デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

SpotifyとNMLでクラシック音楽 その9 コンピレーション・アルバムを聴くなら”全集”を

CDやレコードを買うのをやめたわけではないのですが、配信サービスによって「買う前に全曲聴ける」となると、一ヶ月の購入頻度が相当少なくなったのは確かです。所謂「買ってイマイチ・後悔」もほとんどなくなりました。

とは言うものの、体系立てて揃えてもいいかなと思うのが、全集やBOXもの。これも買う前に聴いてみるのですが、昔はCD1枚の再生が終わるのを目安に聴くのをやめたりしていたのに、配信だと再生しっぱなしで延々聴いてしまう。”ながら聴き”がヘタクソな性分なので、これが本当に恐ろしい。

www.spotify.com
http://ml.naxos.jp/ml.naxos.jp

今回はそこにヒントを得たお品書き:

今こそ気軽に挑戦してみたい”全集”

以前の記事でも話題にしたことがあるが、どの配信サービスでもジャンル毎に「コンピレーション・アルバム」が存在する。説明不要だと思うが、要は「特定のテーマや種類に沿って曲を集めたアルバム」のことだ。大体は流行曲、有名曲⋯そんなところか。

決してコンピレーション・アルバムを毛嫌いしているわけではない。今でも面白いアルバムはあるし、メディアの収録時間に制約があった時代、SP時代の頃から演奏家、レーベルが趣向を凝らしたアルバムを作っていた。その中には有名曲だけではなく、演奏家の十八番や知られざる作曲家の小品みたいなものも含まれていて、貴重なものもある。

しかし時代が変わり、収録時間に制限のない販売・配信ができるようになった。そこで今回オススメしたいのが、「全曲聴いてみよう」というわけだ。どうせBGMのように流しっぱなし・ながら聴きをするのなら、演奏時間が長く、普段なかなかまとめて聴く機会がなさそうなものを選んで聴いてみよう。その中から、「これは」という楽曲があれば繰り返し聴くも良し、他の演奏を探すも良し。楽しみ方が色々と広がるだろう。

ヴィヴァルディのファゴット協奏曲

『四季』の、それも「春」の第1楽章ばかり顔馴染みになっていないか。というわけで聴いてもらいたのが、ファゴット協奏曲集。3楽章からなる曲がほとんどで、全37曲。聴き応え抜群。オケが激しい音楽を展開している中に、ファゴットがしみじみと歌い上げるかと思えば、ファゴットが技巧を駆使して主張することもあり、”BGM”で終わらない魅力が詰まっている。各楽章は3分程度の長さで、聴きやすいと思う。ファゴットの名手ダニエル・スミスの全集が”再生しっぱなし”にも便利。


ハイドンの交響曲全集

クラシック音楽で人気ジャンルと言えば、「交響曲」ではないかと思う。そんな”交響曲好き”を自認するファンが、全曲聴いて感想でもひねっているのかと思えば、案外そうでもないのがハイドンの交響曲全集だったりする。全108曲。

かつては揃えるにもそれなりの出費が必要だったが、廉価なBOXが販売され始めて、それほど苦もなく購入できるようになった。そしてそれが今やそのまま配信されているのだ。というわけで、手に入れやすくなったドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカの録音を。パリやザロモン・セット、ごく初期の交響曲など、有名なものから攻めてもいいだろう。ディスクを入れ替える手間がなく、聴き方色々が配信の強みでもある。


モーツァルトの交響曲全集

前2つより、「聴いたことがある」という向きも少なくなさそうなところから、モーツァルトの交響曲を。協奏曲は以前紹介したことがあるので。子供の頃に書かれた初期の交響曲が評価されないことがあるが、それに関しては一言、「聴いたことがなければ聴いて確かめよう」。この時代、「聴いてない」のに評価は論外だし、特に曲の好みに関しては、別に作曲家が子供の頃だろうが晩年の曲だろうが関係ない。モーツァルトは比較的選択肢があるので、選びがいもあるだろう。




現代作曲家の全集と多作な作曲家兼指揮者の曲

ひと頃「交響曲ファンがたどり着く極地」、みたいに語られていたアラン・ペッテション(ペッタション)の交響曲(全17曲)も容易に聴けるようになった。どうも「聴いたことがある」という話を見かけるだけで、多くの人に愛聴されているかは、正直不明だが⋯。ちなみに私は交響曲ではなく、協奏曲の方が好き。

このペッテションの交響曲を指揮している指揮者レイフ・セーゲルスタムも多作な作曲家の顔がある。紹介した交響曲のナンバーを見ればわかるが、交響曲は300以上作曲しているというのだから、さすがに驚きだ。その中から、”指揮者”としての技量も知ることができる、ブラームスの交響曲第1番とカップリングされたものを紹介しておこう。ジャケットも面白いし(右がセーゲルスタム本人)。いつか全集としてまとめられる日がくるのだろうか。


次回の記事は番外編:

スポンサーリンク