そういえば、今まで書籍の話をする際に「読書」というカテゴリを設けたことがありませんでした。ですので、これより以前の記事はカテゴリ分けしていないため迂闊に探さないほうが良いです。節操のない情報誌感覚で記事が並んでいるだけです。
とまあ今後はこの「読書」タグで色々書き散らそうかと思ってまして、初っ端の今回は気楽に読んでも面白く奥深い『戦国策』の本の話です。
中国の思想といえば、戦争における戦略・戦術を扱う『孫子』や『老子』の哲学的要素がビジネス書を賑わせる一方で、『戦国策』の人気・知名度はあまりないと言ってよいでしょう。それこそ学生の頃チラッと読んで終わり、ということもあるのではないでしょうか。
- 作者: 遠藤嘉浩
- 出版社/メーカー: 明治書院
- 発売日: 2013/04/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
ところが実際読んでみると、戦争を避けるための外交や王様への立ち振る舞いの忠告、人物の重用や名士を得る際の要領といった、現代における職場や人間関係を考える場面で心に留めておきたくなる内容が盛り沢山なのです。それこそ粗製濫造のビジネス書で、上っ面だけ取り扱われてもいい気がします。
人への気遣いや心情を察すること、仕事の根回しや本音と建前といった、大なり小なり社会生活にまとわりつく「血なまぐさくない」戦いを御するための一助となるでしょう。
そんな『戦国策』のエッセンスを紹介し、簡潔な解説で気軽に楽しめるのが本書『戦わない知恵「戦国策」―戦略と説得術 』(遠藤嘉浩著 明治書院) です。基本はビジネス書としての体裁ではなく、国語の資料集のような内容ですが、サラッと現代のビジネスシーンの話を織り交ぜている箇所はあります。ただ、ダラダラと胡散臭いものではなく、企業に勤めながら中国文学に親しんだ著者らしい一般的な実体験で、あまり気になりません。
ちなみに第1章のはじまりからして「ライバルを蹴落とす夫人」なのですが、周到な「人を陥れるための手筈」で割と強烈ですので、立ち読みで出会ったりすると買いたくなるかもしれません。