プロ・アマチュア問わず、クラシック音楽の演奏を動画で身近に楽しめるようになった。極上の映像・音声で動画を配信する団体もあれば、記録用に撮影したと思われる動画が公開されていたりと、観るだけなら色々な楽しみ方ができる。「休みは生の演奏を聴きに行こう」と意気込んでいた時期もあったが、家でこうした世界中の演奏を楽しむことができるようになって、休日もパソコンに向き合って鑑賞会、という日が最近、少なくない。
そうした動画の中でとりわけ気になるのが、日本人作曲家の曲を演奏した動画だ。外国での知名度だけではなく、外国で演奏されるとどういう風になるか、という興味や疑問を少しずつ解消してくれる。「日本でも大して演奏されてないのに、周り(外国)の演奏を気にしてるの?」などと聞かれたら、そういうことではない、と言いたい。そもそも、日本における演奏頻度にも大いに不満はあるわけで、まだ見ぬ演奏を見かけたらとにかく飛びついてしまうわけだ。
例えば最近、芥川也寸志の『交響三章』を演奏している動画を見つけた。2016年ハリコフ・ウクライナに於ける演奏である。元々この作曲家と曲が好きで色々と物色していたわけだが、新しい動画で嬉しい。それにしても芥川也寸志作品は、新録がホント発売されない。こんな演奏・動画をもっと沢山観たいなぁ。
※画像をタッチ・クリックすると動画(YouTube)が再生できます。
演奏・録音が特段整っていなくて、ミスが有っても、曲の勢いと、後半のドカドカと突進する感じが噴き出していて、素晴らしい。第2楽章もなかなか曲想を掴んでいて、また良い。上手い演奏になると、この泥臭さ・青臭さが消えてしまい、それはそれで良い演奏になるのだが、こういうのが無性に聴きたくなる曲なのだ。これを聴く限り、芥川也寸志作品はやはり外国の演奏でもイケるな、と実感する。いや流石、というべきだろう。