デジタルエンタテイメント断片情報誌

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新書『かかわると面倒くさい人』から掻い摘んで

どんな本でも役に立つこと、参考になるポイントはある。そんなことを読み終えて反芻してしまった。

本の内容を要約し、ポイントをまとめ、不明な用語を調べたり、メモしておく・・・比較的知られた読書の技法だと思う。論理的思考を鍛える手段としても度々紹介されている。

今回は少しそんなスタンスでまとめておきたい。要はネタにしようと思った本のアテが外れたのね。

最近、比較的新し目の新書を読んだ。『かかわると面倒くさい人』(著:榎本博明 日経プレミアシリーズ)である。

かかわると面倒くさい人 日経プレミアシリーズ

かかわると面倒くさい人 日経プレミアシリーズ

正直、書店でタイトルに惹かれて購入してしまった。しかし、これがなかなか期待通りの内容ではなかった。通して読むと得心の行かない箇所が多いのだ。書店で気になるトピックから立ち読みしたときは、「使える」と踏んだのだが、やはり通読しなければわからないものである。

まず全編を通じて、職場で「かかわると面倒くさい人」の実例を紹介しているのだが、読んでいてタルい。シチュエーションから「あるある」と想像しながら読むことを想定しているのだろうが、早く本題・解説に入って欲しくなる。実際にあった例でもなく、完全なフィクションでもなさそうで、特に実体験に照らし合わせると戸惑ってしまうのだ。解説に沿った例示だとしても、シチュエーションの出来があまり良くないように思う。

そしてそこさえ目を瞑れば良い内容なのかと言うと、解説がやや物足りない。例えば読者が求めそうな「かかわると面倒くさい人」との付き合い方、解決方法にはほとんど触れないのだ。そういうのを期待して読むと時間の無駄だろう。もっとも、そうした実用性を除いた筆者の解説・分析を読んでみたい、という読者がどのくらいいるのか、私にはわからない。


そんな本書だが、冒頭で書いたとおり、頭の中で整理がついた特筆すべき箇所はあるのでまとめておきたい。「同じミスを繰り返す部下のある共通点」(P.147)というトピックで、「認知反応」と「感情反応」についての記述。以下引用:

認知反応というのは、冷静に頭で反応する、理屈で反応することを指す。
経験から学ぶことができる人物は、認知反応が優秀なタイプだ。失敗して注意されたとき、落ち込んだり、感情的な反応を示したりするよりも、
「どこがいけなかったんだろう」
「そうか、そこを考慮すべきだったのか」
などと考え、今回の失敗を今後に活かそうとする。


一方、感情反応が優秀なタイプは、何がいけなかったのかに目を向けるよりも、「否定された」「叱られた」ということばかりに意識がいき、
「こっちの言うことを否定するようなことを言わなくたっていいじゃないか、こっちだって一生懸命にやっているのに」
とふてくされたような感じになる。


(『かかわると面倒くさい人』 P.147-148 日経プレミアシリーズ)

この本の趣旨からは少し外れるが、ミスをして泣いたり、激しく落ち込んで情緒不安定になる人物が、世間(ビジネス)では評価されないことが多い。たとえ失敗しても平静を保ち、次の施策や仕事に臨むことが先決とされる。

だが一方で、「社会人として問題ない態度・振る舞いであれば、何度間違えても許される」とでも言いたげな様子で、同じようなミスを繰り返す人物に出会うことがある。そういう人物は、たとえ表に出さず、ビジネス然としているようでも、心の中は上記引用のように「感情的な」反応から脱却できていない可能性がある、そんな思慮を巡らすことはできた。

そして昨今SNSでよく見かける仕事の”愚痴”も、案外そういう人物の、職場で出さない・出せない反応が噴き出しているケースが少なくないのでは、などと考えてしまった。


・・・できればそういう「面倒くさい」人との接し方・改善策が読みたかったのだが。

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