劇場上映も第5週目になりましたが、一旦この辺りが見納め時かな、という気がする『ガールズ&パンツァー最終章』第1話。来場者特典の生コマフィルムをゲットしたらあとはBDで、なんてファンも多いのではないでしょうか。ちなみに私も磯辺キャプテンの「うちの9輌目もまだなんですけどー」(※うろ覚え)のカットを手に入れました。バレー部・八九式とあんこう・4号が良い具合に収まった画で、なかなか当たりなのでは? フフン。
今回はそんな『最終章』第1話に一区切りつける意味で、現時点での私的総括記事です。公式サイトを見れば分かる情報等は適宜省いて、注目している点や今後の展開についても放談したいと思います。
あと一応書いておきますが、ネタバレしています。
『最終章』第1話 ストーリー概要
留年、いや浪人の危機に瀕した河嶋桃を救うべく、大洗女子戦車道チームは冬期に開催される大会・無限軌道杯で河嶋を隊長に擁立し、戦車道での実績を大学合格・入学にかなう一芸にするため再び優勝に向け士気を高める。また、学園艦内に河嶋がかねてより探していた新たな戦車の反応があり、あんこうチームを中心としたメンバーが探索。艦内でも危険な区域で船舶科の生徒(サメさんチーム)と邂逅。後、新たな戦車(マーク4)を発見、サメさんチームが乗車することに。
各校の思惑が渦巻く中、抽選も終わり無限軌道杯が開催。1回戦のBC自由学園は過去の実績と秋山優花里の偵察により、”内部紛争のせいでまとまりのないチーム”と想定した大洗女子だったが、思わぬ連携を見せられ一時ピンチに陥る。西住みほの機転により状況を脱し、態勢を整えるが⋯⋯チト長いですが、大まかにこんな感じでしょうか。
『最終章』第1話 新要素とその感想
大洗女子の新メンバー
船舶科のサメさんチームについては、この『最終章』の1話で大々的に扱ったのだから、今後の活躍に注目せざるを得ない。と書いていて実は消極的なのですが、「今後の役割と存在意義」という点で、やはり期待と不安は半々です。アリクイさんチームのように、まさに「数合わせ」要員ではないのだろうな、とは思っています。むしろこれが「第1話公開当初のインパクト」だけの役割だと寂しいでしょう。
ただ、海賊というノリ・設定以上に「ワルがいる世界」を作ってしまった点は、現時点ではマイナス寄りの評価です。今まで描写してきたガルパンキャラの人物像の中に、中途半端に旧世代的な表現かつ現実的な要素が入ってしまった印象はあります。「アニメから醒める、現実とのリンク」とでも表現しましょうか。これは歴女チームや各校のような、所謂「コスプレ」や「ごっこ遊び」のノリが当たり前の世界観が許容する「ユルさ」とはまた異質のもので、そど子の足枷等、正直観ていて不快な点はありました。
まあその逃げ道のために、各キャラ「実はいい子」みたいな設定もしているようですが⋯。
大洗女子の新車輌
マーク4戦車については、第1話でまず考えられる活躍をしてしまった感があり、今後どう活かすのかが戦車戦の面白さも左右するかと思います。特にTV版の頃と比べて、戦車のスペック差による有利不利を示す描写は(少々残念ながら)減少しましたが、やはり機動力は難ありのようなので、絵的にも興味があります。
『月刊モデルグラフィックス2018年2月号』に車内設定が載っていますが、どうせならこれが活きるような必要戦力に描いてほしいです。ひょっとして乗り換えもあるのでしょうかねぇ。
タミヤ 1/35 戦車シリーズ No.57 イギリス陸軍 戦車 マークIV メール シングルモーターライズ仕様 プラモデル 30057
- 発売日: 2014/07/19
- メディア: おもちゃ&ホビー
新たな大会
今回の冬期無限軌道杯は、基本的には全国大会(TV版)と試合のルールが変わらないようです。優勝までの試合数は4回*1。となると、TV版のように大洗女子対他校の1対1対決がメインなのでしょうか。こうなると試合描写の工夫は当然として、途中でルールにアクセントをつける必要もありそうです。第1話・第2話で1回戦に割きそうなので、尺も気になる所です。話によって、あるいは最終話だけ90分~120分スペシャルみたいなことも⋯ありうる。
