今年は『ガルパン』の劇場版や『シン・ゴジラ』といった、映画の話題が楽しくできたように思う。4DX上映など、世間もそういうライブ感に飢えているのかな、というのが実感。最近はクラシック音楽に関する話題が中心になりがちだが、看板に偽りなくデジタルなもの中心に興味あるものは節操なく扱っていきたいと思う。また、コンシューマー・PCゲームに時間を奪われることも多く、いずれネタにしたい。
ということで例年のごとくクラシック音楽の話題で締めくくりたい。
・没後10年の指揮者・岩城宏之を思う
武満徹も没後20年だったが、岩城宏之も忘れられない人である。自分の趣味で、日本人作曲家との関係ばかり注目していたことを少し反省している。今思えば、数少ない実演に接する度「この人の指揮はもっと聴いておかないと」と思いつつ、岩城宏之の指揮するベートーヴェンやブラームスを素通りしてしまっていた。今年の年末は岩城宏之・N響のベートーヴェンをよく聴いた。噛み締めるような足取りで進める第2番や第4番が良い。収録ホールの影響で、弦楽器が張り出した録音も、とても自分好み。高音質で再発してくれたら、ぜひ聴き比べしたい。
バンベルク響とのブラームスも良い。この端正さは何度聴いても飽きない。追悼盤以来、発売されていないのが惜しい。
- アーティスト:岩城宏之,バンベルク交響楽団
- 発売日: 2006/08/30
- メディア: CD
・”指揮者”宇野功芳を堪能する
誰が何と言おうとも、”指揮者”としてこの人の話題をやっておこう。しかもベートーヴェンの第九の話ではなく、シューベルトのグレイトで締めくくろうではないか。ということで宇野功芳指揮アンサンブルSAKURAの演奏(URFC-0093)から、シューベルトの交響曲第9番”グレイト”を聴き直した。2003/8/9・川口総合文化センターでのライブ録音。初めて聴いた時は、正直聴き通せなかったのだが、今こうして聴くと本当に面白い演奏を繰り広げている。ようやく面白さが分かるようになった、ともいえる。
オケの状態は、ライナーノーツで指揮者自身も書いているが、一連の演奏会・CDを聴いていたらハッキリとわかるくらい上手くなっている。第1楽章からコブシを効かせ、第2楽章で安堵させ(弱奏はやはりオケの技量が露呈する)、第3楽章の”タメ”にニヤリとし、第4楽章は、爆発。というかやり過ぎ。最高。
最後に、宇野功芳自身がライナーノーツでアンサンブルSAKURAとの演奏のことを書いた文を引用して終わりにしたい。いやあ、月並みなようで、色々と芸術に限らず言えることのような気がするなあ。
・・・技術の向上に向っての努力を惜しんではならないが、技術上の不備をあげつらって、芸術の本質を見誤ることも又してはならないのではあるまいか。