実は今怪獣の映画も話題になっていて、個人的な趣味嗜好とブログの方向性からいくとそっちを観て記事にするところなのでしょうが、今回は”海”獣アニメの作品の感想です。大きなネタバレ・あらすじ説明はなしで、どうだったのよ? という内容です。
※画像をタッチ・クリックすると予告編(YouTube)が再生できます。
原作を読んだ上での鑑賞・感想ですか? 答え:いいえ
原作がある映画なのでこのトピックを入れておく。今回の原作は漫画。映画を観た後に原作の存在を知ったので、表紙を見る限り絵については違和感ないな、という印象。ただもちろん、漫画だからそのまま映像化、アニメ化というわけではないだろう。そこは原作を知っている・いないに関わらず先入観は持っていなかった。映画は映画として面白いかどうか、というわけだ。
- 作者:五十嵐 大介
- 発売日: 2012/08/13
- メディア: コミック
映画『海獣の子供』の感想
冒頭、話の掴みになると思うが、学校のエピソードはそれほど必要だったのかな、という印象。家族、とりわけ母親の状況や関係を推察させるくだりは悪くないが、主人公の学校生活については別段このエピソードでなくともよかった気がする。普通に学校生活を送っていて、友達がいて⋯そんな設定でもさほど作品全体に影響しなかったのではないか。そのせいか、このエピソードがラストに繋がっても大した感銘はなかった。
偶然なのだろうが、最近他の映画でも似たような印象を持った作品があり、本作の感想に影響するものではないが、どこも導入に苦心しているのかな、などと憶測を巡らせてしまう。
話を戻すが、少年の設定や出会いについては、それほど無理なく「ああそういう世界なのね」くらいで入り込むことができた。序盤のガール・ミーツ・ボーイを匂わせるような流れも観ていられる。ただその後の展開については、鑑賞後に胸に残るようなインパクト、余韻、メッセージが伝わったかというと、そういったものは正直なかった。
映像は目を見張るものだった。特に海にまつわる生き物の描写は緻密だ。個人的にも海や水生生物は好きなので堪能することができた。力を入れ過ぎという感もある。そして繰り広げられるイメージの連続⋯⋯母なる海、宇宙、生命の根幹とその誕生、そういったものをこれでもかと表現しようとしているのは伝わった。
ただその映像や音楽、歌から伝えられるはずの作品のテーマや本質といったものが、残念ながら展開を辿ってもよくわからなかった。いくら素晴らしい技術を以てしても、演出過多・表現のための表現に陥っているように感じた。特にそれら表現を支えるはずのストーリーがとっ散らかっていたように思う。前述の学校のエピソードも然りだ。また少年たちを狙う存在については、大仰に艦隊まで出てきたが、作中から緊張感や緊迫感はそれほど伝わらなかった。必要だったのかという気すらする。主人公と家族、とりわけ母親の関係も、”母”という要素を少年たちと関連づけるには唐突だったり、それこそ描写が不足・省略しすぎているのではないか。そんなところで、いくら映像や音楽が素晴らしくとも鑑賞後に「もう一度観たい」とは、私はならなかった。
そのあたりが原作ではどうなのかは、機会があれば確認したいとは思う。