デジタルエンタテイメント断片情報誌

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『ガールズ&パンツァー劇場版』 極上爆音上映の感想

年が明けても上映が続いていることを喜びつつ、今週末は立川シネマシティの『ガールズ&パンツァー劇場版』<極上爆音上映>(シネマ・ツー、a studio)に行ってきた。公式でイベントも開催され、連日の盛況ぶりが目立つ。今『劇場版』を上映している映画館で、"絶好調"の映画館である。年内は他の映画館で存分に楽しませてもらったが、せっかくの機会なので、久々にシネマシティまで足を運んだ。こういう流行りを追いかけることに特段の抵抗もないし、ミーハーと揶揄する気持ちは微塵もない。流行に対して、元々凄まじい後追い体質であり、何よりも、話題の"音響"を体感して好きな作品の話をしたい。

レイトショー(20:50開始)で鑑賞。時間帯のせいか、社会人と思しき姿が目立つ気がした。平日に外出していると、楽しみも平日に済ませたくなる気持ち、よくわかる。立地的にも、都心からアクセスするなら、帰りも考えてこの時間はギリギリか。既に生コマフィルムの配布は終了していた。新しい来場者特典もすぐなくなるだろうから、この映画館で欲しいならお早めに。

◆座席・上映スクリーンの質はどうなのか

音響目当てで行ったとは言え、映画館として、これらが気になる御仁もいるだろうから、まずはシネマ・ツー(a studio)の座席とスクリーンについて。案外、この辺りについて感想を見かけない気もするので書いてしまおう。年内にガルパンを観に行った他の映画館とも、簡単に比較する。

まず座席自体は狭くもなく、広くもなく、普通。最近の映画館らしいつくり。ただ、比べるなら川崎チネチッタやTOHOシネマズ日本橋の座席の方が、ゆったりしていて良かった。特にチネチッタの座席は首・背中どちらも負荷が少なく素晴らしい。

開演前の移動ついでに比べたが、音響を楽しみつつ、スクリーンを観るのに丁度良い座席となると、やはり4、5(E、F)列目になると思う。上映中のスクリーンは、それほど大きいスクリーンではないので、前方でも大丈夫。このスクリーンの大きさは、実は今まで『劇場版』を観る候補から、シネマシティを外していた理由だったりする。スクリーン全体が無理なく視野に入る座席が良いなら、7〜9(H〜J)列目位をお勧めしたい。私もこの列の中から予約して鑑賞した。また、中央よりの席がやはり見やすい(ただ、音響を楽しむなら端の席でも楽しみ方はある)。良い席にこだわるなら前述の列・中央よりの座席を選んで、これらの座席が埋まっていたときは、別の日の予約を検討しても良さそうだ。

スクリーンの画質は、正直言って他の映画館、特に新宿バルト9のような「ウリ」の映画館と比べると、落ちる。「3分ちょっとで〜」が流れた瞬間にそれは感じると思う。もちろん作品が楽しめないほどではないが、他の映画館で観た後だと「あまり良くないな」という印象。画質なら、TOHOシネマズ(錦糸町、日本橋)、ユナイテッド・シネマ(豊洲)も水準が高くて安心できる。

◆<極上爆音上映>の感想

まず凄いなと思ったのは、「爆音」といっても、決して耳が痛くなるような、ただ音量が大きいだけの「爆音」ではないこと。包まれるような音場に加え、映像に合わせて胸のあたりにズン、ズンと音が本当に響いてくる。座席も揺れる。この感覚は初めて体感した。しかもこの感覚が、映像に合わせて持続したりする。まさに作品と相性抜群だと思う。

ただ、既に初見ではない『劇場版』の内容と併せて書くと、冒頭のエキシビジョンマッチでこの音響を体感してしまうと、展開を知っているが故に、割とすぐに慣れる。特に『劇場版』は戦車戦に時間を多く割いているため、エキシビジョンマッチで体感して「おっこれは」と思っても、後半の戦車戦で新鮮な感動があるかというと、案外そうでもなかった。カールの砲撃なんて、もっと大地が鳴動するようなのを期待していたが、「ああこんな感じか」と冷静に観ていられた。また今回の戦車戦は息をつかせず進むので、繰り返しこの音響を受けると、音響自体が単調に感じてしまうきらいもある。

