本のタイトルを記事タイトルに入れたのは初めてかもしれません。タイトルは興味を引きそうなものが本当は良いのでしょうね。少し前なら「~するたった3つの方法」とか、「○○(職業名)が語る~」みたいな感じで。まあそういったタイトルは、商売の匂いを感じて無意識に警戒しちゃうのですけどね。
ウフフ、唐変木。
いかんいかん、話がそれる。今回はちょっと気持ちの軽くなる、芸能絡みの読書です。最近芸能ニュースを覗くと、どうにも不愉快になったり、自分や世の中の倫理観について疑心暗鬼になったりすることが多いので、ちょっと気晴らししたくなりまして。
もちろんそれなら「見なきゃいい」という話もあるのでしょうが、別に芸能人の存在自体に敵意も利害関係もないし、何だかんだでテレビを観て育ったので、話題の一つとして無関心ではないのですよ。
というわけで『前武・関根のおしゃべりに会いたくて―しゃべリスト養成講座』(著:前田武彦・関根勤 ゴマブックス)の話です。2001年初版。案外新しめの本ですが、古書を漁って。たまにヒットがあるんですね。
余談ですが、テレビ番組や新聞・雑誌の話題、とりわけ芸能人に関するネタをこうして書いていると、ネットも現実生活の一部として定着したんだな、などと実感してしまうのは感覚的に古いのでしょうか?
芸能界から私生活まで、楽しい”おしゃべり”、トークとは何かを2人が経験も交えて対談しています。これが特段2人のファンでなくとも親近感の湧く、飽きさせない内容なのです。
例えば関根勤の話ですが、以下引用:
ロケなどに行きますよね。で、雨が降ってくると「お前、雨男だから、お前がきたから降ったんだよ」といわれるんです。しゃべりで食べているんだから、うまい切り返しで応じたらいいと自分でも思うんですけど、そういうどうにもならない非科学的なこといわれると、思わず「ムッ」としてしまって、「地球の気象のことなんか、一人の人間が左右できるのかよ」と、內心腹を立てて、うまく切り返せないんです。
(『前武・関根のおしゃべりに会いたくて』 ゴマブックス P.96-97)
こんな話題がでてきて共感してしまいます。ちなみにこのときの解決方法が「何気なく切り返せる言葉をあらかじめ探しておく」というものなのですが、大げさに語るでもなく、飾らない大人の対処法で好感がもてます。
また、この2人はとにかく褒め上手なのです。芸能人・一般人、話題にする人を完全にマイナスイメージにしない。落ち度があっても、「こんな事情があったのかも」「こういう風に考えたんだろう」などとさりげなくフォローします。まさにこれが、人を不快にさせない”術”なのでしょう。
昨今SNSでの嘘・作り話が話題になりますが、話の真実味・面白さで重要なのはやはりこういう話し手の配慮や心配りなのだと再認しました。ただ「ウケたい」ではダメ、語り口からそれが滲み出ている辺りはさすがプロと思うことしきりです。そんな芸能人もちゃんと世の中には存在するんだ、と安堵できるわけです。
最後にこれも関根勤の話ですが、芸能人ならではの「ウソ」と、ある話題について。読めばピンときます。ちゃんとわかってるじゃないか、という文を敢えて載せておきましょう。以下引用:
とくに芸能人の場合、家の中の問題じゃすまないでしょう。「関根勤、羊の仮面をかぶった狼だった」とかいわれて、記者会見で「ラブホテルで打ち合わせしていました」とか、わけのわからないこといわなきゃいけない。娘の同級生もその家族もこんなシーンを見るわけで、それを想像しただけでブレーキがかかりますね。
(同 P.115)
もっとも前田武彦はともかく、関根勤は今後⋯どうなんでしょ。大丈夫だと思いますが。記事を改めなきゃいけないから、やはり芸能ニュースはチェックしなくちゃ。うーむ。