デジタルエンタテイメント断片情報誌

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『ガールズ&パンツァー劇場版』 4DX上映の感想

今週はシネマサンシャイン平和島で『ガールズ&パンツァー劇場版』4DX上映を観てきた。1月末に見納めのつもりで鑑賞して以来、1ヶ月ぶりのガルパンだ。上映も好調な様子で、これがウケれば今後ガルパンという作品の作り方にも影響を及ぼすのではないか、と見込んで観に行くことにした。また、設備により限定されるが、4DX上映は全国的に楽しめる状況にある。その意味で、<極上爆音上映>やその他イベント上映より体験し、語っておく価値があると判断した。

平日20時40分からの上映で鑑賞。首都圏でこの時間帯(19時〜20時開始)に上映をしているのが平和島(3/5〜上映)くらいだった。他の映画館は日中のみか、深夜にかかるのでパスした。客層からして、他の映画館もこの時間帯を増やせばいいのに、などと思っていたのだが、それでもヒットしているところを見ると、まあ素人の見立てだったということだろう。

◆シネマサンシャイン平和島情報(座席・上映スクリーン等)について

地域限定の情報。駅からシネマサンシャイン平和島に行くには、シャトルバス(100円運賃)もあるが、駅から歩いてもソコソコ近い。館内にはシネマサンシャイン土浦で舞台挨拶した際の声優サイン入りポスターが飾ってあり、感慨にふけることもできる。バス代で思い出したが、荷物を入れるロッカーは100円玉硬貨を使うタイプ(利用後100円が返却されるもの)。

座席については、4DXの設備として、特に言うことはない。スクリーンを観るのに良い座席となると、5列(E列)目位までを選択するのが良いと思う。4DXはスクリーン前・横に設備スペースがあるため、予約時の座席表で見るよりも、実際のスクリーンと座席の間が広い。前の方でも無理なく鑑賞できるし、後ろの席は思ったよりスクリーンが遠く感じる可能性がある。ただ、4DX上映は視覚だけではないエキサイティングな要素があるため、座席ごとの面白さは体感して確認して欲しい。

ちなみに4DX上映の説明・特徴は知らずに行っても大丈夫。行けば本編上映前に簡潔な説明とお試し映像・試運転もある。

◆4DX上映の感想

4DX上映で観た本編の印象・感想

各効果が、ハマったときの面白さ・一体感が凄い。4DX上映を前提とした作品がもっと増えてもいいと思った。特に座席が動いて、放り出されるような感覚(だが絶妙に、実際放り出されることはない)は、アクション映画にかぎらず、演出として優秀な機能になりそう。印象としては、正直<極上爆音上映>よりも衝撃を受けた。これは映画館を変え座席を変え、色々試したくなる。今映画館で観るなら、4DX上映をお薦めしたい。

本編に沿って掻い摘んで書いておこう。「3分ちょっとで〜」は、4DX上映で観ると、不意打ちで砲撃音が一発くらい入っていて欲しくなる。冒頭のエキシビジョンマッチから座席は動くし、振動するので、少し疲れるくらい。主観視点で、車体が障害物に乗り上げた時が面白い。4DXは展開を知っていても比較的"期待通り"の反応をしてくれる。あとは座席を揺らす・動かす時のバリエーションなり、演出としての使い分けをひと工夫すると、後半から感じてくる単調さも抜けるだろう。改めて、神社の石段を下るときは、石段がグチャグチャに崩れながら勢い良く降りて欲しかった。戦車が通ることを想定していない所だろうから、(ガルパン世界の道路のような)耐久力がなくても良かった気がする。エキシビジョンマッチでは、M3リーがIS-2に踏ん張るシーンが、4DX上映でツボにはまった。あの振動を受けると、M3リーを愛でたくなる。

予想通り、風呂のシーンでシャボン玉が出る。ここから学園艦教育局長登場までは、4DXとしても見所ではないので、所謂トイレタイムにできる。エキシビジョンマッチで下半身に振動を受けて尿意を催した御仁は、ここでダッシュしていたようだ。また全編を通じて言えるが、飛んでいる飛行機やバスのシーンまで、座席をブルブルさせなくてもいいと思った。学園艦とのお別れは、濡れなかった。ちなみに「水」は、吹きつけられるシーンはあるが、ずぶ濡れになるほどの演出はないので、よほどの一張羅でなければ、外出着・スーツで観に行っても大丈夫だろう。各自判断して頂きたい。そこまで責任は持たない。

後半の試合前の作戦会議で、エリカが発言したときに座席が少しブルッとするのが可笑しい。戦車戦では、弾着したときが興奮する。これは「音」だけでは成し得ない臨場感がある。一方で、カールの砲撃が期待を下回った感がある。特に1発目は、館内騒然とするぐらいの衝撃と効果を期待したが、カールの砲撃自体は、他のシーンと比べても普通。戦車に弾が直撃したときと、近接した爆発音とその振動を区別して設定・演出しているのはわかるが、せっかくの秘密兵器に、もう少しインパクトのある役割を与えてもいいのになぁ、と思った。