むしろ私は、そもそもベースとなった音響が『劇場版』ということで上手く調整されていたのだなと、<極上爆音上映>で改めて感じた。そういえばこれまで楽しんだ映画館は、どこも音響についてそれなりの設備を備えていた。弾着、爆発だけでなく、車体の軋む音、ガードレールと擦れる音、履帯が動く音⋯。これらは"極上爆音上映"でも良いけど、作品としてトータルで考えた場合、他の映画館で観ても決して遜色ないよ、と言いたい。

こう言いたい理由がもう1つあって、やはりというか、<極上爆音上映>では「音楽」が爆発音に押されて混濁したようになっているシーンがあって、映画の効用としては少し残念に感じたからだ(台詞の聴こえ方は特に問題なかった)。前述の様々な音の違いや、ガルパンの音楽を楽しみたいのなら、設備が良い他の映画館のほうがクリアに聴こえると思う。特徴ある音響を楽しむのが<極上爆音上映>なら、それ以外を楽しむために他の映画館に足を運ぶのも当然アリだろう。

◆『ガールズ&パンツァー 劇場版』の感想・雑感

今まで、初見の感想感想(その2)と書いたのだが、最後に改めて追記したい。


「廃校阻止」を再びネタにしてしまったのは、映画公開決定から公開までの時間を考えても、やはり期待外れ。TV本編より興奮は冷めるし、ストーリーとしては、『劇場版』を繰り返し観たくなるような動機付けにならない。映画公開や<極上爆音上映>といった、今しか体験出来ないものをウリにすることは、この時代重要なことだろうが、ガルパンがそれら体験だけの一過性の作品になって欲しくない。その意味で、もう少しストーリーは趣向を凝らして欲しかった。

『劇場版』の新キャラクターも同様で、島田流も練り直して欲しいくらい。試合直前での増員を拒否しないキャラクター、戦車道に対する考え、そもそもの性格⋯。それらが作中で見えなかったので、愛里寿は敵としてつまらなかった。大学選抜の設定もスカスカで、そのせいか彼女達が動かすチャーフィーなんて、乗員の存在を感じなくて、妙に不気味な印象だけが残る。チャーフィーは好きなのだが。敵は、味方以上に魅力的なキャラが見たい。

これらの感想はどんな劇場で観ても、今だに変わらない。こういった不満点があるゆえに、続編があって欲しいとすら思っている。ガルパンという作品が好きでも、「この作品は面白い・傑作であることが話の前提」というような、盲目になりたくない。それはかえって、作品の寿命を縮める。作品に何かを「求める」ことが、無意識になくなってしまうから。

それはそうと、映画公開がいつまでかは、まだわからないが、そろそろBDが欲しくなってきた。時間を置いてから観ると、どういう印象になるのか気になる。

(2016/3/7追記)作品自体、BDの発売予定が出る時期まで上映されるとは思わなかった。限定仕様・店舗特典があるようだが、さすがに極上爆音上映のように再調整したバージョンの音響、みたいなのは収録されないか。それにしても、BDが発売されても公開中の劇場があったりするのだろうか⋯。まあそれはなくとも、上映イベントはありそうだ。

(2017/5/6追記)<極上爆音上映>は2016年6月に”センシャラウンドファイナル エクストラ6.1ch”での上映へと進化とのことで、その感想も追記したリンクは下記(またはコチラ)。幸い細々と当該記事は閲覧されているようなので、ささやかながらアップデートしておきたい。

(2019/6/22追記)『ガールズ&パンツァー最終章』第1話、第2話をシネマシティで観た感想を書いたリンクは下記。特に現在の極上爆音上映についてはこちらを参照願いたい。

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