デジタルエンタテイメント断片情報誌

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邦画と特撮、アニメに寄せて 映画『バースデー・ワンダーランド』

休みになにか映画でも、ということで観てきたので感想を。幸いストーリーから感想、評判の類まで、事前に何も目や耳に入れず鑑賞することができました。全てをシャットアウトするのが難しいときも多々ありますが、なるべくね。公開直後の作品を観に行ったのは久々。今回は詳細なネタバレやストーリー紹介は避けて、かつ観た人が「あーはいはい」とわかる程度の内容を書き留めておきたいと思います。

※画像をタッチ・クリックすると予告編(YouTube)が再生できます。

原作小説を読んだ上での鑑賞・感想ですか? 答え:いいえ

原作がある映画についてはこのトピックを入れることにしている。メディアミックスが当たり前の昨今、各種展開を楽しんだ上で映画をどうぞ、という作品もあるため。本作はその辺り気にしなくてよさそうだ。

ちなみに原作については寡聞にして知らなかった。だから原作と比較して云々といったことを書き連ねた感想でもない。もっとも個人的には原作つき映画なんて珍しくもなんともないし、映画は映画、原作は原作で面白ければそれで構わないと思っている。

映画『バースデー・ワンダーランド』の感想

まず冒頭、導入部が良くない。ちょっとわだかまりを残してしまうのだ。同級生の存在、子供同士の関係がストーリーに大きく絡むわけでもないのに、その性質故に悪い意味でのインパクトがある。地下世界に導かれるきっかけとして、正直何か別のアプローチが欲しかったかな。この箇所は原作も同様なのだろうか。

世界観に関しては、定番てんこ盛り、の一言。特にヨーロッパのファンタジーや18世紀半ば~第二次大戦くらいまでの文化・産業全部のせ、という勢いだった。この辺りが好きで知っていれば、子供でも驚きや新鮮味は少ないのではないか。戦車の描写についてはちょっとこだわったのかな、という印象。パンフレット等は確認していないが、ドイツのA7Vがモデルかな。

登場人物も同様。錬金術師に王子に魔法使い、人間化・擬人化と”一式”勢揃い。そもそも話の導入からして「普通の女の子が実は」だ。この上闇落ちに呪いまでやられると、世界観含めて、さすがに私などは一捻り欲しくなった。そうそう、叔母さんはじめ皆すごくわかりやすいキャラ。

作中で旅をするが、城(これもベタだ)までの道中は、各地の特色を描いていくものの、特段作品の大きな見せ場があって・伏線があって、というわけでもない。この道中に終盤でもう少し生きるような仕掛けがあったら、画の美しさや演出のコミカルさ以外にも目を引いたのになぁ。観ていて退屈さが勝った残念なところ。

ちなみに雪があって石炭があるなら、ろ過した水を貯められないのか、みたいなことを思い浮かべてしまった。原作も確認してないし、野暮か。

ラストと作品のテーマについて。作中の現実世界と、地下室からの世界の”色”については、どちらも映画であるがゆえに、いやアニメであるがゆえに、色彩豊かに見えた。そのために終盤、ストーリーのメッセージとしては、視覚的に弱くなってしまった。私には主人公の住む世界も、幸せ色の世界も魅力的で鮮やかな色合いに見えた。その”色”が映像に反して霞むような、主人公他登場人物の心の機微が描写され伝わってきたかと言うと、平板で印象としては弱かったように思う。


そんなところで、全体としては”泣ける”ような展開や余韻が残る作品ではなかった。そういったものを期待している大人、同年代にはちょっと薦められない。観ていて既存のアニメ作品を思い浮かべる向きもいるのではないか。あとは映像は美しく、キャストの演技も問題なかった。音楽は演出としてはベタにつけすぎ、流しすぎだったかな。場面のメリハリが薄れていた。


最後に余談。最初に主人公が登場したとき、高校生くらいだと思ったので、学校の場面(回想)はたまげた。大人びた印象を出したかったにせよ、等身その他、もう少し幼さを出すか、いっそ年齢を上げた設定でもよかった気がした。それが特にストーリーに影響もなさそうだったので。さらに主人公のお母さんも、若々しいにも程がある。お父さんが羨ましい。アニメの良い所であり、年相応の”味”を出すのは難しいのかな、みたいなことをふと感じた。

バースデー・ワンダーランド

バースデー・ワンダーランド

  • 発売日: 2019/12/01
  • メディア: Prime Video


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