デジタルエンタテイメント断片情報誌

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マスクで隠す

季節問わず、マスクをしている人の姿をごく当たり前に見かけるようになった。

一般社団法人・日本衛生材料工業連合会の統計情報によれば、マスクの生産は年々増加しているようで、確かに「前はこんなにマスクつけてた人いたっけ」と思うことがある。

かくいう私もマスクをつける機会が多くなった。ただ私の場合、特にこの時期、花粉症や風邪だからというわけではない。


その理由にはまず、匂い、いや臭いが気になるからだ。特に電車に乗る際、つけることが多い。

数多くの人が乗っている電車の中は、なんとも言えない臭いがするときがある。泥のような、カビのような。雨が降ったときも気になる。そして時間帯にもよるが、他人のニンニク臭(焼肉臭のほうがわかりやすいか)や酒臭い、息。これらに当てはまらない、”異臭”もある。

露骨に自分の鼻をつまむわけにもいかないので、電車に乗る前にマスクをつけてしまうか、乗った後にそれとなくつける。
場所を移動してもいいのだが、電車内のささやかな幸運、「座れた」ことを逃したくない場合があるので、やむを得ない。

一方で、自分自身の口臭を気にしてマスクをすることがある。実際に嫌な顔をされたことはないはずだが、疑わしい経験が少しだけある。それを慮ると、つけておくか、と思いたつのだ。それに食事をした後、歯に物が挟まっていたら・・・確認できる場所に行くまでの間、マスクに隠してもらう。

そんな自分や周囲を察して、口元に表れた表情を隠すのにも、マスクは丁度良い。

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表情と言えばさらに、口を隠すことで周囲の状況に対して「表情を読みにくくする」メリットがある。このご時世、対人トラブルは正直言って、怖い。「笑っただろ」などと因縁をつけられたくもないし、つけられない努力くらいはさせてもらおうじゃないか。


以上の行動は、私なりの社会生活における平穏な過ごし方のつもりだ。だが自分ではそう思っていても、電車内や道行く人に、スマホで、SNSで「露骨で嫌な感じ」「あいつは臭い」などと囁かれているのかもしれない。写真付きかもしれない。でもそんなことをしているのが誰なのか、わからない。私と同じように、マスクをしていた、あの人かもしれない。


マスクは鼻や口元だけではなく、自分や相手の人間性まで隠してしまうことがあるのか。だが少なくとも私は、マスクの向こうまでは曲解したくないなあ。

そんなことをマスクを外しながら、ふと考えることがある。

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