デジタルエンタテイメント断片情報誌

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今年のベートーヴェン交響曲全集チョイス

ベートーヴェン交響曲全集は、毎年最低でも1セット購入して聴いていると思う。俵孝太郎ではないが、ベートーヴェンは聴いておかないと、何となく落ち着かない。お気に入りの全集を楽しみつつも、未知の録音は、新たな発見がありそうと思って手にとってしまう。聴いてみて処分した全集も多い。
交響曲に限らず、クラシック音楽ファンとしてベートーヴェンの曲が嫌いでも大いに結構だが、それでも「この演奏を聴いたらベートーヴェンが好きになるかも」などと思って聴いてみたりする御仁も少なくないかと思う。それくらいの存在感がやはりベートーヴェンにはある。
今年はウィリアム・スタインバーグ指揮ピッツバーグ交響楽団ベートーヴェン交響曲全集(St-Laurent Studio)を聴いたのだが、これがなかなか素晴らしい。数年前に復刻された時は気に留めなかったのだが、昨年再び発売されたのを見かけて購入。値段も手頃だった。もっとも値段に関して、最近ボックス物や全集物はお買い得な傾向にあるので、特に躊躇していない。これは本当に有り難い。買いすぎて聴くのがおろそかにならないようにと、少し自分に言い聞かせなければいけないかもしれない。

ウィリアム・スタインバーグ指揮 ベートーヴェン:交響曲全集

ウィリアム・スタインバーグ指揮 ベートーヴェン:交響曲全集

演奏は第1番から第6番辺りが特に気に入っている。明瞭で各楽器の見通しもよく、それでいて重心が低くてしっかりした演奏。第5番、第6番の演奏がこの傾向によくマッチしていて、聴いていて久々に良いなと思った。
録音・音質については、音の分離も割と良く、これなら私は何の不満もないレベル。LPからの板起こしで、トラックによってはスクラッチ・ノイズが多少パチパチと気になる箇所はあるが、鑑賞を妨げるレベルではないと思う。音のフラつきも、ホンの少しだけある。むしろそれらが殆ど気にならないトラックも多く、総じて復刻の状態は良い。
各楽器の音の鮮度は、例えばマーキュリーの同時期の録音と比べるとさすがに少し落ちる(こもった感じがある)。ただ音場感はこちらの方が自然で、音が左右に分かれすぎていない。低音も腰高な感のあるマーキュリーと比べて、こちらの方が迫力がある。マーキュリーレーベルが同時代で優秀録音と評判なので、敢えて比較してみた*1。LP板起こしなのが本当に惜しい。
これから年末にかけて、日本は第9が吹き荒れるが、第9以外にも興味・関心を持って本当に良かったという充実感のある全集だった。今年一杯堪能させてもらおうと思う。

*1:頭ごなしに「マーキュリーは優秀録音」とする録音評が、特に宣伝文句で今だに独り歩きしている気がしたため。ちなみにマーキュリーのCDで比較したのはドラティ指揮の同じくベートーヴェン交響曲第5番・6番やバルトークの作品集。再発も多く、音の状態がよく、発売時期による音質のブレも少ないCDから。ドラティも好きな指揮者の一人。

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