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アニメ『艦隊これくしょん -艦これ-』6話まで観た感想


現在放映中のアニメ『艦隊これくしょん -艦これ-』(TOKYO MX他)が存外つまらなく、困惑気味である。現時点で6話まで視聴したが、感想を書くか、「語るに値しない」という評価にするか、迷ってしまった。
そもそも視聴のきっかけは、今年の5月に発売予定のVITA版ゲーム『艦これ改』を購入予定だったからである。昔から、話題が先行していてもゲームにはすぐ飛びつかない性分なのだが、一定の評価を得てのVITA版発売だろう、ということで楽しみにしていたのだ。後発ということで、改良や新要素の追加といったオトクな部分がありそう、というセコい期待もあった。

その『艦これ』がアニメ化されるというのだ。メディアミックスには何度も痛い目に遭っているが、ゲームで遊ぶ前の下地くらいには観ておいて良いだろうと、毎回好意的に視聴していた。ところが、今は最新話を観る度にアニメどころかゲームへの興味も失せていく有様である。アニメとゲームの評価は別物、とわかっていても心証が悪すぎるのだ。残りの話も観て、改めて感想を書くつもりだが、正直、悪い意味で今後の展開が思いつかない。話数も折り返し地点、と言ってよいはずなのに。
というわけで前置きが長くなったが、以下、アニメ1〜6話まで観た感想を書き連ねておきたい。ちなみに、感想を述べる上で、特に他作品との比較の話はしていない*1

・キャラクターデザイン
アニメで統一されたデザインになったが、これは特に不満はない。ゲーム版はイラストレーターの個性を楽しむものだと思っていたし、贔屓の絵柄も特にない。個人的に、アニメで外見が一番好きなのは間宮さん。妖精さんもイイ。他は狙いすぎ。この類の女の子キャラが徒に肌や下着を露出していても、もうエロさも性的興奮も感じない。胸の大きさについては、バランスが重要、とだけ言っておこう。

・アニメの世界観
念のため書いておくが、“艦娘の存在”自体をどうこう言うつもりはない。それは野暮というものだ。それが嫌なら、実際の軍艦・戦史を扱った作品はゲーム・アニメに限らず色々あるのだから。ただ、アニメで艦娘を取り巻く環境については、1話冒頭で「深海棲艦大暴れで制海権喪失」なんて言っていた割に、緊張感のない、のんびりした世界だな、という印象しかない。鎮守府内とその周辺は戦いの影もなく、大変穏やかそうで、艦娘の鎮守府生活はまさに「学園モノ」のそれだ。授業があって、友達と甘味食べて、(自称)アイドルがいて、カレー作り大会があって…。そんな雰囲気の中で戦時下の雰囲気ネタをやられても、中途半端。敵性言語はないのだろうが、灯火管制なんか必要ある世界なのかよ? と。まあ寝間着が古式ゆかしい割に、吹雪(主人公)のパーカー姿は現代的なので、それほど深いこだわりもなさそうだが。あと横書きの文字はヤケクソ気味に右から左書きにされているが、縦書きじゃダメなのかね?
また6話終了時点で、これまでの戦況や人類の実害の描写がないし、そもそも艦娘以外の「人間」の気配が一切ない。深海棲艦のせいで人類が大変だ、という話なのに、艦娘以外の人類の生活が思い浮かばない。これも世界観が今ひとつな原因である。提督だけ画面外で存在しているようだが、声も思考もわからない。意図的な表現なのだろうが、これだけ徹底されると、むしろ不気味である。本当に艦娘以外存在しない、箱庭世界なのかと勘ぐってしまう。いっそのこと、箱庭だと言ってくれた方が観る側としてはスッキリする。これらの設定は、ゲームには不要だったかもしれないが、アニメ化にあたってアイデアはなかったのか。

・ストーリーと登場人物
6話まで観た限りでは、作品のノリに統一感がなく、ストーリーに軸がない。前述の今ひとつな世界観が尾を引いている。”楽しい鎮守府生活”中心でいくのかと思ったら、大した脈略もなく戦場であっけなく轟沈する艦娘もいて、妙なシリアスを誘う(3話〜4話)。戦闘も真面目にやるのかと思ったら、演習?をギャグテイストにしたり(5話)、同様にカレー作り大会の材料調達のために出撃したりする(6話)。安全な海域もあるのだろうが、この世界の制海権だけでも確認させて欲しいものだ。また、話の根幹は吹雪(主人公)の成長かと思ったが(1〜2話)、ろくに話に関わってこない回(=主人公視点から必要のない回)もあって(6話)、肩透かしをくらう。アニメ自体がゲームのファン向けサービスだったとしても、毎週戸惑いを隠せない。そういえば1話冒頭で海軍五省のナレーションもあったが、6話までの内容で五省を持ちだされても、鼻白む。これはゲームをやって印象が改まるのなら、ゲームをプレイ後改めて感想を書きたい。

