デジタルエンタテイメント断片情報誌

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新年音楽始め2016

元旦は毎年、私撰ニューイヤーコンサートと称して景気づけに良さそうな音楽を聴いている。今年はドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。日本のオーケストラがこの時期にニューイヤーコンサート・新春コンサートでやたら取り上げる曲ですねぇ。

その知名度と演奏頻度故に、クラシック音楽を聴き始めた頃はこの曲から少し離れていたのを思い出す。正直、飽き飽きしていたのだ。しかし、思った以上に個性的な演奏・録音が多いこと、また指揮者を始めとした演奏家が口々に「奥が深い」「オケ・指揮者ともに技量が必要な」曲だと語っているのを知って、俄然興味が湧いた曲だったりする。やはり興味は聴いて消化しなくてはダメですな。

日本の演奏や本場物も良いですが、ロシア辺りじゃどういう解釈があったのかな、ということでアノーソフ指揮ソビエト国立交響楽団の演奏。新生メロディアはこういう復刻も頑張っていて要注目。

これがまた、冒頭の録音と演奏が不安定で、思わず笑ってしまう。こんな落ち着かないドヴォルザークあるんだな。しかしそんな不安定さも演奏が進むに連れて解消され(録音機器が安定したのか?)、予想外に奇を衒っていない解釈に感心する。第2楽章なんかも味わい深くて良い演奏なんですね。なんて思っていたら終楽章冒頭でストコフスキーばりのリタルダンドをかけていて爆笑してしまう。ホント大好き。
息子:ロジェストヴェンスキーの指揮した演奏と聴き比べても面白い。こちらは遠慮なく鳴らした金管楽器が素敵です。

所持しているCDからソビエト演奏家繋がりで、ついでにガーシュウィンなんて聴いてみましょう。まずは「ラプソディ・イン・ブルー」。ドレンスキーのピアノで、ドミトリエフ指揮ソビエト国立文化省交響楽団*1の演奏(1982)。あ、そういえばドレンスキーは昨年日本で勲等授与されてましたね。趣味でやっていて、こういう現在との思わぬリンクはなかなか嬉しい。

冒頭からいきなり強烈な残響で、旧ソビエト時代の録音はみんなこんな調子なのか、と苦笑。でもしばらくするとやはり落ち着いてくる。ここでの金管楽器は、意外にロシアン・ブラス炸裂という感じではなく、洗練されています。ピアノもカッチリ弾いているものの、なかなか聴かせる音色です。これは単なる珍演というわけではなく、聴き物ですよ。

この「ラプソディ・イン・ブルー」と併録されているガーシュウィンからもう1曲、「パリのアメリカ人」。今度はスヴェトラーノフ指揮ソビエト国立交響楽団(1980)の演奏。いまの現役盤(Venezia)ではモノラルらしいですが、こちらはちゃんとステレオで収録されてます。「パリのアメリカ人」って、中間部で飽きてきませんか? 私だけか。いやヨハン・シュトラウス2世の『常動曲』みたいに冒頭だけ繰り返してくれ、というわけではないのですが。そんな個人的な不満点をオケの音色が解消してくれる録音。

ちなみに所持しているCDのレーベルはヘリオドール(HELIODOR 461 224-2)。LPの頃からクラシック音楽に馴染んでいる方なら、ご存知の方も多いかもしれません。DGの廉価盤で名を馳せたドイツのレーベルです(中には珍しい録音の復刻発売もあったとか)。このレーベルがCD時代もそのコンセプトを引き継いで、どういうわけかメロディアの録音を復刻していたのです。しかもガーシュウィンという変化球チョイス。こういう復刻は正直言って真贋不明ですが、こういうのがあるからこそCD収集がやめられない。今年もそんな1年になりそうです。
(2016/1/10追記)あまり見かけないCDですが、こういうジャケットです。

*1:ちなみにCDのジャケットでは"ソビエト国立交響楽団"になっていますが、LPのデータを調べる限りソビ文の方が正しいようです。うーん、このいい加減さ、嫌いじゃない。

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