アンチョビに「お前と一緒だな」と悪態つかれてほしい。でも他を圧倒するの。ついでにアンツィオに馴染ませて、意外と面倒見が良い「お姉さんキャラ」属性を補強しよう。やりすぎると寡黙なアンチョビになっちゃうか。

試合結果によっては黒森峰と当たるのも面白い。いや当たって欲しい。今年の9月に熊本でイベントやるし、やっぱ黒森峰でしょ? そうすると「エリカ、私を倒してみろ」ができるわけですよ。動揺するエリカもよし、戦車道を見つけるエリカもよし。いろんな方面でお得な展開です。多分。


第2話を観て、他校同士の試合で時間を割くのも面白いと思ったのでつい書いてしまった。あ、そうか、それは別シリーズで期待すればいいのか。『最終章』で終わらないね。まずは第3話の公開時期を早く教えて欲しい。


(2021/5追記)記事時点での第3話感想を同様にまとめています。こちらもよろしくお願いします。

ガールズ&パンツァー 最終章 第2話

ガールズ&パンツァー 最終章 第2話

  • 発売日: 2019/12/27
  • メディア: Prime Video

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