デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

清瀬保二の室内楽・器楽の雑感

クラシック音楽で人気ジャンルというと、やはりオーケストラによる管弦楽曲ではないかと思う。もちろんジャンル毎に一定のファンはいるが、例えば普段クラシック音楽に興味のない層が「クラシック」と聞いてピンとくるのは、ベートーヴェンの第5や第9といった交響曲だろう。

そんなクラシック音楽において、日本の作曲家の作品はさらに知名度・認知度が低い。「全く知らない」も覚悟したほうがよい。しかも今回話題にするのはオーケストラ曲ではなく、室内楽・器楽である。日本の作曲家の素晴らしさを世に知らしめたい、と息巻く向きですらロクに話題にしない様子も度々見かけるジャンルである。

当然、演奏会での演奏頻度も少ない。オーケストラより規模が小さくなったら企画・予算も都合がつくだろう、みたいな素人考えでは甘いのだ。そうなるとCDを購入して聴かざるを得ない。過去の記事で音楽配信が便利になったと度々書いてきたが、ことにこのジャンルに関しては、まだまだといったところだ。

とは言え、日本の作曲家が残した器楽・室内楽の数は少なくない。魅力的な作品も残されている。今回はその代表格だと個人的に考えている、清瀬保二のCDを軽く紹介してみたい。

清瀬保二の室内楽・器楽

特に室内楽・器楽のジャンルで、改めてもっと評価されて欲しいのが清瀬保二の曲。西洋楽器のみならず、邦楽器を扱った作品も印象的だ。体系的に収録したCDが非売品のものばかりで歯がゆい思いをしていたが、最近ようやくこれは、というものが発売されてきた。

ピアノ・花岡千春によるピアノ独奏曲全集(BZCS 3036/7)。シンプルなようで、音のコントラストが趣深く、聴いていて飽きない。日本の作曲界を語る上で欠かせない清瀬保二の、しかも全集ということで、大喜びで購入して愛聴している作品集なのだが、思ったより話題になっていないのが残念。

清瀬保二ピアノ独奏曲全集

清瀬保二ピアノ独奏曲全集

  • アーティスト:花岡千春
  • 発売日: 2008/06/04
  • メディア: CD

『弦楽三重奏曲』も面白い。最終楽章の主題は作曲家曰く「悲痛」だそうだが、私にはメロディアスで印象的なもの。『尺八三重奏曲』も同傾向で、尺八の音色以上に聴かせる曲だと思う。CDはいずれも近年発売・復刻されたもので、現時点ではまだ大したプレミア価格でもなく購入できるだろう。

オーケストラだけではないクラシック音楽・現代音楽の魅力としても是非是非。

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