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邦画と特撮、アニメに寄せて 『荒野のコトブキ飛行隊』前半を視聴して

今期楽しみにしていた作品の一つに『荒野のコトブキ飛行隊』(MX毎週日曜22:30~他 配信有)がある。感想を記事にするときは最低2話分まとめて書くことにしたので、まあ面白ければ何か書こう、と思って毎週観ていた。

荒野のコトブキ飛行隊

荒野のコトブキ飛行隊

  • メディア: Prime Video

ところが前半(1~6話)を視聴した現時点の感想としては、なかなか厳しい。あまり面白くないのだ。後半の話も始まっているが、それほど印象は変わっていない。まだ全話放送されていないので、全体的なことは後半(7~12話)の感想と併せて別に書く予定だが、正直後半の盛り上がりもあまり期待していない自分がいる。

そんなわけで今回は各話毎の感想というよりも、前半を視聴しての印象・感想をトピックごとに書いておきたい。

『荒野のコトブキ飛行隊』前半の雑感

キャラクターとCG・アニメ

各登場人物の出自やメインキャラ同士の関係、掛け合いがイマイチ面白くない。そのため各キャラの特徴や外観に対する興味が薄れ、名前すらろくに思い出せなくなる。食事のシーンを印象づけたいのかもしれないが、皮肉にも「パンケーキの子」みたいな印象だけ残ってしまう。

この原因の一つが、作品とストーリーのための長台詞・早口を多用していることだと思う。さらに台詞のまくし立てが、作品にピリピリとした雰囲気を作り、かえって各キャラの魅力を削いでいるように感じる。登場人物は皆和気藹々としろ、と言いたいわけではない。キャラの個性に雰囲気が勝り、覆ってしまうのだ。

あとはやはり視聴して慣れはしたものの、キャラクターのCG使い分けは気になる。CGを否定する気はないが、本作で感じるCGの違和感はなんともし難い。新しい技術は歓迎だが、キャラクターを売るのであれば、特に注力して欲しいところ。

また『コトブキ飛行隊』に限らず、この手の作品のキャラ、特に女の子を登場させるときは服装や髪型にバリエーションをつければいいのに、といつも思ってしまう。出撃のときは着替える、普段は髪型が違う⋯。こんな些細なことでよい。CGに限らず、アニメ作品でこれらを毎話やるのは大変かもしれない。だが、これだけでもキャラの魅力がグッと変わると私は考えている。

敵と味方の魅力

敢えてキャラクターからトピックを独立させたが、魅力に欠けるのはメインキャラクターだけではない。味方のキャラに苦しんでいる以上、敵キャラも面白いはずがない。しかも画は妙に書き込まれ、道化にされる男性キャラか、謎の存在なのだから。戦闘シーンが出来栄え以上に盛り上がらない理由のひとつだと思う。味方にしても前述の通り、戦闘シーンのためにストーリーを急いだり、キャラをないがしろにしていることが尾を引いている。特に本作に登場する戦闘機は一人乗りがメインなので、戦闘(機)の魅力が個(キャラ)の魅力に直結しやすい。そう、これはロボット物と同様の見せ方が必要なのだ。そして「主人公達が負けない(死なない)」を貫くのはかまわないが、その信条をありありと感じる敵・味方のキャラ作りは観ていてつまらない。

明確な”敵”キャラを登場させると安易なヒーロー物・戦隊モノに陥ると考えたのかもしれないが、例えばまさに作品に登場した戦闘機が活躍する戦記・戦史物の魅力を採り入れることはできなかったのだろうか。

世界観と戦闘機

西部劇の世界でやりたい、というコンセプト自体をどうこう言うつもりはない。ただ、その世界に何とか戦闘機を登場させたい、女の子だけのメンバーを出して活躍させたい、そんな世界を作るための”設定上の”苦しさや制約を作品から感じてしまっては本末転倒だろう。

海がない世界⋯うーん、生態系を気にするな、ということか。え、飛行機は空から落ちてきた? 機体やら何やら、あんな使い回せるほど落ちてきたのか。そもそも落ちてきたってどういうこと?⋯人間、戦闘機という「実在するもの」を扱う以上、この辺りの設定と疑問が「まあ作品が面白いから良いや」でどうにも済ませられなくなるのだ。戦闘機が日本限定なのも作品上で不可解になってしまう。しかもそういった疑問を跳ね返すほど作品に勢いがあるかというと、そうでもない。

個人的に、戦闘機はカラーリング・マーキングが洗練されてないと思う。作品の出来に引っ張られているのか、この機体が登場して「おおっ」となるような工夫もない気がする。これなら「空から落ちてきたままを使ってます」(=一般的に知られる外観)で登場させたほうが潔かったかもしれない。


今回はこんなところで、また後半を観たら改めて全体的な感想を書きたいと思う。


(2019/4追記)後半と全体的な感想記事はこちら:

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