また『最終章』を展開していくにあたり、この大会自体が当て馬なのかもしれません。第2話から登場済の他校も絡んでくる*2とのことですから、TV版のように毎回新たな学校との対戦だけを見せるだけではないのでしょう。個人的に、ないと願いたいですね。
第1話の対戦校:BC自由学園
後半のBC自由学園との試合描写は、第1話全体や観終わった後の印象を大きく助けているように思います。(作中でチームワークを謳いながら)戦車単体での個別の技量に左右されがちになった戦車戦描写の中で、知恵を使いチームプレーの片鱗を見せてくれただけで興奮ものでした。また「秋山殿の偵察」といった、ガルパンのマンネリ化しつつある描写も、少し喝を入れれば面白くできるのだなと再認しました。
BC自由学園の下馬評や生徒の関係描写もそういった戦車戦の見せ方に効果的な「仕掛け」になっており、事前のPRや『月刊戦車道』等で公開されていた設定を良い意味で裏切ってくれたことは評価したいです。この上OGであるアズミのキャラも第2話以降に掘り下げがあれば、1回戦の対戦相手としては成功でしょう。
ちなみに各キャラの元ネタでいうと、「オスカルとアンドレの身分違いの恋」以外にも、オスカルとアントワネットにはさらにフェルゼンという重要人物もいたりするので、元ネタと人間関係をそこまで深読みしなくとも⋯という気がします。まだまだ各キャラの全貌もわかりませんから。
『最終章』 今後の展開予想
対BC自由学園の勝敗
いつものパターンだと、大洗女子の反撃と並行して、相手チームの慢心がどこかに入るはず。ここは本当にヒネってほしいところですが、そして大洗女子の勝利に繋がるパターンでしょうか。うーん、そうしないと話が続かないというのはありますが、大番狂わせがあっても正直面白いかなと思っています。
公式の試合で大洗女子に「勝ち」が続いており、どこかで挫折や力及ばない描写を入れたほうが、次話以降の大洗女子や試合描写に対する感情移入を煽るような気がします。そうなると初期で負けたほうがいいかなと。作品としての面白さを満たしてくれれば、勝敗自体はどちらでも構いません。
今後の試合相手
試合の勝ち負けにもよりますが、新たな学校以外で『劇場版』までに登場した学校と試合をするのなら、聖グロリアーナや黒森峰でしょうか。聖グロリアーナはちょっと予定調和過ぎるかな。今でもネタに事欠かない上、いかにも「ファンが望んでいた」感があって、個人的に再戦がなくとも十分魅力は感じていますから。一方黒森峰は、責任重大なエリカに共感するような描写をするとキャラ・学校共に人気がヒートアップしそうです。
まあ他校を多めに出すならタッグマッチやバトルロイヤルという形式が見たいのですが、それをやるには冬期大会から離脱が必要なわけで。そういう展開もあるなのかな、と思わせてくれるのが『最終章』の楽しみでもあります。
大洗女子の”大義”について
これは「個人の将来の問題」と大洗女子の勝敗、また大げさですが戦車道の在り方、これらをどう作中に織り込むかでしょう。パンフレットなどを読む限り、話の軸は本当に「桃ちゃんの進学」のようですが、ここは正直後半のストーリーでどうとでも膨らませて欲しいところです。
例えば戦車道に賭ける他校の意気込みを見て桃ちゃんが葛藤する、みたいな展開も悪くないと思います。また試合中にあんこうチームやその他主力がやられて、桃ちゃんが本当に「隊長」としての真価が問われる展開を描くのもアリでしょう。残りの大洗女子メンバーがさらに団結する展開があっても良い。次期隊長候補が生まれるかもしれません。これが上手く描写できたら、「勝ち進む」以上に大洗女子の魅力、ひいては大洗女子が戦車道をやる理由になるでしょう。
「桃ちゃんの進学」自体については、どうも作品全体として他のキャラにやらせ(ることができ)ず、桃ちゃんに「汚れ役」を押しつけた感がありますが、変なオチをつけずに、清涼感のあるエピソードに昇華して欲しいと思います。
新たに登場しそうな戦車と戦場
新たに登場する学校の戦車よりも何よりも、「海賊」を出すのだから、海での戦いはあるのでしょうね。海上、あと湖上でも可。そうなると水陸両用戦車も当然敵味方運用でしょう。サメさんチームが乗り換えるなら、やはり特二式内火艇あたりが有力かな?