4DX上映の各効果とガルパン

『劇場版』で4DXの効果が最も生きていたのが、「風」と「水」(雨)だったように思う。戦車が行軍するときに「風」が吹くのだが、画面と相乗効果で心地よい。振動以上に、戦車に乗っている気にさせてくれる。暖かい風もできるようになれば、色んな場面で使えそうだ。

「水」(雨)の演出には感心した。クラーラ達がカチューシャを逃がすシーンでは、映像もフィルムライクになり、他のシーンから切り離された特別な演出になるのだが、そこに映像と合わせて水が小雨のように降ってきて、感情移入を掻き立てる。小雨というのがまた良い(小雨しかできないのかもしれないが)。

このシーンに続く「あさがお」の行軍シーンも小雨のままで、知波単の偵察、仄暗い空を背景にゆっくり進む戦車、雨具を着たキャラ・・・アリサとウサギさんチームの会話も楽しく、隊長然としたケイの台詞もクールでキャラクターの魅力を高めてくれる。『劇場版』の中でも、戦車やキャラクターの魅力を味わえる素晴らしいカット、シーンだと思っている。それを水(雨)が一層引き立ててくれるのだ。作品自体の話になるが、こういう"静"の描写をガルパンは無駄にしないで欲しい。まだまだ作品の魅力が眠っている。

逆にイマイチだった効果が、「香り」、「フラッシュ」、「煙り」あたりだろうか。「香り」は正直どの香りも、「こんな匂いなのかなぁ」という疑問が残った。「フラッシュ」、「煙り」はスクリーンの中の演出だけで十分のような気がした。「フラッシュ」で客席まで明るくなってしまうし、「煙り」は演出後すぐに消えないので、使い所が難しそうだ。

◆『ガールズ&パンツァー劇場版』の感想・雑感 4DX上映後のBD発売に寄せて

4DX上映を観た後だと、やはり『劇場版』はこのくらい戦車戦に時間を割いていなければ満足しなかっただろうな、と思う。一方で、今後発売されるBDは、<極上爆音上映>や4DX上映のような環境で容易に観られるわけではない。そうなると結局BDで”普通に”鑑賞したときは、新登場のキャラクターなり展開に物足りなさが残りそうで、どうにも残念だ。特に後半〜ラストまでの戦車戦の、映像・音響は確かに凄い。しかしそれ以上に、試合の行方に手に汗握り、感情を揺さぶられるような魅力をイマイチ感じないのは、愛里寿を始めとした対戦相手の造形や主人公側のストーリー構成に原因がある。BD視聴ではそのあたり、今作の限界が鮮明になるだろう。アトラクション・ムービーで終わらない魅力としては、もう少しレベルアップした内容を望みたくなる。初見の感想から、感想(その2)、そして<極上爆音上映>の感想とこれまで書いてきたが、本編の感想を書く限り、この印象だけはやはり共通してしまう。

例えばキャラクターの作りこみはTV本編の頃からこんなものだったのでは、と聞かれると、そうではないと言いたい。TV本編・OVAでは2話程度使って各学校を登場・対戦させ、その後のお話にも大なり小なり絡めている。そこで培った「友情」なり作品の根底にある「相手を慮る心」の集大成が、今回の『劇場版』でいう、後半のオールスター集合の位置づけなのだから。それに比べると、やはり知波単学園も、継続高校も、急造感が否めない。特に継続高校は作中での描写や存在意義よりも、ミカの台詞だけが宣伝等で都合よく独り歩きしているように思う。キャラクターとして「狙った」作りなのは、初見からわかってはいたが。

大学選抜は視点として「大学選抜から見た大洗オールスターとその関係」も全くと言っていいほど見えず、これまでガルパンに登場したキャラクターとしては異質である。だが、異質であるからこその魅力には乏しい。せいぜいM26やチャーフィーの動きを不気味に感じさせるくらいである。実際試合でも終始押されて、名のあるキャラが「小ざかしい」と台詞を吐く程度の小物で終わってしまった。しかも大学選抜は「社会人より強い」なんて設定までも足早に盛り込んでしまったわけで・・・。強敵(あの程度で)という存在にされたことによって、かえってガルパンの世界が狭まってしまった感がある。過去の記事で「『世界大会』は作品世界の整合性をとるのが厳しそうだからやらない方がいい」と書いたのだが、図らずも世界大会の前段階のお話で予想が当たった気がする。

また、大学選抜の描写を裏返しにすれば、大洗を始めとした各高校の面々の描写に繋がることも無視できない。各高校の面々が「大学選抜になったらああいうキャラになるのかな」という、嫌な想像もできる。そこには当然、ガルパンのキャラクターの魅力が削げているだろう。ライバル・敵キャラというのは、やはり主人公・味方をしのぐような魅力溢れるキャラクターであって欲しい。これまで登場したキャラクター、ガルパン世界を大事にするのなら尚の事である。

好きな作品がヒットしていることは嬉しい。ここまでくれば、次回作も、もう期待していいだろう。ただ、待ちに待った『劇場版』で、楽しみながらも、今は少し心に引っ掛かるものがある。またBDでじっくりと観たい。

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