デジタルエンタテイメント断片情報誌

デジタルな話題もそうでない話題も疎らに投稿

2015年に聴いた音楽

今年は気になった音楽は比較的記事にしたつもりだが、実は単独で記事にしたいネタがまだまだ残っており、話の枕としての意味も込めて、購入して聴いたCDの話題をやりたいと思う。

・エド・デ・ワールトの指揮はこれまでマーラーの交響曲全集やワーグナーの管弦楽抜粋版で親しんでおり、良い演奏をするが"やみつき"というほどハマった指揮者ではなかった。オペラにも技ありという指揮者だそうだが、その辺りについて私自身、正直良い聴き手でもなかった。新譜の情報を追っても、購入して聴くことが少なかった。

ところが、一昨年発売されたロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したドヴォルザークの交響曲第8番を聴いて、たまげた。これが極上の演奏なのだ。第1楽章から弦楽器を中心とした芳醇な音色と、包み込むように柔らかな録音がたまらない。演奏と収録のバランスが最高レベルに良い。ドヴォルザークの交響曲第8番はちょくちょく新譜を聴いてみては処分し、の繰り返しだったのだが、このCDは一気に引き込まれた。そして何より、曲全体の歌心が素晴らしい。第2楽章の振幅も、第3楽章のあの甘々なメロディーも絶妙な解釈で、こういうのが聴きたかったという理想の演奏でもある。各セクションの技量も高くて、終楽章はそれが特に際立っている。

ドヴォルザーク : 交響曲 第8番 | 弦楽四重奏曲 第12番 「アメリカ」 (Antonin Dvorak : Symphony No. 8 / Edo De Waart , Royal Flemish Philharmonic) [輸入盤]

ドヴォルザーク : 交響曲 第8番 | 弦楽四重奏曲 第12番 「アメリカ」 (Antonin Dvorak : Symphony No. 8 / Edo De Waart , Royal Flemish Philharmonic) [輸入盤]

  • アーティスト: ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団,ドヴォルザーク,エド・デ・ワールト,ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー木管五重奏団
  • 出版社/メーカー: Royal Flemish Philharmonic
  • 発売日: 2013/10/08
  • メディア: CD
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元々メロディアスな曲のせいか、最近はこの曲を静的な解釈で演奏した録音を聴く機会が多かったように思う。しかしこの録音を聴くと、やはり歌うところは歌って欲しい曲だと改めて実感した。個人的にはセル指揮クリーヴランド管(1970、EMI)・チェコフィル(1969、audite)に匹敵する名演だと思っていて、当分このCDに浸るつもりである。ホント、もっと話題になって欲しい。

実は次に話題にする札幌交響楽団の演奏について幾つか記事を書こうと思って、「他にも8番の録音を漁っておこう」と思って聴いたら大当たりだった、というCD。ブロムシュテット・イスラエル・フィル、朝比奈隆・大フィル、エリシュカ・札響・・・等々。ブロムシュテットはシュターツカペレ・ドレスデンとの録音より好きかもしれない。エリシュカは第7番、第9番が良かったので札響ネタの中心にしたかったのだが、やはりもう少し解釈に情緒が欲しいところ(この解釈が7、9番にはハマったと思うが)。


・その札幌交響楽団の演奏では、タワーレコードがアーカイブ・シリーズの発売を始めており、注目している。タワーレコードの企画は相変わらず凄まじい。所謂レアな録音の再発から、初CD化、新音源の発掘まで好企画が多く、目が離せない。

第1回定期演奏会丸ごとなんて、残っているものなのだなあ。曲目にそれほど惹かれなくとも、演奏技術を含めて当時の音は聴いてみたくなる。しかも第2弾の収録曲は近衛秀麿が指揮するベートーヴェンの交響曲第1番、第7番であり、日本人指揮者のファンとしても無視できない。こちらはオーケストレーションの面白さと各パートの音を異様に生々しく拾っている(デジタル技術の賜物か)第7番も面白いが、ぜひ第1回定期の第1番との聴き比べもやって欲しいと思う。

ところで、今後このアーカイブも第2期以降が発表されると思うが、日本人作曲家の曲は収録されたりするのだろうか。演奏史をみると、武満徹を始め興味を惹く作曲家がゴロゴロしているので是非。定期演奏会で取り上げた曲ではないようだが、特に早坂文雄の『雪国によせる交響詩』なんて聴いてみたい。追分節が主題らしいが、どういう曲か想像つきます? こういう秘蔵音源が残ってないか、楽しみにしたい。画像は「札幌交響楽団1961-1981」の作曲家別全演奏曲目(P.108)より。『ユーカラ』は抜粋だろうか。

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