プラッツ 1/72 第二次世界大戦 日本海軍 水陸両用戦車 特二式内火艇 カミ 海上浮航形態 (後期型フロート付き) 1944年 フィリピン レイテ島オルモック プラモデル
- 発売日: 2015/01/17
- メディア: おもちゃ&ホビー
雑談:『最終章』こんなシーン・展開観てみたい
かしこまって体裁を保つための締めよりも、最後にこういう与太話を置いたほうが「私の観たいガルパン」みたいなものがわかって良いかと思います。主題歌『Grand Symphony』の作詞エピソードによると、シナリオは大体できているようですが、妄言集です。
ちなみにパンフレットによると、みほが黒森峰に戻る展開も検討したとのこと。
これは私も『劇場版』の頃想像した内容だったりする。やっぱそのくらい思いつくよなあ。まあその展開をやっていたら、舞い上がりすぎて頭がおかしくなったかもしれないので、痛し痒しです。
<黒森峰とパンツァー・リート再び>
みほもまほもいない黒森峰。『最終章』では果たして大洗女子との再戦はあるのか。下馬評で「弱くなった」なんて言われていた黒森峰が序盤で大きくポイントを稼ぐ展開なんて興奮する。作戦がハマって速攻であんこうチームを潰すとかね。
そして狼狽する大洗女子を尻目に、自分の戦車道を見つけるため必死のパッチで指揮するエリカの姿を見た黒森峰の生徒がパンツァー・リートの大合唱、なんてどうか。エリカも歌い出せばいいじゃない。今のエリカ(黒森峰)には浪花節が似合うと思う。ここから大洗女子がいかに反撃するかを描いても良し、黒森峰が勝ち切る展開も良し。これはどっちに転んでもオイシイ展開でっせ。もしやるならあんこうが最初に白旗がインパクトあるが、それ以外だろうなあ。
<ベストメンバーを欠いた大洗女子の戦い>
どうせ大洗女子中心でいくのなら、あんこうチーム以外の各チームの関係性がわかるシーン・イベントがいい加減欲しい。せっかくキャラが多いのだから、試合外で共通の話題:戦車道でダベる各チームのメンバーなんて観たい。もっと教室や食堂のシーンも出していいぞ。
試合中もTV版第3話のバレー部と歴女チームみたいな描写があっていい。作戦について打ち合わせしたり、お互いに軽口叩いたりとかね。とにかくあんこうチームの面子以外の会話する描写が物足りない。
また、あんこうチームとは言わないまでも、レオポンやカバさんが出場できない展開なんてどうか。あ、あんこうなら生徒会長(華)多忙のため欠席で、麻子はおば⋯これはちょっと重たいか。それを目ざとく対戦相手に気付かれるの。いつもの動きができない4号⋯⋯どうする? そういう緊張感や他のメンバーが奮起する描写も味わってみたい。
死の描写はない・しないことは英断だと思っているので、その枠の中でとにかく面白そうな要素をまだまだ作品に詰め込んでもらいたいと思っています。
(2019/7追記)記事時点での第2話感想を同様にまとめています。こちらもよろしくお願いします。
(2021/5追記)記事時点での第3話感想はこちら。
ガールズ&パンツァー 最終章 第1話 (特装限定版) [Blu-ray]
- 発売日: 2018/03/23
- メディア: Blu-ray