登場人物について、アニメの主人公としての吹雪には大した魅力を感じない。ゲームでも主人公だから、と知って「ああ、それで主人公なのか」程度の存在感。アニメでお話作りするなら、歴史を紐解けばもっと壮絶な戦歴の艦(娘)もいるだろうに、とは思った。他の艦娘の印象も希薄。実戦経験の無い新米(主人公)という設定があるのだから、先輩・後輩での能力の差別化や「百戦錬磨のベテラン」といったキャラ付けがあるのかと思ったら(それこそ実際の艦の型・建造年や戦歴を元ネタにして)、ここまでそういうキャラ付けも戦いぶりもない。むしろ、5話なんて観る限り、これまで戦ってきた皆さんは、あまり優秀ではなかったようで…。主人公を持ち上げるためだけの展開、というだけではなく、新米以下のもっとダメな奴等がいた、というのが萎える。小ネタ・ギャグで使いたいという理由だけで、各艦娘の登場を決めているのか、と勘ぐりたくなる。しかもその小ネタ・ギャグも大して面白くない。

・「敵」との戦闘シーンについて
艦娘が戦う「深海棲艦」は、正体不明(謎)である(6話時点)。まあアニメでは「人類」も正体不明だが…。とにかく、深海棲艦は色んな種類がいて、人(艦娘?)を模したものもいる。アニメの売りだと思われる、この深海棲艦との戦闘もつまらない。まず艦娘の戦いぶりに迫力がない。艦娘の性質上、格闘しないのはわかるが、手足のある「人型」としての魅力は大幅に減である。それならそれで、移動や攻撃描写はもっと工夫が欲しい。海上を滑るだけではなく、「伏せる」、「走る」といったバリエーションからでも色々できそうだ。今後登場するのであれば、潜水艦の艦娘はどう表現するか楽しみにしたい。
深海棲艦も今のところ艦娘の攻撃に押され気味で(要は弱い)、「なぜこんなのに制海権奪われたんだ」という疑問が拭えない。艦娘相手では害獣駆除というか、タチの悪いブラックバス程度に見える。ゲームならただ倒す相手、で良いのだろうが、正体も含めて「敵」としての魅力・厚みが欲しい。アニメでは突撃しているだけにしかみえない。人型もいるのだから、戦略や知恵のある描写を増やしてもよさそうだ。もっとも、魅力的な敵を作ることは、主人公(側)作成以上の労力が必要だとは思うが*2
そうそう、3話みたいな攻撃で艦娘が轟沈するのなら、深海棲艦はもっと捨て身の攻撃をすればいいのでは? 艦娘に特攻・自爆ですよ。そんなことしたら、艦娘の「軍船の魂」とやらは、どうなっちゃうのですかねぇ。まあ肝心の「軍船の魂」を感じる描写が、今のところありませんが。
ちなみに、当初ゲームの話を聞いたとき、敵は”アメリカ艦娘”だと思っていました。愛宕みたいな見た目の艦娘(※すごくステレオタイプの発想)がゴロゴロ出てくるのかと。そこはいろいろ考えて深海棲艦に落ち着いたのだろうが、敵にストーリー作るなら、敵も「艦娘」の方が都合がいいわな。あ、轟沈した艦娘はそういう風に使うのか。


…とまあ、現時点の感想はこんなところか。ゲームについては、VITA版の発売を待たずに、さっさとブラウザ版で軽く触って、浮いた金で『太平洋戦記3』でも買おうか検討中である。別に両方買ってもいいが。
ところで『艦これ』のノベライズは面白いのだろうか。ゲームのノベライズは今でも好きな作品があるので、期待したいのだが。ちなみにその作品というのは、『ウィザードリィ』のノベライズ、『隣合わせの灰と青春』(著:ベニー松山電子書籍あり)のことです。

この本で描かれる『ウィザードリィ』の世界は、自分の想像していたゲーム世界を凌駕していて、著者の『ウィザードリィ』という作品に対する熱意に感服した。こういうメディアミックスは大歓迎したいなぁ。

*1:それをやると、文章中に取り上げた「他作品を視聴している」「他作品の評価を共有している(例:○○は面白い・つまらない)」といった前提が必要になることがあり、感想の間口が狭くなったり、当該作品の感想として成立しない場合があるため。自戒と、巷で見かけた感想・考察に対する皮肉を込めて。

*2:余談だが、最近アニメやゲームで味方同士でのバトルが持て囃されるのは、このためだと思っている。敵のキャラまで手がまわらないのですな。

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